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第48話 グループD 後半
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イノ・チ・ゴーイ vs ミーコ
『……ふ、ふひっ、あの、ミーコさま?』
イノ、初戦とは全く違うテンションで言う。
その声は若干の音質低下を伴って視聴者に届いていた。
『あのぉ、実は私ぃ、ふひっ、ミーコさんのファンでぇ……』
:見苦しい
:潔く散れ
辛辣なコメントをしているのはイノのファンである。
信じられないかもしれないが、グッズも購入するようなファンである。
:イノちゃんは今日も無様でかわいい
:ミーコ期待してるぞ
……ファンである。
『ミーコさんのぉ、ぇ、ぇへ、ハート作成RTA、見ましたぁ』
ミーコのカーソルは動かない。
どうやらイノの話を真面目に聞いている様子だった。
『すっごく、すっごく、お上手ですよねぇ』
ミーコは何も言わない。
ただ、その耳が嬉しそうにピコピコしている。
『ハート作成、見たいなぁ♡』
ミーコは「テト」を選択した。実況、解説、コメント、全方位がイノをボロクソに批判するが、彼女は何も聞こえていないかのような様子を見せる。
試合開始。
ミーコは楽しそうにハート作成RTAを始めた。
『わはぁ、すごーい』
イノ、ミーコを褒める。
しかし画面内を見るとガチの動きで連鎖の準備をしていることが分かる。
:イノちゃんは今日も生き汚い
:これで負けたらwww
――数分後。
『はーと!』
:きゃぁぁぁ! ミーコぉぉぉぉ!
:ミーコ喋った! 喋ったぁぁぁぁぁぁ!
:かわわわわわわわわ
生徒一同、歓喜。
『うぇ速もぅぉぇ!?』
イノ、絶叫する。
その後ハッとした様子で言った。
『ふ、ふひっ、えへ、ダブルハートとかもぉ、できるんですかぁ?』
ミーコ、二つ目のハート構築を開始。
その隙にイノは連鎖の構築を急いだ。
現在、七連鎖ほど組みあがっている。
『ミーコさん、すごぉい! 本当に二つ作れそう!』
イノ、ミーコを褒める。
『わぁっ、はやぁい! すごぉい!』
イノ、褒め続ける。
そして――
『ふたつはーと!』
ミーコ、二つ目のハート構築に成功。
それを見たイノ、絶叫する。
『わぁ、すごぉい! 本当にぃ、すごいですねぇ!!』
イノは長い時間をかけて用意した渾身の十連鎖を発動させた。
これを無抵抗で受ければ一撃で勝負が決まる。また、ぽよテトにはマージンタイムという仕組みが設けられている。これは、普通に対戦した場合、速度で勝る「テト」が有利なため、時間経過と共に「ぽよ」の攻撃力が上がる仕組みである。
マージンタイムによって攻撃力が底上げされた状態の大連鎖。
これを「ダブルハート」の盤面から相殺する手段など、存在しない。
『むにゅぅぅぅ』
負けボイス。
『ぴゃ~! ハッハァ⇧! 生き延びたァァァァ!』
コメント欄、乱れる。
イノに対する誹謗中傷(誉め言葉)の嵐となっていた。
『卑怯、ズルいは蜜の味ぃ~!』
イノ、これを笑顔で受け入れる。
その後、全力でミーコを煽り始めた。
『あらぁ、ミーコさぁん、ハート遊びたのちかったですかぁ~?』
ミーコ、何も言わない。
『ぷぷぷ~、悔しくて何も言えないようですねぇ!』
イノ、まだ煽る。
『ほらぁ、何か言い返してみなさいよ~!』
このとき一部の生徒は異変に気が付いた。
ミーコが……とっても笑顔だったのである。
イノは気が付かない。
とても満足そうに、一分近くミーコを煽り続けた。
その後、次の対戦カードを決めるルーレットが回る。
出場選手は、再びミーコとイノだった。
『なぁんでよぉ!?』
この後、イノは全身全霊の命乞いを披露したものの、あえなく敗退となった。
* * *
カーマ・セーヌ vs ミーコ
ミーコの出場が続いている。
続いての相手はカーマ・セーヌだった。
彼は既に2敗しているため、ここでミーコに負けたら敗退が確定する。
客観的に見て絶望的な状況だが……彼は、不敵に笑った。
『皆、想像したことであろう。ここで我がミーコにぼこされる姿を』
コメント、全肯定。
『ひとつ、教えてやろう。
――我はまだ、本気を出していない』
強気な前口上を経て、試合へ進む。
ここでひとつの異変が起こった。これまで「ぽよ」を選択していたセーヌが、突如として「テト」を選択したのである。
『見せてやろう。我が真の実力を!』
試合開始。
『開幕速攻!』
セーヌ、ミーコに攻撃する。
『ほぅ、これを返すのか』
ミーコ、追加攻撃。
『ほ、ほぅ。中々やるではないか』
セーヌの画面半分が妨害ブロックで埋まる。
『だがっ、貴様の攻撃は我の糧となる!』
セーヌ、妨害ブロックを利用した怒涛の反撃を開始した。
しかしミーコ、これを完璧に相殺する。その後、手薄になったセーヌに向かって、スキルを発動させた。
――時間差式2ダブ5連アタック。
真希が得意とする技が、セーヌの盤面を半壊させる。
『ふははっ! やるなぁ!
だが、今の一撃で私を倒せなかったこと、後悔するがよい!』
セーヌ、再び反撃を始める。
しかしミーコによる追撃の方が速い。
『あっ、ちょっ、やめっ。あひっ』
試合終了。
セーヌの敗退が確定した。
* * *
まさし vs ミーコ
再びミーコの出場となった。
まさしはクワァッと目を見開いた。
目力が三倍となる。その力を持って、ミーコに敗北した。
* * *
残る選手は二人だけ。
イノの卑劣な手によって一敗したミーコ。そして、未だ無敗の馬である。
共に圧倒的な実力を見せつけている二人の戦い。
コメント欄には「実質決勝戦なのでは」という内容が散見された。
:いやいや、お前らスピネイルさんのこと忘れんなよ
:今年はホタルの年だから
:真希の弟子って称号は伊達じゃなかった
そしてグループD最後の戦いが始まる。
双方共に「ぽよ」を選択し、試合開始。
まずはお互いの様子を見るかのような立ち上がりとなった。
先に仕掛けたのはミーコ。
開幕速攻の2ダブ攻撃である。
馬、これを3連鎖で受ける。
その後、ほんの数秒だけ遅れてミーコの5連鎖が炸裂した。
時間差式2ダブ5連アタック。
完璧なタイミングによる一撃である。
しかし馬、これを予期していたかのように3ダブを発動させる。流石に全て受けきることはできなかったが、ダメージを最小に抑えた。
『ぽ、ぽテ、ポテェェェェェェェ!?』
ハイレベルな戦い。
それを見たポテト、ゆであがる。
:何が起きてるですか?
:これもうマジで決勝だろ
:レベル高過ぎワロタ
:二人ともやべええええええ!
その後も一進一退の攻防が続いた。
しかし、徐々に馬の盤面が苦しくなる。
:これは決まったか?
素人目に見て、勝負あり。
だが、馬は諦めることなく意地を見せた。
起死回生の大連鎖。
1、2、3、4――止まらない連鎖音にコメント欄が大盛り上がり。
最終的に12連鎖となった。
しかしミーコ……これを13連鎖+ダブルで返す。
『……つよすぎる』
その後、ミーコの三連勝によってグループDの戦いが終わった。
『……ふ、ふひっ、あの、ミーコさま?』
イノ、初戦とは全く違うテンションで言う。
その声は若干の音質低下を伴って視聴者に届いていた。
『あのぉ、実は私ぃ、ふひっ、ミーコさんのファンでぇ……』
:見苦しい
:潔く散れ
辛辣なコメントをしているのはイノのファンである。
信じられないかもしれないが、グッズも購入するようなファンである。
:イノちゃんは今日も無様でかわいい
:ミーコ期待してるぞ
……ファンである。
『ミーコさんのぉ、ぇ、ぇへ、ハート作成RTA、見ましたぁ』
ミーコのカーソルは動かない。
どうやらイノの話を真面目に聞いている様子だった。
『すっごく、すっごく、お上手ですよねぇ』
ミーコは何も言わない。
ただ、その耳が嬉しそうにピコピコしている。
『ハート作成、見たいなぁ♡』
ミーコは「テト」を選択した。実況、解説、コメント、全方位がイノをボロクソに批判するが、彼女は何も聞こえていないかのような様子を見せる。
試合開始。
ミーコは楽しそうにハート作成RTAを始めた。
『わはぁ、すごーい』
イノ、ミーコを褒める。
しかし画面内を見るとガチの動きで連鎖の準備をしていることが分かる。
:イノちゃんは今日も生き汚い
:これで負けたらwww
――数分後。
『はーと!』
:きゃぁぁぁ! ミーコぉぉぉぉ!
:ミーコ喋った! 喋ったぁぁぁぁぁぁ!
:かわわわわわわわわ
生徒一同、歓喜。
『うぇ速もぅぉぇ!?』
イノ、絶叫する。
その後ハッとした様子で言った。
『ふ、ふひっ、えへ、ダブルハートとかもぉ、できるんですかぁ?』
ミーコ、二つ目のハート構築を開始。
その隙にイノは連鎖の構築を急いだ。
現在、七連鎖ほど組みあがっている。
『ミーコさん、すごぉい! 本当に二つ作れそう!』
イノ、ミーコを褒める。
『わぁっ、はやぁい! すごぉい!』
イノ、褒め続ける。
そして――
『ふたつはーと!』
ミーコ、二つ目のハート構築に成功。
それを見たイノ、絶叫する。
『わぁ、すごぉい! 本当にぃ、すごいですねぇ!!』
イノは長い時間をかけて用意した渾身の十連鎖を発動させた。
これを無抵抗で受ければ一撃で勝負が決まる。また、ぽよテトにはマージンタイムという仕組みが設けられている。これは、普通に対戦した場合、速度で勝る「テト」が有利なため、時間経過と共に「ぽよ」の攻撃力が上がる仕組みである。
マージンタイムによって攻撃力が底上げされた状態の大連鎖。
これを「ダブルハート」の盤面から相殺する手段など、存在しない。
『むにゅぅぅぅ』
負けボイス。
『ぴゃ~! ハッハァ⇧! 生き延びたァァァァ!』
コメント欄、乱れる。
イノに対する誹謗中傷(誉め言葉)の嵐となっていた。
『卑怯、ズルいは蜜の味ぃ~!』
イノ、これを笑顔で受け入れる。
その後、全力でミーコを煽り始めた。
『あらぁ、ミーコさぁん、ハート遊びたのちかったですかぁ~?』
ミーコ、何も言わない。
『ぷぷぷ~、悔しくて何も言えないようですねぇ!』
イノ、まだ煽る。
『ほらぁ、何か言い返してみなさいよ~!』
このとき一部の生徒は異変に気が付いた。
ミーコが……とっても笑顔だったのである。
イノは気が付かない。
とても満足そうに、一分近くミーコを煽り続けた。
その後、次の対戦カードを決めるルーレットが回る。
出場選手は、再びミーコとイノだった。
『なぁんでよぉ!?』
この後、イノは全身全霊の命乞いを披露したものの、あえなく敗退となった。
* * *
カーマ・セーヌ vs ミーコ
ミーコの出場が続いている。
続いての相手はカーマ・セーヌだった。
彼は既に2敗しているため、ここでミーコに負けたら敗退が確定する。
客観的に見て絶望的な状況だが……彼は、不敵に笑った。
『皆、想像したことであろう。ここで我がミーコにぼこされる姿を』
コメント、全肯定。
『ひとつ、教えてやろう。
――我はまだ、本気を出していない』
強気な前口上を経て、試合へ進む。
ここでひとつの異変が起こった。これまで「ぽよ」を選択していたセーヌが、突如として「テト」を選択したのである。
『見せてやろう。我が真の実力を!』
試合開始。
『開幕速攻!』
セーヌ、ミーコに攻撃する。
『ほぅ、これを返すのか』
ミーコ、追加攻撃。
『ほ、ほぅ。中々やるではないか』
セーヌの画面半分が妨害ブロックで埋まる。
『だがっ、貴様の攻撃は我の糧となる!』
セーヌ、妨害ブロックを利用した怒涛の反撃を開始した。
しかしミーコ、これを完璧に相殺する。その後、手薄になったセーヌに向かって、スキルを発動させた。
――時間差式2ダブ5連アタック。
真希が得意とする技が、セーヌの盤面を半壊させる。
『ふははっ! やるなぁ!
だが、今の一撃で私を倒せなかったこと、後悔するがよい!』
セーヌ、再び反撃を始める。
しかしミーコによる追撃の方が速い。
『あっ、ちょっ、やめっ。あひっ』
試合終了。
セーヌの敗退が確定した。
* * *
まさし vs ミーコ
再びミーコの出場となった。
まさしはクワァッと目を見開いた。
目力が三倍となる。その力を持って、ミーコに敗北した。
* * *
残る選手は二人だけ。
イノの卑劣な手によって一敗したミーコ。そして、未だ無敗の馬である。
共に圧倒的な実力を見せつけている二人の戦い。
コメント欄には「実質決勝戦なのでは」という内容が散見された。
:いやいや、お前らスピネイルさんのこと忘れんなよ
:今年はホタルの年だから
:真希の弟子って称号は伊達じゃなかった
そしてグループD最後の戦いが始まる。
双方共に「ぽよ」を選択し、試合開始。
まずはお互いの様子を見るかのような立ち上がりとなった。
先に仕掛けたのはミーコ。
開幕速攻の2ダブ攻撃である。
馬、これを3連鎖で受ける。
その後、ほんの数秒だけ遅れてミーコの5連鎖が炸裂した。
時間差式2ダブ5連アタック。
完璧なタイミングによる一撃である。
しかし馬、これを予期していたかのように3ダブを発動させる。流石に全て受けきることはできなかったが、ダメージを最小に抑えた。
『ぽ、ぽテ、ポテェェェェェェェ!?』
ハイレベルな戦い。
それを見たポテト、ゆであがる。
:何が起きてるですか?
:これもうマジで決勝だろ
:レベル高過ぎワロタ
:二人ともやべええええええ!
その後も一進一退の攻防が続いた。
しかし、徐々に馬の盤面が苦しくなる。
:これは決まったか?
素人目に見て、勝負あり。
だが、馬は諦めることなく意地を見せた。
起死回生の大連鎖。
1、2、3、4――止まらない連鎖音にコメント欄が大盛り上がり。
最終的に12連鎖となった。
しかしミーコ……これを13連鎖+ダブルで返す。
『……つよすぎる』
その後、ミーコの三連勝によってグループDの戦いが終わった。
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