白薔薇姫は愛に溺れる【完結】

ちゃむにい

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過去の、幻影が見えるようだった。

『ずっと俺を見ていたよね。何か言いたいことでもあるのかい?』

ランスロット王子は、私の視線を感じて、わざわざ来てくれたのに、私は恥ずかしがって、想いを伝えるチャンスを逸してしまった。

あの時は、何も言えなかった。
そして、その恋心は取り返しがつかないほどの後悔の念となり、何年経っても私の心を蝕んでいた。もし今、デルクと逢えなくなってしまうようなことがあれば、この気持ちは伝えられなくなってしまう。私は長い間、待ってもらっていた。彼に信じてもらえなくとも、私は、この気持ちを伝えなければいけない。

胸に真っ赤な恋の炎が宿っていると自覚すると、あっという間に炎は大きく成長し、もはや目を逸らすことさえできないほどの業火と化していた。
その熱は忽ちに全身へと広がり、魂が焼け焦げてしまいそうだった。それは初恋の時と同じように、前後不覚になってしまいそうになるぐらい、蕩けるような熱さだった。

私は無意識に、その言葉を口にしていた。

「デルク。私は……」

デルクを愛しています。

そう彼に聞えるように囁いたけれども、情けないぐらいに声は震えていた。彼の目が見れなくて、視線を彷徨わせる。
すぐに返事はくるのかと思ったが、何の反応も無かった。

「ごめ、んなさい……」

「いいや、許さないよ」

彼は、かたく握りしめていた私の手を解き、指を絡ませた。私よりも体温の高い手。
けれども彼の言葉に、心は凍えるほど冷たくなった。

「……そう、ですよね……」

視界が、ぼんやりと滲んだ。
彼に返す言葉が、無い。
デルクは私が他の男性に恋心を寄せていても、怒鳴ることもなければ、罵ることもしなかった。彼は苦しみながら、私を愛してくれたのに、そのことを私が気づかないように、笑顔の裏に押し殺していた。

「とても、悲しくて、つらかったんだよ。それなのに、許すとでも思った?」

容赦なく私を責め立てる言葉とは裏腹に、どこまでもデルクは優しい。じわりとたまっていく涙を、デルクは拭ってくれた。

「あと100回ぐらい、ベットの中で愛してるって言ってくれたら、許してあげるよ。あっ、それと、このね、ほらこれだよ、ここ見て。体位っていっぱいあるらしいんだよ…………全部したい。今すぐ、しよっか?」

どこから持ってきたのか、古びた本を持ってきてページを捲った。そのページには色々な体勢で性交をしている男女の小さな絵がたくさん描かれており、彼はその内の1つに指を指した。
張り詰めた緊張感が、緩む。
そうやって、重い空気を軽くしようとしてくれるデルクの愛情のこもった視線に、私は狂おしいほど愛しさを感じた。

「あっ、ずるいよ、レティア。泣くのはずるい……! なッ、何も出来なくなっちゃうじゃないか……」

「して……、デルク。私、貴方に愛されたいから……」

「レティア……」

会話が途切れた。
けれども、心地よい静けさだった。目には見えない絆が、繋がったように感じて、胸を熱くさせた。

デルクは軽やかに私の体を抱きかかえて、ベットの上に下ろして服を脱ぎ始めた。彼は努めて落ち着き払おうとしているけれども、大きな金色のボタンが上手く外れなくて困惑している様子だった。
その様子を見ているだけで、心はくすぐられたけれたけれども、半ば強引にボタンを引き千切ろうとしているデルクに慌てて、代わりに私が彼のボタンを1つずつ外して、服を脱がせた。

そうして彼は私を抱きしめ、どちらともなく唇を合わせる。

ふと彼を見上げると、デルクの瞳の輝きが増していた。
まるで息を奪いあうかのような激しい口づけに、身も心もクラクラと陶酔してしまう。彼が私を求めてくれる。
それだけで、どんなに嬉しいことだろう。これからは彼の視線から逃げることはないだろう。もっとデルクに私を見て欲しかった。

部屋の中は日が落ちて、とっぷりと暗くなってしまっているけれども、侍女が灯してくれた銀の燭台から煌々とした光が差し込み、部屋の中を仄かに明るくしていた。だからデルクの欲望に濡れた顔も、十二分に見ることが出来た。
目と鼻の先には、夜の獣へと豹変した、可愛い我が夫がいる。けれども、そうさせるのも、私なのだと思うと優越感でいっぱいになった。何時になく鋭い彼の視線に心を躍らせながら、彼に愛されたいと願ってしまう。

私は、デルクを独り占めにしたかった。
唇を塞がれ、飢えた心を満たすかのように体が絡み付くと、恋の炎は燃え上がった。デルクの手がいやらしく這い回って、私を快楽の底へと落す。
彼は首に、鎖骨に、胸に、わざと音をたてて、口づけをした。そうして、まだ眠っている快楽を呼び起こしていく。真珠のように白い肌に、ピンク色の花が次々に咲き、徐々に体全体が熱を帯びていった。

「は、あっ」

だが、私はこれ以上の甘美な快楽を知っている。そう思うと下腹部が疼いて蜜が溢れてくる。彼に抱かれるたびに、感覚が鋭敏になってきているような気がした。
濡れた舌先で、指で慣らされた入口を押し広げられる。ゾワッとした快感が背中を駆け抜け、おびただしい蜜がしたたり落ちた。




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