【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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 ショーは最高で、いつも可愛いラビがめちゃくちゃカッコいいスーパースターにしか見えない。
「めっちゃ良かった…ラビまじイケメン」
「すごかった…生バンドも良かった」
 日晴くんも目がキラキラと輝いていて、こういうのが好きなんだなと分かった。
「そういえば、うちのパパの舞台なんていつ観に行ってたの?」
「去年、アメリカから帰ってきた時に、仕事先の知り合いからチケットを貰って」
「はー…そうだった。日晴くん、仕事してるんだもんね」
 いつも大学とバイト先で一緒だから、すっかり忘れていたけれど、日晴くんは実業家もしているのだった。本当、すごいなこの人は。
「私と遊んでて平気なの?」
「大丈夫だよ、倫音さんより優先させるものはないから」
 首から耳まであっつい!
「そ、そう…」 
 こういうことサラッと言うくせに、私に対して一歩引いてるの、本当なんなの!
「次、どうする?」
「日晴くん、苦手な乗りものは?」
「特にないけど」
「オーケー!」
 グイグイ手を引っ張り、近未来系のエリアに向かうと、水の中を好き放題動き回るコースターの列に並んだ。
「へー、涼しそう!」
「私、これ苦手なんだよね」
「えっ?!何で並んだの?!」
「ちょっとムシャクシャして」
「自暴自棄なの…?」
 心配そうにする日晴くんの、あんまり肉がついてないほっぺをむにゅっと摘んだ。
「くっそ可愛いな!可愛すぎてムカつく!」
「ひんへはんのほうああわいいお」
「きー!そんなの知ってるわい!知っててなお可愛い!ムカー!」
 一歩引かれていても、どれだけ大事にされてるのか分かるし、結果私のことめっちゃ好きじゃんって言うのも伝わってくるから、ムカつくけど可愛い!可愛いけどムカつく!
 頬から手を離すと、今度は日晴くんの手が私の頬を摘んだ。
「ふふふ、仕返し」
「くっ…!殺せ」
 なんなの、なんなのよ…もうやめて…
「倫音さん、これ何で苦手なの?」
「酔うんだよね!」
「えっ…本当に乗って大丈夫?」
「降りたら休憩すると思う」
 もう乗り場は目の前だ。
「やめとかなくていいの?」
「いいよ、ほら順番!乗って!」
 キャストさんに誘導されコースターに乗り込むと、すぐに動き出して急発進急停車を繰り返しながら、予想もつかない動きをしだす。
「ぎえっ!」
「これ、首やられるなあ」
「うっ!」
 隣の日晴くんは呑気に感想を言っているけれど、私は既に酔い始めている。あー気持ち悪い。だからこの乗り物苦手なんだ。
 降車場所に近づきホッとする。
「倫音さん、大丈夫?」
 ベルトを外して降りると、近くのベンチにグッタリと座る。

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