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しおりを挟む入ったのはアパレル店舗で、店頭に季節のコーディネートがされたマネキンが飾られている。
「可愛いー!」
「倫音さんなら、何でも似合うよ。これは?」
帽子に主要キャラクターであるラビの耳が付いた黒いキャップを乗せられた。
「夏だし日除けに丁度いいね」
「俺も色違いにしようかな」
「そこはお揃いじゃないんだ」
「お揃いが良かった?」
日晴くんはラビの彼女であるラミーの白いキャップをかぶる。
「似合うね」
「でしょ」
そのまま色違いのキャップをかぶることにして、日晴くんの持っているカゴに入れた。
「他は?」
「倫音さん、欲しいものないの?」
「別に、普段からお土産とか買わないし。まあ、灯里にチョコ買ってくくらいかな…いや溶けるからクッキーでいいか」
ふうん、と日晴くんが頷く。
「ぬいぐるみとか、持たないの?」
「可愛いけど暑いし邪魔になる」
それに、持ってたら日晴くんと手が繋げなくなる。
「そっか。じゃあとりあえず、これだけ買っちゃおう」
一瞬でレジまで移動して、お財布も出さずにキャッシュレスで会計を終えてしまう。
「えっ、ちょっと、早いし!いくら?」
値札を切ってもらったのか、そのまま私の頭にかぶせた。
「さ、行こうか!俺、見たいショーがあるんだよね」
グイッと引っ張られてお店を出ると、広場から左へ登り坂を上がる。テーマパークを楽しむバカップルよろしくウキウキした格好で、スキップでも踏みそうだ。
「ラビが楽器演奏するやつ、こっちで合ってる?」
「あ、抽選しないとだよ!スマホ出して」
お互いのQRコードを読み込んで、一番近い時間の公演を抽選すると、キラッと画面エフェクトが出て当選した。
「当たった、もうすぐ入場だから行かなきゃ」
「おおー、楽しみ!」
石畳の歩道を歩き、ショーが行われる建物に向かう。入場口ではゴールドのベストを来たスーツのキャストさんが、当選券を確認している。QRコードを読み込んでもらい会場に入ると、指定席に座った。
「涼しい…」
「結構いい席だね、ここ」
「そうなの?端っこだよ?」
「最後の方、ラミーがそこの扉から出てきて、ここを通って舞台に上がるから、ハイタッチしてくれる!」
「倫音さん、詳しいね」
「ママが好きだから、小さい頃からずっと来てる」
母親はエンターテインメントが好きなのだ。叔母とも姉妹でよく行っていたらしい。
「小さい倫音さん…絶対可愛い」
「当たり前じゃん、世界で一番可愛いよ」
「写真見せて」
「多分、パソコンにデータ保存されてると思う」
「送って!」
すごい食いつきだ。
「日晴くん…ロリコンなの?」
だから、私のことそういう目で見ないの?
「違います。倫音さん以外は興味ないです」
「それはどうも」
ロリコンではないらしい。良かった。
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