【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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「倫音パパが倫音ママのことめちゃくちゃ好きなのは、すごく伝わりやすいけど、あれは普通の人よりレベルが上だからね」
「親は参考にしないわ!」
 親の恋愛感情とか知りたくない。
 灯里が床に倒れ込む。
「もう、聞いちゃえばいいじゃん。私のこと好きなの?って聞いちゃえばいいじゃん。絶対に、うんって言うよー!そのまま付き合っちゃえよー!」
「りん、日晴くんと付き合いたいの?」
 ゴロゴロしたままの元要が、じっと私を見る。
「分かんない…気になってるけど、好き…なのかな」
「いや、好きでしょ」
 灯里のツッコミが入る。
「好きじゃなくても、手をつながれたり、抱きしめられたらドキドキするじゃん。その延長かもしれないし」
 吊り橋効果かもしれないし。
「倫音、特定の相手に寂しいとか会いたいとか、一緒にいたいって思ったら、それは好きだからね」
「…斎藤に?」
「そうだよ!倫音には一ヶ月会えなくても、忙しいんだろうなとか、タイミング合わなかったなで済むけど。斎藤くん相手だったら心が死ぬ」
 ここ、何ヶ月かを思い返してみる。
「会えた時は嬉しくて、会えないと寂しくて、ずっと会えないと気になって仕方なくなる。これが恋だよ」
 私は、日晴くんに恋をしているのだろうか。
「多分…そうなのかな」
「いや、そうでしょ。日晴くんといる時の倫音、今度隠し撮りして見せてやる」
「俺も見たい。日晴くんの写真ないの?」
「ない」
 写真を撮る習慣がないから、そんなのはない。
「学祭の時、撮っておけば良かったー!くやしー!」
 暴れる灯里を尻目に、日晴くんの顔を思い出してみた。
 最後に会った時の、スーツを着ていた日晴くん。優しくて、暖かくて、腕の中…広かったな。まさか、本当に来るとは思わなくて、わざわざ仕事を抜け出して…申し訳ないなって思ったけど、嬉しかった。
 横でパシャっと音がした。
 振り向くと灯里がスマホの画面を見せてきた。
「この顔で、恋してないって嘘だからね」
 画面の中の私は、幸福そうな顔をしている。
「今、日晴くんのこと考えてたでしょ?!」
「……うん」
 恥ずかしくなって、耳まで熱が出た。


 あの日約束したのと、灯里と元要にも念押しされて、きちんと連絡を取るようにした。
 そもそもメッセージを送り合うのも慣れてないから、頻繁なやり取りに変な感じがする。でも、嫌じゃない。
 日晴くんからは、挨拶や、通勤中の風景なのか写真が送られてきたりする。SNSみたいな感じで、気軽さを出してくれているのかもしれない。思慮深い人だから。
 私も、挨拶とバイト先や大学の写真を送ったりしている。

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