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その後(アラン編)
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僕は馬鹿で、弱虫だ。
愛している女が、他の男に愛を囁き、抱かれているのに、文句の1つも言えない。ただ指をくわえて、その様子を外から見ているだけだ。
いや、むしろ彼女が求めるままに、愛人との営みに使う避妊薬さえ、手渡してしまった。それを渡せば、どんなことに使われるのか、分かっているはずなのに。コレットに嫌われたくない。彼女にとっての自分の価値を上げたい。
ただ、自分の欲を満たすためだけに、渡したのだ。
結婚さえすれば、彼女が少しは僕を男として見てくれるかと思った。けれど、彼女は変わらなかった。体の関係はある。でも、それだけだ。
彼女の心は手に入らない。ずっと苦しい気持ちが続いている。
僕は本当に彼女を愛しているのだろうか。歪な結婚生活が始まった時から、ずっと自問自答している。その答えは今も出ていない。
「今日のコレットも、凄いなあ……」
はぁ、とため息をつく。
穴から聞こえてくるコレットの嬌声と痴態に、僕の視線は釘付けだった。
コレットが愛する男が僕ではないことが、心底残念だが、ドミニク先生の代わりは出来ない。サミュエルは否定するだろうけど、コレットの愛は、あの男のところにある。それは認めたくないが、誰が見ても明白な事実だろう。
僕たちが彼女と離婚すれば、きっとドミニク先生も離婚して彼女を娶るだろう。そんな予感がする。けれども、僕も、友人たちも、彼女を手放すことは出来なかった。それだけ、肉体的にも精神的にも、コレットに依存してしまっているからだ。
愛されていないことが分かっていても、子供という存在で縛り付けてでも、僕は彼女の隣に居たかった。
「なんて、僕は最低な男なんだろう……」
結婚すれば、この不安から解消されるだろうかと思っていたけれど、悩みは余計に深まっただけだった。結婚してから10年が過ぎた。
いったい、この生活を何時まで続けるのか。
ドミニク先生がコレットとベットを共にするのは、月に1度ぐらいの頻度だ。その日が近づくと、侍女のマリアが教えてくれる。
その日に合わせて、僕は自室で【覗き穴】という珍しいスキルを持った男に待機させ、ドミニク先生とコレットの性行為を見て自慰をした。
コレットは、こんな僕を見て、どう思うだろうか。幻滅するだろうかと思う時もあるけど、きっと何も思わないだろう。
彼女にとって僕は空気に等しく、そのぐらい自分に対する関心は薄かった。
自慰は僕にとって神聖な行為だった。愛する人が他の男に抱かれている姿を見てすると気分が高まり、最高に気持ちが良くなった。
ただ、射精した後には必ず、言いようのない寂しさに襲われる。それを紛らわせるために、男を招き入れ、抱かれていた。
「あっ! すごい。すごいです、殿下ぁ……」
「リザルトと呼べと言っただろう」
僕は尻を叩かれながら、射精した。
コレットで僕は女を知った。でも、男に抱かれるのは、もっと前から。それこそ、幼い頃からだった。庭師の男や祖父、数えきれないほどの男が僕を女代わりに抱いた。エドモンは、そんな僕を心配して、コレットを抱くように仕向けたのかもしれない。
本当は女よりも、男に抱かれるのが好きなのだろう。コレットだったら、愛することが出来たかもしれないけど、その愛は得られることはない。ぽっかりと空いた穴を埋めるように、また僕は男に抱かれるようになった。
抱かれる男は誰でも良かった。後腐れのないように、毎月のように違う男を、僕はベットに誘った。寂しさを忘れるように、僅かの間の温もりを求めて、僕は男に抱かれて、鳴いた。
しかし、そんな生活を続けても、やはり虚しいだけだった。ドミニク先生に向けるコレットの笑顔を見る度に、無気力に陥る日が増えていった。
だからだろうか。僕が、その男の手を取るようになってしまったのは。
愛している女が、他の男に愛を囁き、抱かれているのに、文句の1つも言えない。ただ指をくわえて、その様子を外から見ているだけだ。
いや、むしろ彼女が求めるままに、愛人との営みに使う避妊薬さえ、手渡してしまった。それを渡せば、どんなことに使われるのか、分かっているはずなのに。コレットに嫌われたくない。彼女にとっての自分の価値を上げたい。
ただ、自分の欲を満たすためだけに、渡したのだ。
結婚さえすれば、彼女が少しは僕を男として見てくれるかと思った。けれど、彼女は変わらなかった。体の関係はある。でも、それだけだ。
彼女の心は手に入らない。ずっと苦しい気持ちが続いている。
僕は本当に彼女を愛しているのだろうか。歪な結婚生活が始まった時から、ずっと自問自答している。その答えは今も出ていない。
「今日のコレットも、凄いなあ……」
はぁ、とため息をつく。
穴から聞こえてくるコレットの嬌声と痴態に、僕の視線は釘付けだった。
コレットが愛する男が僕ではないことが、心底残念だが、ドミニク先生の代わりは出来ない。サミュエルは否定するだろうけど、コレットの愛は、あの男のところにある。それは認めたくないが、誰が見ても明白な事実だろう。
僕たちが彼女と離婚すれば、きっとドミニク先生も離婚して彼女を娶るだろう。そんな予感がする。けれども、僕も、友人たちも、彼女を手放すことは出来なかった。それだけ、肉体的にも精神的にも、コレットに依存してしまっているからだ。
愛されていないことが分かっていても、子供という存在で縛り付けてでも、僕は彼女の隣に居たかった。
「なんて、僕は最低な男なんだろう……」
結婚すれば、この不安から解消されるだろうかと思っていたけれど、悩みは余計に深まっただけだった。結婚してから10年が過ぎた。
いったい、この生活を何時まで続けるのか。
ドミニク先生がコレットとベットを共にするのは、月に1度ぐらいの頻度だ。その日が近づくと、侍女のマリアが教えてくれる。
その日に合わせて、僕は自室で【覗き穴】という珍しいスキルを持った男に待機させ、ドミニク先生とコレットの性行為を見て自慰をした。
コレットは、こんな僕を見て、どう思うだろうか。幻滅するだろうかと思う時もあるけど、きっと何も思わないだろう。
彼女にとって僕は空気に等しく、そのぐらい自分に対する関心は薄かった。
自慰は僕にとって神聖な行為だった。愛する人が他の男に抱かれている姿を見てすると気分が高まり、最高に気持ちが良くなった。
ただ、射精した後には必ず、言いようのない寂しさに襲われる。それを紛らわせるために、男を招き入れ、抱かれていた。
「あっ! すごい。すごいです、殿下ぁ……」
「リザルトと呼べと言っただろう」
僕は尻を叩かれながら、射精した。
コレットで僕は女を知った。でも、男に抱かれるのは、もっと前から。それこそ、幼い頃からだった。庭師の男や祖父、数えきれないほどの男が僕を女代わりに抱いた。エドモンは、そんな僕を心配して、コレットを抱くように仕向けたのかもしれない。
本当は女よりも、男に抱かれるのが好きなのだろう。コレットだったら、愛することが出来たかもしれないけど、その愛は得られることはない。ぽっかりと空いた穴を埋めるように、また僕は男に抱かれるようになった。
抱かれる男は誰でも良かった。後腐れのないように、毎月のように違う男を、僕はベットに誘った。寂しさを忘れるように、僅かの間の温もりを求めて、僕は男に抱かれて、鳴いた。
しかし、そんな生活を続けても、やはり虚しいだけだった。ドミニク先生に向けるコレットの笑顔を見る度に、無気力に陥る日が増えていった。
だからだろうか。僕が、その男の手を取るようになってしまったのは。
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