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しおりを挟む「そろそろ寝る?」
日晴くんが私の頭を撫でて微笑んだ。
えっ、これ合図ですか?合図ですよね?!っていうか、これやばくない?!かっこよすぎて胸が苦しい!!
「う、うん…」
顔に熱が集まってくるのが分かる。着ているパジャマを整えて、少し余っている袖をギュッと握りしめた。
「明日何時に出ようか?行きたいところある?」
「えっと…特にないけど…」
そんなの、今ちょっと考えられないです!頭の中はこれからすることでいっぱいだよ!
「せっかくの誕生日だし、倫音さんの好きなことしたいな」
それ、それ今!これから叶うやつ!
明日なんて、下半身が痛くて動けないやつじゃないの?
「全然、日晴くんといられたら…」
それ以上は言えません!
「そう?…ありがとう。じゃあ、チェックアウトの時間に合わせて出ればいいかな」
「うん…」
気遣い屋さん…!照れるじゃん!
日晴くんがベッドにもぐり、私が入るまで布団を上げていてくれる。
とうとう、この瞬間が……
「おやすみ、倫音さん」
明かりを消して、もう一度頭を撫でられると、日晴くんは向こうを向いてしまった。
あれ?
あれ?
これ、違うやつ……?
しないやつなの?え、本当にお泊まりだけ?修学旅行か何かですか?
「おやすみじゃないーい!」
私は布団をざばっと剥ぐと、向こうを向いたままの日晴くんの肩をガクガクと揺すった。
「わっ…」
「おやすみじゃないでしょ?!」
暗くて見えないから枕元のランプを点けると、気まずそうに視線をそらす日晴くんが見えた。
「倫音さん…やっぱりそのつもりだった?」
「それ以外に何があるっていうの?!付き合ったばっかりの恋人同士が、初めてのお泊まりですることなんて、一つでしょー?!」
ある?!それ以外にあるの?!
日晴くんの上に乗って、横を向いていた体を仰向けに倒す。
「倫音さん、落ち着いて」
「落ち着いていられるかー!」
自分ばっかり求めていて、彼は別にそうでもないこととか、相手にされてないんじゃないかとか、腹立たしくて悔しくて、悲しくて涙が出そうだ。
「日晴くんのばかー!!」
もういい、不貞寝してやる!同じベッドで寝るのすっごく悲しいから、ソファとかで寝たい!!丸まって寝ればいけるはず!
起き上がってベッドを抜け出そうとしたところ、腕を引っ張られて抱きしめられた。
「ごめん……同じことしてるね、俺」
確かにそう言われると、このシチュエーション二回目だ。
「私を怒らせるのがご趣味で?」
「そういう訳じゃないんだけど……言葉が足りないというか、その…俺がカッコ悪いというか…」
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