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第5話 まさかの爆撃(5)
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一方、機捜隊の懸命な追跡も、続けられていた!
工藤は一刻でも早く見つけようとトラクターの助手席に座り、目を皿にして前方を探った。……とはいえ、なかなか発見には至らない。
「ええい、クソー!」突然、彼はドアを拳で叩いた。上手くいかない腹いせとして思わず手が出る。
だが、その時! 前を照らしていたヘッドライトに何かが映り込んだ。どうやら、レディが走行したと思えし動線を見つけだしたか? 車のライトの先に、散り散りに砕け飛んだ金属の塊らしき物が浮かび上がっているのだ。それは不自然な状態で、道路の彼方此方に散乱していた。
「おい、あそこだ! あれは……バイクか? そうに違いねえ」そのため、工藤が真っ先に声を荒げる。続いて彼らは、車を停止させトラックから降りた。
そうして目にした物は……思った通り、破壊された小型バイクの残骸だった! バラバラに砕け、一部の機材からは火の手も上がっている、何とも酷い有り様だ。しかも近くの路面には、一際真っ黒な煤が数メートルに亘って放射状に広がっていた。言わば〝爆破跡〟も、はっきりと確認できたのだ。
「……撃たれたかー!」と工藤は嘆いた。その悲惨な状況を見る限り、相当な爆撃を受けたことは疑いようもない事実だと感じながら。
……けれど肝心の、レディの姿が見当たらない。そこで彼は、慌てて叫んだ。
「おい、Mを探せ!」
ただちに全員が、隈なく周囲を捜索する。……が、やはり見つかりはしなかった! いったいどこへ?
これは、最悪の事態か……工藤は、嫌な予感を抱いた。何故なら、その結末は容易に想像がついたからだ。同様におクウとセブンも察したに違いない。――もしかの訃音さえ覚悟しなければならないという思いが、彼らの脳裏に浮かんでいたのだ。
それでも、おクウが悪い予感を振り払うかのように真剣な眼差しを見せて訊いた。
「M……Mは大丈夫なんでしょうか?」と。
セブンも、表情を極度に曇らせ、「…………」何も言わないが、バイクの残骸から視線を逸らさないでいた。
「たぶんな。たぶん……。あいつの着ているスーツとは、弾丸も撥ね返す、超硬化特殊炭素繊維でできている。ちょっとやそっとの爆発では、やられはしないさ!」と工藤は答えた。しかし、そうは言ったものの、本当にレディが無事なのか分かるはずもない!
彼らは、ただ悲愴な顔でその場に佇み、辺りを見渡すしかなかった。
最後に、「M、どこへ……行ってしまったの?」とセブンの小さな呟き声だけが虚しく聞こえてきた……
吹き抜ける風が、彼らの不安を掻きたてる。
その突風を遮る形で、機捜隊の面々は、暗黒に満ちた道路の果てをまるで時を忘れたかのように見続けるのであった――
工藤は一刻でも早く見つけようとトラクターの助手席に座り、目を皿にして前方を探った。……とはいえ、なかなか発見には至らない。
「ええい、クソー!」突然、彼はドアを拳で叩いた。上手くいかない腹いせとして思わず手が出る。
だが、その時! 前を照らしていたヘッドライトに何かが映り込んだ。どうやら、レディが走行したと思えし動線を見つけだしたか? 車のライトの先に、散り散りに砕け飛んだ金属の塊らしき物が浮かび上がっているのだ。それは不自然な状態で、道路の彼方此方に散乱していた。
「おい、あそこだ! あれは……バイクか? そうに違いねえ」そのため、工藤が真っ先に声を荒げる。続いて彼らは、車を停止させトラックから降りた。
そうして目にした物は……思った通り、破壊された小型バイクの残骸だった! バラバラに砕け、一部の機材からは火の手も上がっている、何とも酷い有り様だ。しかも近くの路面には、一際真っ黒な煤が数メートルに亘って放射状に広がっていた。言わば〝爆破跡〟も、はっきりと確認できたのだ。
「……撃たれたかー!」と工藤は嘆いた。その悲惨な状況を見る限り、相当な爆撃を受けたことは疑いようもない事実だと感じながら。
……けれど肝心の、レディの姿が見当たらない。そこで彼は、慌てて叫んだ。
「おい、Mを探せ!」
ただちに全員が、隈なく周囲を捜索する。……が、やはり見つかりはしなかった! いったいどこへ?
これは、最悪の事態か……工藤は、嫌な予感を抱いた。何故なら、その結末は容易に想像がついたからだ。同様におクウとセブンも察したに違いない。――もしかの訃音さえ覚悟しなければならないという思いが、彼らの脳裏に浮かんでいたのだ。
それでも、おクウが悪い予感を振り払うかのように真剣な眼差しを見せて訊いた。
「M……Mは大丈夫なんでしょうか?」と。
セブンも、表情を極度に曇らせ、「…………」何も言わないが、バイクの残骸から視線を逸らさないでいた。
「たぶんな。たぶん……。あいつの着ているスーツとは、弾丸も撥ね返す、超硬化特殊炭素繊維でできている。ちょっとやそっとの爆発では、やられはしないさ!」と工藤は答えた。しかし、そうは言ったものの、本当にレディが無事なのか分かるはずもない!
彼らは、ただ悲愴な顔でその場に佇み、辺りを見渡すしかなかった。
最後に、「M、どこへ……行ってしまったの?」とセブンの小さな呟き声だけが虚しく聞こえてきた……
吹き抜ける風が、彼らの不安を掻きたてる。
その突風を遮る形で、機捜隊の面々は、暗黒に満ちた道路の果てをまるで時を忘れたかのように見続けるのであった――
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