【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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 これ見よがしにイチャイチャしてやろうと思ってたのに、全然できない。普段通りに一緒にいて、お昼休み、バイト先、家までの送迎…
 この二、三日ですけど、変わってないよね?!関係性が変わってないよね?!
「良くないと思います!」
「え?何が?」
 運転中の日晴くんに言い放つ。
「全然、付き合ってる気がしない!これ、いつも通りでしょ?!」
 何も変わってない。変わっているのは彼女というポストについただけ。
「そう?」
 日晴くんに積極性を感じないのである。
「そうだよー!デート!デートをするべき!」
「…どこ行きたいの?」
 おっ、思ったより色良い返事。
「ラビのテーマパーク!」
「あー…アメリカの行ったことある」
「いいなー!!行きたい!」
 とても羨ましい!
「日本より大きくて、テーマパークの中に動物園とかもあって、一日じゃ回りきれなかったよ。じゃあ、行くの土曜日でもいい?」
「いいよ!」
 やった!デートだ!ちゃんとしたデート初めて…!
 家に着くなり灯里に連絡すると、灯里のテンションが急に上がった。
「日曜日、誕生日じゃん!倫音の!」
「あー!そうだ!え、だから遠慮して土曜日?」
「え?!泊まりがけじゃないの?!」
「言われてない!」
「違うの?!」
「何も言われてない」
「…サプライズでホテル予約したり…しないか」
「どうだろう…性格的にはしそうなところあるけど、今は彼氏感が皆無だし、私のことお姫様だと思ってるから手を出して来ない」
 でも、昼休みだけは牽制がすごくて、絶対に隣の席を譲らなかったりする。周りの目があるからだろうなって思うし、きっとずっとそうやって私のことを守ろうとしてきたんだなって分かった。
 いやしかし、彼女だから手を出してもらわないと。
「泊まりの用意だけして行きなよ。アリバイ作りは手伝うし」
「あー…そうだね。何かあった時にお願いするわ…なさそう」
「初デートだし、気負わないように」
「オッス先輩。いや先輩は付き合う前に致してますよね??」
「はははは」
 電話を切って、ワクワクとドキドキが部屋中に広がってキラキラしてる。心なしか、部屋中のゆうくんも応援してくれているように見えた。
「ゆうくん、私頑張るね」


 土曜日当日。
 早朝から家まで車で迎えに来た日晴くんは、伴家でモーニングを食べさせられていた。
「日晴くん、嫌いなものない?大丈夫?」
「あ、はい。大丈夫です」
「パパさぁ、これからテーマパーク行くんだけど。テーマパークでご飯食べたいんだけど」
 どこから把握したのか、日晴くんの来訪に合わせて朝食を用意していたらしい。軽食から重めの和定食まで並べてあり、各自好きなものを取って食べるビュッフェ形式だ。
「食べ歩きのお店だって十時から開店するんだから、お昼の前にお腹空くよ!ねえ?なかちゃん!」
「日晴くんが迷惑じゃなかったら、お付き合い程度で食べてあげてくれる?ごめんね、朝から張り切っちゃって」
 めちゃくちゃ恥ずかしいから、そういうのやめて欲しい。

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