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第2章・富国強兵基礎編
40 父・織田信秀への報告…
しおりを挟む1550年12月23日。約2ヶ月ぶりに尾張へ帰国した信長は、濃姫の懐妊報告を受け翌朝早く、那古野城の奥にある執務室へ柴田勝家を呼び出した。
「権六。勘十郎が、この俺を討つために挙兵した時の様子を詳しく教えてくれ。これから末森城へ向かい、父上に報告しなければならん…」
信長の言葉に勝家は静かに語りだした。
───
信行は、自分付きの家臣である柴田勝家、津々木蔵人と、懇意にしている林秀貞・林通具兄弟を密かに呼び出した。
「皆の者…父上は、兄者を後継者にすると公言した。我らは、どうすべきか…」
信行は、苦悩に満ちた表情で問いかける。
「若様…我らは、若様こそが織田家の真の嫡男にふさわしいと信じておりまする!」
津々木蔵人は、真っ先に信行を擁護した。
「左様でございます!あのうつけ者では、尾張を治めることなどできませぬ!我ら、若様のために、命を懸けて戦う所存!」
林秀貞もまた信行への忠誠を誓う。
しかし、柴田勝家は沈黙していた。彼は納会での信長の振る舞いを思い出し、信長が単なるうつけ者ではないことを悟っている。
「権六…お前は、どう思う…?」
信行の問いかけに柴田勝家は、重い口を開く。
「若様…某は信長殿を討つべきではないと…」
「何だと!お前は兄者の味方をするというのか!」
信行は怒りを露わにした。
「若様、落ち着かれませ!某は信長殿の力を見くびってはならぬと思うております。あの軍備を整える知識と力は、人の世のものではない!もし戦えば我らは、今川水軍のように跡形もなく消滅させられまする……」
勝家は信長の圧倒的な力を冷静に分析し、信行を諫めた。しかし彼の耳には届かない。
謹慎を命じられた柴田勝家。同じ末森城内にいる織田弾正忠家当主の信秀が、謹慎の理由を信行に問い質したところ
「職務怠慢が目立つから」
と具体的な事例を答えなかった。いや、答えられなかった。
───
「そうか…勘十郎も父上にまさか、俺を討つため挙兵するが、権六がそれに従わないので謹慎にしました。等と言えないからな…」
「はい。その時は儂の軍勢1,500が参戦せねば、信行殿も謀反を諦めてくれるだろうと…大殿様に謹慎理由を聞かれても、身に覚えが無いと答えるしか無く…」
「家中に乱れを起こさない様にした訳だな…犬山城もキナ臭かったし、美濃も虎視眈々と尾張を狙っていた。そんな状況で信行謀反の件を話したら、父上も俺も信行討伐に動かざるえない…そうなると最悪だったな…」
「弾正忠家の内乱につけ込み、美濃は尾張に攻めいってきたかと。その先鋒が犬山城の織田信清!そこへ信行殿が林兄弟・津々木蔵人等と加担したら…」
「勘十郎は兄殺しどころか、父上をも殺める流れになったな…まあ父上が負けるかどうかは別として…しかし最悪、義父上殿(斎藤道三)と今川義元で尾張は分断統治されていたやも知れぬ…」
「それです。あの時はまだ例の大砲が、黒船にしか設置されていませんでした故」
「あれの陸上用改良が完成したのは犬山城反乱の5日前だ。ギリギリ間に合った。」
「儂は大殿の指示で信行殿付きの職務を解かれました。その後まさか、今川義元と通じていたとは……一つ歯車が狂うと恐ろしい結果になると、此度の謀反をみて思い知らされた次第…」
「だが権六の一門衆が良く気付いてくれた。吉田 次兵衛だったか?今川軍に対峙している最中に、後ろの矢作川を渡られたら…
甲賀忍軍が警戒していたとは言え、大混乱に陥るは必然。戦は何が起きるか分からん、早目に備えられたのが勝敗を決した。」
「姉婿の吉田 義兄上は儂が大殿直臣となった後も、林の家臣団と密に付き合ってましたから。何気無い会話から挙兵の日時を読み取りました。柴田家の恩人です。」
「後日、那古野城に呼び出して俺からも褒美を取らせる故、宜しく言っといてくれ。事のあらましは分かった。父上の元に行くぞ!」
「はっ!!」
信長は、父と母に新たな命の誕生と、今川義元捕縛、遠江を織田家の領地とした事を告げる為に末森城へ向かう。
本来なら喜ばしい報告になるのだが、実弟・織田信行謀反の結末と、腐敗防止で塩漬けにした首級(表向き・実際は神の倉庫、時間停止エリアにて保存)を届ける為、暗い気持ちを抱え重い足取りで向かうのであった。。。
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