オレ様暴君に捕まって

ruki

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学生の頃から三年も付き合ってたのに、オレって薄情だよな・・・。

でも、向こうからもなんのリアクションもなかったのだからお互い様だ。

そんなこんなで、オレは自らぼっちになり、仕事のストレスを巣ごもりで発散させていた。

今日も巣ごもりの準備は万端だ。
夕食も前もって作っておいたものがレンジで温めるだけの状態で冷蔵庫に入ってるし、お風呂も洗ってある。湯はりをするだけだ。

あぁ、早く帰ってお風呂にゆっくり浸かりたい。そしてレンジで温めたごはんを食べながら、思う存分動画を見るんだ。
もう観たいもののチェックはしてある。
そうやってダラダラと週末を過ごすのだ。

早く帰ってゆっくりしたい、と足早に駅に向かうと、その入口に先輩の姿が見えた。

その人は駅の横の喫煙所でタバコを吸いながら、電話している綺麗な女性を待っている様子。

オレは思わず顔を顰めた。

駅に入るにはその人の前を通らなければならない。けれど、オレはその人が苦手だ。

その人は背が高く、顔も整っていて仕事もできる。できるどころか、営業成績トップのやり手営業マンだ。その自信は満ち溢れてて、常に上から目線で、オレは正直かなり苦手だった。

幸いオレの担当では無いので、あまり関わることもないし、同じフロアにデスクがあっても、あっちは外回りでいないことの方が多い。
だから、あまり接触する機会もないのだけど、たまに話さなければならない時はオレはかなり萎縮してしまう。
あの上から目線と、絶対的自信による無意識の圧力。
何に関しても人並みの能力しか持たないオレは、その人と対峙するだけで劣等感を刺激され、その圧に萎縮してしまうのだ。

今日は確か直帰だったはずなのに、なんでこんな会社の近くにいるんだ?

早くどこかに移動してくれないかな。

少し離れた場所からその人を見ていたオレは、そこに行くまでに居なくなって欲しいと願った。けれど、女性はその人に手を合わせて謝ると、足早に駅の中に消えていった。

どうせなら一緒にいなくなってください・・・。

心の中で虚しく呟くと、覚悟を決めてその人の前を通った。
少し俯きながら会釈をして通り過ぎる、はずだった。

「高橋、このあと予定は?」

その人はオレの腕を掴むと、自分の方に引き寄せた。

「・・・お疲れ様です。藤原さん」

いつも会社で被っている猫の皮を急いで被ると、オレは定型通りの挨拶をした。そして、質問には答えず、そのまま行こうとしたけれど、なんでこんなに力が強いんだっ。

「このあと、予定はあるのか?」

腕を外せず立ち去れなかったオレに、もう一度訊いてくる。

眉間に皺を寄せて上から見られると、オレは恐怖で目を逸らせられなかった。

ヘビに睨まれたカエル・・・。

その言葉が頭をよぎる。
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