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第2章・富国強兵基礎編
44 大晦日の那古野城、父と息子 語り合う
しおりを挟むまさかの生母・土田御前が実の息子を刺した件は、口止めも間に合わず、あっという間に織田家中へ広がった。
しかも刺された信長が煙と共に、その場から忽然と消え去ったと言うのだ!
「神隠しなのか…?三郎は六年前、突如鎌倉殿から御告げがあったと言うていたが……よもや鎌倉殿が避難させた?…いかんな…儂も動揺している…落ち着くのだ!」
当主・信秀は1年間の反省点を話し合う、大事な年末の納会を中止してまで、事態の収拾に当たり混乱を静めていた。
◆□◆
1550年12月31日 那古野城
12月24日の末森城の惨劇から1週間。行方不明となっていた織田信長が、濃姫と共に姿を表した。
事件の翌日25日。第六天魔王ハウスへ信長に収容された濃姫。信長の失踪は鎌倉殿による神隠しであると…明智光秀と3人口裏合わせをした。
「心配御無用です。殿は源頼朝公、すなわち鎌倉殿に守護されているお方!大晦日に元気な姿で帰って来ますので、皆は心一つにして御励みなされ。」
濃姫の言葉どおり、以前にも増して元気な姿で戻って来たのだ。
平手政秀「若!!わか~~~」
「泣くな爺!お主は遠江国主、駿河の政も行う、この儂の、織田信長の筆頭家老であるぞ!でんと構えておれ!」
「はっ!ははあ~~つっ!痛い」
まだ足の骨折が響いているようだw
「権六(柴田勝家)、末森城の様子は?」
「御前様は奥の居室にて外出禁止!幽閉されております。大殿からの沙汰は、信長様の行方が判明するまで保留との事にて」
「うむ無難な線だ。父上には昨夜、文を認め甲賀衆に届けさせておる。そろそろ御見えになるだろう。」
「はい、先ほど先触れの方が見えられました。後30分もすれば御到着かと存じます。」
「そうか夕餉には早いが一献差し上げたい。爺と二人同席しろ」
「はっ!!」
◆□◆
信長の父 織田信秀は護衛以外に二人の武将を伴い、那古野城に到着。
信長、平手、柴田を合わせ計六人で、那古野城内に建築した大浴場の湯船に浸かる。
「ふぅ~~これは最高だな。大量のお湯に体を浸けると、疲れが取れていく…極楽だ…」
信秀は広々とした湯船で両足を伸ばし、リラックスムード全開。
刺された左腕を包帯で巻いた信長は、湯船の上に左腕を出し、半身浴スタイルで濡れない様にしていた。
新品の畳を敷いた掘り炬燵の部屋で、那古野織田家の得意料理と極上の酒に舌鼓を打つ。
森(三左衛門)可成(27歳)
「このビールなるもの喉越しが癖になります。」
佐久間(右衛門)信盛(22歳)
「噂の澄んだ酒…真冬なのに冷酒…某もうこれ以外の酒は飲めませぬ…」
「鰻重のタレも良いが、酒の肴は白焼きと言うたか?塩でも美味いし山葵醤油が極上だ」
父・信秀も満足そうだ。
その後も腕利きの料理人達が、多種多様な料理(信長レシピ)で織田家当主をもてなした。
◆□◆
この時代では想像もつかない、特上な料理と酒で満足した信秀達であったが、場所を評定の間へ移し今日の本題へ入る。
「まずは信長、森 可成と佐久間信盛である。両名とも今後、織田家を背負っていく才覚を持っておる。遠江・駿河で家臣として存分に使ってくれ」
「父上。織田家の貴重な管理能力に優れた人材を…助かります」
改めて公式な挨拶をお互いに交わし、信秀から人払いの命が出て親子二人きりとなった。
「…あれ以来一言も発せぬ…儂も二度顔を出したが、生きてるか死んでるか分からぬ表情であった…本来であれば斬首か磔であるが、当事者である三郎の意見が聞きたくてな。」
「親父殿、これ以上家族が家族を殺めるのは止めるべきです。世間の噂も2ヶ月もすれば落ち着く。春になれば周辺諸国の動きも見られ、母上の事件どころでは無くなるでしょう。」
「良いのか…お前の心臓を狙ったんだぞ…」
「ですが母親です…この世に1人しか居ません。それに某が信行の首を落としたのは相違無い事。ここで母上を処刑すれば新たな恨みが生まれるだけ…連鎖はここで断ち切りたく。」
「三郎………あい分かった。幽閉場所も新たに用意しよう、絶対に鉢合わせにはならん。」
「はい。宜しくお願いします。」
「うむ。それと話は変わるが、将軍家の事だ。」
「はい。今川家は足利一門でしたね。」
「ああ、年明け何だかんだと文が来るであろうな。尾張守護は斯波家で幕府の三管領の一つ…」
「確か遠江も今川に横領されていたのでしたな。どうでしょう?その辺をつついて上手く傀儡政権にしては?」
「ほお、何か上手い策がありそうだな…信長(笑)」
「まともな武力だけで戦うのは手っ取り早いですが、どうしても負傷者が多く出ます。搦手を使い犠牲者が減れば、労働力を減らさずに済むので(笑)」
「良かろう任せる。都から何やら言うてきたら直ぐに報せよう。」
「はっ!!大晦日ですぞ親父殿、飲み直しましょう。今宵は森等と一緒に泊まって下さい。」
「ははは16歳なのに酒豪だな三郎。では言葉に甘えるか」
父と息子
織田仁誠が戦国の世に来て、初めての二人酒でした。
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