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第2章・富国強兵基礎編
43話 信長の衝撃、天下を揺るがす!動き出す思惑
しおりを挟む1550年12月
今川義元を捕らえ三河を松平家に解放。遠江、駿河を手中に収めた織田信長の快挙は、瞬く間に日ノ本中に知れ渡った。
当初この報を聞いた時、誰もが信用しなかった。
「織田信秀なら知っているが」
「織田信長とは誰だ?」
「嫡男?家督も継いでおらぬ小僧が、太守今川義元公相手に勝っただと?」
この奇跡は各地の戦国大名たちの戦略と、日ノ本の力関係を根底から揺るがし始めた。
──甲斐の虎・武田信玄
この報せを聞いた信玄は、ただならぬ衝撃を受けていた。
「信長…あの尾張の大うつけが?まさか義元を捕らえ、三河と遠江を手にいれたと…?」
***
今川義元・武田信玄・北条氏康の(甲相駿三国同盟)は、1554年(天文23年)に締結されている。
現在1550年、4年後の事である。
***
信濃国を侵攻し各地を制圧中の信玄。国境を有する今川家とは父信虎の時代から、婚姻関係を結び争いを避けようと努力してきた。
武田の本拠地・甲斐国南部で今川と争うと、念願の北信濃侵攻に全力を注げなくなる。
今川義元が僅か16歳の若造に敗れ、捕らえられたという事実。信玄の脳裏に信長という存在が強烈に刻み込まれた。
「義元は儂も認める戦巧者。それが信長の術中に嵌められたというのか…」
今川家の弱体化により駿河侵攻が容易になったと思う反面、その駿河を織田信長という未知の脅威が、防衛しているらしい。
信玄は(うつけ者)と侮っていた自身の認識を改め、その動向を徹底的に監視するよう家臣や忍び達に命じた。
──越後の龍・上杉謙信
信長の戦いぶりに感銘を受けた上杉謙信。
「織田信長…まこと天晴れなり!」
信長の戦い方は謙信の知る兵法とは全く異なるものだった。常識を覆す、黒船・火薬銃等をもって勝利を掴んだのだ。
「あの若者は戦国の世に、新たな風を吹き込むやもしれぬ…」
謙信は信長を(新たな好敵手)として認識する。
いつか信長と雌雄を決する日が来ることを、密かに楽しみにしていた。
──相模の獅子、北条氏康
相模の北条氏康は複雑な心境であった。
「信長殿が今川家を従えるとは!あの若者は我が北条家に富を持たらしてくれる。しかし義元公とも親しくしていた儂は…これも世の流れか…」
北条家初代・北条早雲は今川義元の祖母の兄であり、両家は早い段階から姻戚関係にあった。
「信長…黒船の凄さは認識していたが、陸戦でも恐ろしい力を持っていたとは…」
氏康は急ぎ重臣達を集め、今現在の織田家との強い経済的繋がりを軸に、軍事面でも交流を深める事を模索する。
「娘の早川は、今川氏真に嫁がせる腹積もりであったが、早急に信長との縁組み進めねばならん。マムシの娘が正室におる以上、側室でも構わぬ。」
氏康は北条泰行(板部岡江雪斎の父)に指示を出す。
「年内に準備を整え年明け直ぐに動け!軍資金はいくらでも使ってよい。但し必ずこの縁組み纏めるのだ!それまで帰国は許さぬ。」
──伊勢北畠&志摩の国人衆
尾張国境で睨みあい小競り合いを続ける織田家が、今川家を支配下に置いた。
北畠 晴具は苦虫を噛み潰した表情をしていた。
「北の斎藤・西の今川の脅威が無くなった今、織田信秀は間違いなく本格的な伊勢侵攻を始める。志摩の国人衆にも声を掛け、守りを固めねば…」
息子の北畠 具教
「ですが父上。久鬼定隆(九鬼義隆の父)等の志摩の水軍は、織田信長の黒船に戦を仕掛けるどころか、その強さに憧れている様子にて…」
「伊勢湾を我が物顔で走り回る黒龍丸…まともにぶつかれば一瞬で全滅だ…陸戦に活路を見い出すしかあるまい…」
「今川家の重臣・岡部の城は、容赦ない艦砲射撃を浴び、ものの数分で瓦礫にされたそうです…」
「…黒船への対抗手段を持たぬ以上、急ぎ京へ赴き、上様に和睦の斡旋をしてもらう他ないのやも知れぬな…」
その上様だが、信長の勝利に激しく動揺していた。
第13代征夷大将軍・足利義輝
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「自前の武力を持たない将軍家に何ができると言うのだ…三管領の斯波・畠山・細川で頼りになるのは畠山のみ…だが尾張と国境を接し苦労していると聞く。
信長の父信秀は、朝廷や幕府への献金を欠かさない律儀者。尾張守護・武衛(斯波義統)を通じ、上手く抱き込むしかあるまい…」
朝廷は信長を(新興勢力)と見なし、その動向を警戒した。
「信長…一体何者なのだ…?」
父・信秀と共に高い官位を信長へ授け、朝廷の権威の下に組み込もうと画策、接触を試みるのである。
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