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しおりを挟む広くてがっしりした背中を堪能していたのに、スルッと離れてしまう。
「準備してたの?」
そう言われると恥ずかしいけど、そうです。
「まあ、はい」
準備無しで誘うのは色々問題あるじゃないですか。灯里にアドバイスもらって、必要なものも持って来たし。日晴くん…彼女いたことあるから、きっと流れとか分かるだろうしさ。
「お風呂、先に入る?」
日晴くんは備え付けの引き出しからパジャマを取り出した。M・Lサイズが二つずつ揃っている。
「あっ…どっちでもいいけど。お湯に浸かるなら沸かすよ」
「俺シャワーで良いから、先に入ってもいい?」
「良いけど、疲れてるだろうし浸かった方がいいんじゃない?」
途中で寝てしまうくらいだし、疲れを取った方がいいと思う。
「追い焚きがないから、倫音さんが入る時に温くなっちゃうよ」
気を使いすぎでは?!
ユニットバスじゃないから広いけど、だからって一緒に入ろうとはまだ言えない。
「大丈夫だよ、お湯増やせばいいだけだし」
「じゃあお言葉に甘えて」
日晴くんはそのまま、着替えを持って浴室へ向かった。
そうか、今すぐ入る話だったか。
すぐに浴室から水音がし始めた。
日晴くん、脱ぐの早くない?っていうか、今裸?!は?やば!
「あっ、そうだ」
灯里には報告を、元要には泊まりになるから伝言してもらうよう、メッセージをそれぞれ送った。
現実味を帯びてきて、ざわざわと緊張してきた。やばい、お風呂から出たら…するの?その前に何かワンクッションあるものなの?そういう知識、人生で入れてこなかったから、全然分かんないよー!
ベッドに転がりネットで検索するけど、緊張が増すばかりで何も頭に入ってこない!ああー!
「倫音さん、空いたよ」
いつの間に戻って来たのか、パジャマを着て濡れ髪をタオルで拭いている日晴くんがいた。
は?かっこよ?は?なにそれ?なんなの、そんなかっこよくてどうしろっての?こっちは既にいっぱいいっぱいだよ?
「ありがと…」
ソワソワしたまま着替えを持ってお風呂に入る。ぎあー!日晴くんの後って、そういうことじゃん?やば…ありがとうございます。
絶対にのぼせるから、あまり長くつからないように気をつけて、体をキレイに洗う。どこを見られるか分からないから、気合い入れないと。
出たら出たでスキンケアして髪を乾かして、はたと気づく。
スッピンじゃん…?
いや、私はマジで顔だけは可愛いからスッピンでも大丈夫だけど……
覚悟を決めてバッと部屋に戻ると、ベッドに転がってテレビを見ている可愛い子がいた。
「何見てるの?」
「CS放送が見放題らしくて、色々チャンネル変えてた。今は動物かな」
画面の中では、犬やら猫やらがキャッキャと戯れている。
可愛い!
いや、これから私達もあんな感じのことをするんだよ。導入が全然分かりませんけどね!
日晴くんにくっつくように隣に寝転がった。
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