元ロクデナシで今勇者

椎井瑛弥

文字の大きさ
3 / 273
第一部:ロクデナシと勇者

勇者の願い事

しおりを挟む
 ミレーヌが紅茶を入れ直してクッキーを用意してくれた。まずは一息入れる。もう土下座はやめさせた。
「このクッキーは美味いな」
「私の手作りです」
「ミレーヌと結婚したらこれがいつでも食べられるのか。幸せだろうな」
 少し怒りが収まったから、これからは穏やかにやろう。
「お口がお上手ですね」
「俺は嘘は言わないぞ」
 軽く褒めておく。感触は悪くない。ここからできる限りいい条件を引っ張り出す。それによって俺の今後が変わってくる。
 さて、願いは三つか。まずは軽めのジャブから。
「まず一つ目だ。胸を揉ませてくれ」
「…………はいっ?」
 ミレーヌがキョトンとした顔になった。そういう表情もいいな。
「だから、その胸を揉ませてくれ」
 俺がその目をじっと見つめながら言うと、ミレーヌは面白いくらい真っ赤になった。
「いえいえいえ、確かにシュウジさんは好みですけど、いーいきなりそれはそのー、もっとこーお互いのことを知ってからでないとー、そのー……」
「……」
「……あの……」
「……」
「……じかでなければ……」
「よし」
 ミレーヌの目を見つめ続けたらOKが出た。

 ミレーヌを立たせ、後ろから胸を揉みしだく。顔は見えなくなるけど、揉んだ気になるのは後ろからの方が大きい。揉み始めるとすぐにその口から喘ぎ声が漏れ始めた。
「触ってすぐに感じるって、相当淫乱なんだな」
「淫乱って——あっ」
 どう考えても淫乱だろ。服の上から軽く揉んだだけなのにこの状態だ。揉み始めてから一分も経っていないのに汗ばんでいる。駄女神なのになかなか色っぽいな。
「ひゃっ——」
 うなじに舌を這わせると、ミレーヌの体がビクッと跳ねた。その瞬間に舌にピリッと電気が走った気がした。ほんの一瞬だったから痛みなんかもない。静電気か? まあいいか。
 そのまま鎖骨の方まで舌を動かすとミレーヌがこっちを向いた。自然と顔と顔が近づく。唇が触れてしまいそうな距離にあった。
 ミレーヌの目はすでに潤んでいた。そうか、そこまで期待されたら仕方がない仕方がない。期待には応えないとな。
「んっ、んんっ、ん~~~っ‼」
 ミレーヌの口を塞ぐと、その体から力が抜けた。左手で右胸を揉みつつ体を支えながら、右手を下げて下着の中に入れた。その右手は若草の奥にあるはずの秘宝を目指す。
「ヒッ⁉」
 指先に湿り気を感じた瞬間、ミレーヌは驚いたように目を見開いた。そして俺と目が合うと、猫のように飛び上がって俺から距離を取った。
 俺はミレーヌの左腕の下から左腕を回して胸を揉んでいただけで、押さえつけたりはしていなかった。むしろミレーヌが遠慮なく俺の方に体重をかけていたから、俺が彼女の体を支えていたくらいだ。だからこいつはいつでも逃げ出すことができた。俺は無理やりってのは嫌いだからな。
「ひっひっ一つ目はっ、もっもうもうもう終わりでーーす‼ しゅーりょーしゅーーりょーー‼」
 ミレーヌはそう言い残すと隣にある建物に駆け込んだ。
 マシュマロのような胸とはああいうものだろう。構造が人間とは違うのかもしれないな。左手の感触と右手の湿り気を思い出しながら、俺はその場でミレーヌが戻ってくるのを待った。

 ◆◆◆

「うーっ、触られるのもキスをされるのも初めてだったんですよ‼‼ 責任取ってください‼‼」
 ミレーヌは戻ってくると、子供のようにブンブンと腕を振って文句を言ってき。そうか、責任か。男として責任を取るか。俺は立派な大人だからな。
「よし、男らしく責任を取ろう。ミレーヌ、結婚しようか。今日が俺たち夫婦の初夜だ。一晩中愛し合おう。子供は何人欲しい?」
「え? ええっ? わわわ、それはまだダメですダメです!」
 たたみかけるように言うと、また真っ赤になってワタワタし始めた。からかい甲斐があるなあ。もちろんチャンスがあれば美味しくいただくけどな。
「そもそも俺がお前に殺されて、お前がその責任を取ってる段階だろ?」
「それはそーですけどーー、そーなんですけどーーーー」
 ミレーヌは納得せずに口を尖らせているけど、そもそも俺が悪いわけじゃない、はずだ。胸は直__じか__には触ってない。まあ胸を揉むと言いながら唇を奪って大事なところを触ったことは口にしない。
「他の勇者に触らせたことはなかったのか?」
「こんなことをしたのシュウジさんだけですっ‼」
「え、マジか?」
 他にも絶対いただろ。この胸だぞ。ホントにいなかったのか? 性格はともかく、顔と胸は絶品だぞ?
「本当にいません。ファーストキスだったんですー」
 眉を寄せて拗ねたような口調になる。なんか可愛いな、こいつ。
 …………ん?
 さっきと何も変わらないはずなのに、その表情を見たらミレーヌが妙に可愛く思えてしまった。さっきまで美人なのに憎ったらしいだけたったのにな。
「みんな欲がなかったんだろうな」
「普通なら聖剣が欲しいとか上級魔法が使いたいとか頼むところを、いきなり胸を触りたいとか言いますか?」
「俺なら言う。何度でも言う。こんな美人が目の前にいたら言わない方が失礼だろ」
「……私って美人ですか?」
「ああ、間違いない。俺の人生では間違いなく五本の指……いや、三本の指に絶対に入る」
 また真っ赤になった。素直だな。こうやって大人しくしておけば可愛げがあるのになあ。
 とりあえずここは褒めておくに限る。褒めたら願いが増えるかもしれない。それに相手をお願いしたいような美人なのは間違いない。
「ミレーヌ、世の中には生まれ持った才能ってあるだろ? 美しさって才能だと俺は思う。声が綺麗だとか、背が高いとか、手足が長いとか、そういうものも才能だ。努力でどうにかできるもんじゃない。お前が綺麗なのも、胸と唇が柔らかいのも、いい匂いがするもの、全部立派な才能だと俺は自信を持って言えるぞ」
 そう言いながらミレーヌを見つめると、赤い顔のままモジモジし始めた。
「デレそうか? デレていいぞ。さあ、俺の胸に飛び込んでこい」
「いえ、デレませんけど……あっ」
 両手を広げて近づいても嫌がる素振そぶりを見せなかった。だからそのまま抱きしめた。
 心配になるくらいチョロい。ホントにこんなんで大丈夫か? 試験に受かってもこれじゃ心配だ。俺が面倒を見てやった方がいいな。
 ……。
 …………。
 ついさっきまで怒鳴っていたのが嘘のようだ。もしかしたら女神の持つ力とか、そんなやつか?
 でもまあ最初にいい女だと思ったくらいだ。蹴っ飛ばすよりも抱きしめる方がよっぽど建設的だ。
「ミレーヌ、今すぐベッドに連れ込んでいいか? さっき準備ができたはずだから、すぐにでも大丈夫じゃないか?」
「キ、キスより先はダメですぅ」
「分かった分かった。キスだけな」
 キスならいいと言われたら遠慮はしない。今度は正面から抱きしめて、ゆっくりと唇を堪能させてもらった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

【完結】おじいちゃんは元勇者

三園 七詩
ファンタジー
元勇者のおじいさんに拾われた子供の話… 親に捨てられ、周りからも見放され生きる事をあきらめた子供の前に国から追放された元勇者のおじいさんが現れる。 エイトを息子のように可愛がり…いつしか子供は強くなり過ぎてしまっていた…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

処理中です...