【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

文字の大きさ
92 / 108

31-2

しおりを挟む


「その辺の準備してないんだけど…」
「大丈夫、当日予約できるから」
 これ幸いと予約を取ると、完了のメールが届いた。
「はい、手配完了!」
 満面の笑みになっている自覚はある。
「あー、うん。行く前にコンビニ寄っていい?」
「ホテルの中にもあるよ」
「多分、欲しいものが売ってないと思うから、外のコンビニ行きたい」
 ホテル内のコンビニは小さいし、品揃えも限られていることは否めない。
「分かった」
 ルンルン気分でレストランを出ると、夜景を見ながら手を繋いで一周散歩し、幸せな気持ちでパークを後にした。
「ここでいいかな」
 コンビニの駐車場に車を停めて、一緒に店内に入る。
 日晴くんは目的のものが決まっているのかスッと移動して、気がついたらレジにいた。私も慌てて飲み物を手に取り、隣のレジで会計をする。
「何買ったの?」
「何も用意してなかったから……下着とか」
「そうだよね!ごめんね!」
 でもありがとう!こんなにスムーズに行くと思わなかった!
 ナビの誘導でホテルに着くと、ロビーの可愛い内装に相乗効果で心が躍る。
 鍵をもらって部屋に着くと、広い部屋の突き当たりは夜景が輝き、真ん中辺りに二メートル幅の大きなダブルベッドが鎮座していた。
「さすがパートナーホテルは、そんなに高くなくてもキレイで居心地良いですね!」
 きゃー!と喜んでベッドにダイブする。
「……あの日の続きみたいだ」
 少し掠れた声が頭上から降ってきた。
「どの日?」
 コロンと仰向けに転がると、思ったより近くに日晴くんがいた。そっと私の隣に座ると、広がった髪を一房掬う。
「初めて倫音さんに会った日」
「全然覚えてない」
 何で覚えてないの!?って過去の自分に怒りたいけど、既に中学生くらいの記憶すら曖昧だから仕方ない。
「りんねちゃんは、つまんなそうにしてた俺を連れ回して、ひみつの場所に連れて行ってくれたんだ」
 今日みたいでしょ?と微笑む。
「ずっと一緒に遊びたかったんだけど、父親に帰るって言われてそのまま」
「寂しかったんだね」
 手を伸ばして背中をぽんぽんと叩いた。
「ずっとそうだったのかな」
「これから明日の夜まで一緒だよ」
「ふふふ、そうだね」
 視界が日晴くんでいっぱいになり、ゆっくりと唇が重なった。嬉しくて顔がニヤける。
「えへへー」
「なに?」
「なんでもなーい」
 日晴くんの背中に手を伸ばしてギュッと抱きついた。すごく、すごく恋人っぽくない?!何これ幸せ!!
「倫音さん、着替えは?」
「え、もう倫音ちゃんって呼ばないの?」
「さん付けに慣れちゃって」
「ふーん、まあいいか。着替えはリュックに入ってるよ」

しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

ハイスぺ幼馴染の執着過剰愛~30までに相手がいなかったら、結婚しようと言ったから~

cheeery
恋愛
パイロットのエリート幼馴染とワケあって同棲することになった私。 同棲はかれこれもう7年目。 お互いにいい人がいたら解消しようと約束しているのだけど……。 合コンは撃沈。連絡さえ来ない始末。 焦るものの、幼なじみ隼人との生活は、なんの不満もなく……っというよりも、至極の生活だった。 何かあったら話も聞いてくれるし、なぐさめてくれる。 美味しい料理に、髪を乾かしてくれたり、買い物に連れ出してくれたり……しかも家賃はいらないと受け取ってもくれない。 私……こんなに甘えっぱなしでいいのかな? そしてわたしの30歳の誕生日。 「美羽、お誕生日おめでとう。結婚しようか」 「なに言ってるの?」 優しかったはずの隼人が豹変。 「30になってお互いに相手がいなかったら、結婚しようって美羽が言ったんだよね?」 彼の秘密を知ったら、もう逃げることは出来ない。 「絶対に逃がさないよ?」

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて

アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。 二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...