暴君は時には下僕に成り下がる

ruki

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次に目を開けた時、オレはソファに横になっていた。すっかり部屋着を着せられ、湯冷めしないように上からブランケットもかけられていた。そして、髪にかかる温かい風。
和真さんがオレの髪にドライヤーをかけている。

なにこれ。
本当に王様と家来みたい。

なんでこんなに優しいの?
オレのこと冷めちゃったんじゃないの?

オレが目を開けたのに気づいたのか、和真さんがドライヤーを止めた。

「綾人、起きたか?」

優しく髪をすきながら、和真さんが覗き込んで来る。無精髭を生やしてクマが出ててもかっこいい。
背が高くてかっこよくて、おまけに仕事もできるけど性格に難アリ、でちょうど良かったのに、こんなに優しくなっちゃったら完璧すぎて、余計オレには釣り合わない。

「綾人?」

じっと見上げたきり何も喋らないオレに、和真さんが心配げにもう一度名前を呼ぶ。

「すみません。寝てしまって・・・」

やっと口を開いたオレに安心したように口元を少し綻ばせ、和真さんが頬を撫でてくれる。

「風呂上がりで喉乾いただろう?何か持ってこようか?」

「それなら、冷蔵庫の横にあるダンボールの中にみかんが入ってるんです。それを取って貰えますか?」

実家にいる時から毎年取り寄せてるお気に入りのみかん。なんだか今はそれが食べたい。

「ん。待ってろ」

頭を2回ぽんぽんと叩いて、和真さんがキッチンへ立つ。その姿を見て、ちょっと嬉しくなった。オレが用意した部屋着を着てくれている。

先週、和真さんの家で見た部屋着や下着のブランドを憶えて、今週ずっとネットで探していたのだ。サイズもチェックしたし、和真さん好みのものを探した。それが先日届いて、本当はこんなに早く使うとは思ってなかったけど、着てくれて良かった。週末来るなら2セット+予備1で3セットをはりきって用意していたけど、もう着てくれないかもしれない。

和真さんの服探してる時、すごく楽しかったな。

キッチンで何個かみかんを見繕って戻ってきた和真さんを見ながら、オレは起き上がった。
お風呂に浸かったせいかさっきより動ける。そんなオレを見て、和真さんが起き上がるのを手伝ってくれた。

「ありがとうございます」

手を貸してくれたことと、みかんを持ってきてくれたことにお礼を言って受け取ろうとしたら、和真さんはそれをローテーブルに置いてしまった。そして、そのひとつを手にとると剥き始めた。

丁寧に皮を剥き、白い筋もとってひと房とるとオレの口元に差し出した。
これは、食べさせてくれるのかな?
オレはそのみかんをぱくんと口に入れた。
噛むと果汁が広がって渇いた喉を潤してくれる。
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