第三部署特戦課機捜隊レディM――最強戦士、ここに降臨――

TOZO

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第3話 仲間の危機-3

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 漸く、騒動も終わったかに見えた。レディも一先ず安心する。
 ただそうは言っても、未だ目の前には、堂々と仁王立ちした状態でこちらに視線を投げかけている皇虎おおこの姿があった。
 そのため、ここは早く退散した方が無難だと思った彼女は、すぐさまその場を去ろうとした……のだが、どういう訳か皇虎が脇目も振らずどんどんとレディの方へ近づいてくるよう。
 むむっ? これは何を意味している? まさか、彼女の人並外れた防御力を見て、勘づいたのではないだろうか? 彼女が、前夜の刺客だということを! そうなると、皇虎のパワーは龍子りゅうこの比ではない。恐ろしいことになるぞ! 大人数がいようとも、奴ならこの場で死闘に持ち込む可能性もあるのだ。
……これは、まずいことになった。レディは、どうすべきか一心に思案した。今から逃げる?……という訳にもいかないだろうし。
 そして、戸惑っているうちに、とうとう奴が間近に来てしまった!
 彼女は息を呑み、体を硬直させた……
「あなたは、龍子のクラスの転入生? だったかしら」ところが、奴は予想に反して穏やかな言葉を掛けてきた。その言い方に敵意は見えない。何とかばれてはいないみたいだ。彼女はホッと胸を撫で下ろす。
「は、はい。そうです」続いて、動揺を隠しつつ答えた。
「いい動きしてるわね。龍子のパンチを受けたけど。あなたは一瞬うしろに引いて、衝撃をかわしたわね」
 やはり奴も、超一流の戦闘員であろう。彼女の動きを見抜いていた。確かに奴の言う通り、あの打撃を受けた瞬間、彼女は高等テクニック、スエーバックをやっていた。そのお陰でダメージは少なかったのだ。
「何か訓練していたの?」
「ええっ、幼い頃から、父に武道を習っていたんです」
「そうなの、だから俊敏なのね。どうかしら、近い内に私たちの委員会に参加しない?」
 しかしその言葉を聞いて、すぐに反応を示したのは龍子の方だった。
「アネキ、何でそいつを加えるんだ!」と横槍を入れてきた。
「黙れ! お前は口を出すんじゃない」即座に皇虎は一喝する。そして、もう一度レディに向かって「ねえ、考えてみてちょうだい」と誘った。
「はい」と彼女は一言答える。
 皇虎たちは、その言葉を最後にその場から去っていった。何とか今回こそ、無事に済んだか……

 去り際に、龍子は不満そうな表情を見せて言った。
「アネキ、どういうつもりだ? あんな奴を会にいれるのか?」
「龍子よ、優秀な者は内に取り込む。それが定石だ。敵にすると厄介だからな」それに対し、皇虎がさらっと自論を語った。
「…………」龍子は黙っている。差し詰めここは退いた感だ。
 が、その後、別の話をし始めた。奴らにとっては重要な件について。
「族に関する情報はどうするんだい? まだ何もつかめてないぞ」
 それを聞いては、「さあて、分かっているわ。もう雑魚をつついても出ないだろうしね。あのとき、トラックさえ邪魔しなければ捕まえられていたのに! 口惜しいねえ」と皇虎は悔しさを声にする。
 その様子に、龍子は前回のことを思い出したみたいだ。
「けど、あの族も結構強かったのには驚きだよ。アネキが倒されるとは思わなかったわ。私は、裏社会で噂になってる秘密組織のMというのが強いらしいとは聞いているけど、アネキはそれ以上のはずだ。それをいとも簡単にやるとは、信じられなかったわ」と言った。
「なあに、油断しただけ……お前が言うM? とかも、名前だけが有名になって本当の実力などありはしないさ」
「そうかい。私は、裏で名が通ればかなりのやり手だと思うがね。話によれば、大柄なゴリラ女だそうだけど?」
「ふふふ、そのうち、いやが上でも戦う羽目になるさ。そのときに見せてやるよ、格の違いを……」と自信ありげに語っていた。

 一方、レディは、皇虎たちの後をやれやれと見送っていた。
「奴らの目……黒いコンタクトか」と呟きながら。
「ねえさん、大丈夫か?」すぐに康夫がレディの元へ駆け寄った。
「ああ、何とかな。でも、ありがとうな、危ないところを助けてもらって」と彼女がお礼を言う。
「いいってことよ。俺とねえさんの仲じゃねえか」と康夫は答えた。けれど次に、新たな問題も彼の口から告げられたのだ! 「それより大変なんだ。雅がいなくなった」
「何だと?」
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