本当に愛する時

Estrella

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皇城舞踏会

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運命の日とでも言うのだろうか。
サラシアはこの日とても憂鬱であった。

サ「断れないって!どうしてですか!?」

公「全貴族が集まりこの帝国の建国を祝う日に、一体なぜ公爵家が欠席できるというのだ?」

サ「私だけいなくても分かりませんよ!」

公「名前を呼ばれるだろうが!」

サ「ぐっ!」

「諦めろサラ。」

「そうよぉ。おめかししましょ~!」

どこからともなく聞こえてくるこの声の正体……
我が家が誇る美人達。
双子の兄二人と姉二人のご登場である。

サ「げっ!兄様達も姉様たちも揃ってるの!?」

兄「何を当たり前のことを……」

姉「貴族が揃うって話したでしょう?」

サ「帝国一の美人を揃えるんですか!?配偶者も婚約者もいるのに!?」

兄「感想そこ?」

姉「んもー!嬉しい言葉だけど、帝国一の美人はサラ一人だと思うわぁ。」

(※この兄と姉双子で声を揃えて話してます。)

サ「そんなわけないよ!この容貌で!」

兄「それにしてるのはサラ本人な。化粧しなくても綺麗なのに隠すんだから。」

姉「そうよ!なんでこの顔を隠すのかしら!この身体も!美しいのに!」

そう言いながら、どんどん姉二人はサラシアを部屋へ誘導していく。

兄「なんも心配すんな!変な輩は近づいてこねぇよ!」

姉「そうよ~!私たちがそれを許すわけないわ!」

兄姉「だって……こーんなに可愛いサラちゃんをその辺の男になんてやらないから~!」

何を隠そう!隠してないけど、この兄姉は妹サラシアを溺愛しているのである!
(サラシアの悪口を言った貴族が没落するほど)

姉「さてと、始めますか。」

サ「ん?」

姉二人がサラシアを部屋へと誘導完了!

姉「やるわよ!我がメイクチーム達!」

使「はい!」

ズラっと並んだ使用人とドレスとアクセサリー。

サラシアは一瞬でやっぱり姉には勝てないものだと悟った。

サ「わぁ~!!!!!」




かくして、3時間後。


皇城舞踏会は夜開催される。
でなければサラシアは明け方から支度していただろう。

兄「さて向かうか!」

カスティアン公爵家……もう一つの通り名は美人一家である。


サ「はぁ。」
(こうなったら、端にいよう。)

それか外……と思っているサラシアだが、この容貌で無理だろうなと思う他の公爵家の皆であった。






皇城



《カスティアン公爵家一同のご入場です!》


一斉に振り向く貴族と歓声。
それほどの人気を誇るカスティアン公爵家は注目の的である。


「まぁ。一番後ろのご令嬢はどなた?」
「いつ見ても素晴らしい容姿ね。羨ましいわ。」
「あれで兄一人姉一人は既婚者でもう一人ずつは婚約者もいてって…お相手が羨ましいですわ。」
 「あら?ではあの一番後ろの方は、末のご令嬢ってこと?」
「たしかいらしてたわね。名前はなんだったかしら?」
「学園でも、名を聞いた覚えがあるけれど……」
「社交界には出てなかったかしら?」

ありとあらゆる噂話がされ、目下噂の的はサラシアである。

婚約者のいない公爵家の令嬢。
なんとも標的にされやすい地位。

しかしそれを上回るほどに美しすぎる容姿。

カスティアン公爵家と言えば、薄紫の光沢のある髪にピンクの瞳が美しいと有名であるが、サラシアはまた始祖の血を濃く受け継ぎ、オレンジ色の瞳をしている。
まるで食べてはいけない、甘い果実のように甘美な令嬢。

周りの視線が痛いほど刺さる中、今までの婚約者候補たちは、サラシアの美しさに気づけず後悔の真っ最中である。

サ「こんな風に地味な変装を解くのはなぁ。」

姉「何言ってるの!そんなに美しいのだから、何を言われても堂々と笑っていればいいのよ!」
兄「まず、悪口言われれば潰すけどな!」

(笑顔ですごいこと言ってる……)

サ「どこか端で休みたいです。」

姉「もう!?」

兄「まぁ、入場はしたしいいのか……な?」

サ「お兄様お姉様方はどうするんですか?」

姉「うーん。大抵は友人の令嬢たちとお話するだけよぉ。」

兄「そうだなぁ。今日の場合は陛下が入場なさるまで会場にはいた方がいいだろうし。」

サ「外に行く方もいるのですか?」

兄「外もいるが……休憩室とかはやたらと入らない方がいいぞ。」

姉「そうね!あそこは巣窟だからね!」

サ「?なんのですか?」

兄姉「……まぁとりあえず行かない方がいいのよ。」

サ「え?はい。会場の端にいますね……」

姉「帰る時はみんな一緒だから、見えるところにいてね!」

兄「そうだぞ!誰にもついて行くなよ!」

サ「はい。分かりました!何かあれば呼びますね。」

過保護だが、人避けにいいなと思ったサラシアであった。

公「私は陛下への挨拶を先に済ませてくる。」

サ「入場前にですか?」

兄「父上は面倒臭いほど先に済ませるんだ。」

公「あとからでは、列が長いではないか。」

サ「あはは……」

(それ、あとで私もしないといけないかのかな……)

サラシアは一人、端によりこっそり隠密の魔法をかけて家族以外気づかれないように過ごすことにした。


少しして、

《ユリウス・トゥル・クロノス皇帝陛下の入場です!》

大層な音楽とともに皇帝陛下が入場した。


赤い髪に黄金の瞳の皇帝陛下。
まさしくご令嬢方が釘付けになる男ナンバーワン。

そして……

ユリウス皇帝陛下とサラシア令嬢が初めて顔をしっかり合わせ、
皇帝陛下が階段をおりる際、サラシアの魔法にはかからずサラシアを見つけだした。その瞬間皇帝は口を緩めた。

(今……目が合った?隠密の魔法をかけてあるし、気の所為だよね?)

ユ「この度、オルレア帝国の建国記念日に舞踏会を開き、我が婚約者を発表する運びとなり、皆の参加嬉しく思う。」

「やはり、婚約者をお決めになったのは事実だったのか!」
「一体どこのご令嬢でしょう?」

ユ「静かに!我が婚約者を発表するに辺り、改めて皇家の婚姻について説明しようと思う。我がオルレア帝国の皇族は伴侶たる者と繋がっており、そのものとの出会いを果たせば、一目で分かると言われている。」

「まぁ。本当の話だったのね。」
「運命的な出会いってことよね?」

ユ「故に!今こうして集まってもらい婚約者が決まった!」

「まぁ!今見つけたってこと?」
「それこそ運命だわ!」

会場がざわつく中、サラシアは一人何を食べようか考えていた。
忘れていたのだ。天才が二人いると。


ユ「その皆の言う運命的な出会いと称し私自ら令嬢の元へといこう。」


会場からの歓声が飛び交い、皇帝陛下は絵画のワンシーンのごとく、バラの吹雪の中現れた。

サラシアの前に。


サ「え?」

ユ「サラシア・カスティアン令嬢。そなたが我が婚約者だ。」

サラシアの手を取った瞬間、隠密の魔法が解け周りの者たちは驚いた。

「まぁ。カスティアン公爵家の美しいご令嬢!」
「地味だと聞いていたのにあんなに美しい方だったなんて!」




兄姉「あらら。」


サ「こんやくしゃ?」

ユ「ああ。」

サ「誰が?」

ユ「そなたが」

サ「誰の?」

ユ「私の」

サ「……嘘」

ユ「ほんとだ」

混乱するサラシアを他所にユリウス皇帝陛下は笑う。
不敵な笑みを浮かべながら。

ユ「隠密で逃げられると思ったか?何年そなたを探したと思っている。俺はもう逃がさんぞ。」

耳元で一層低い声で囁かれたサラシアは一瞬ドキッとしたものの、すぐ気づく。
その恐ろしさも隠れた微笑みに。

サ「こっ、断ることは……」

ユ「出来ると思っているのか?この皇族との婚約が。」

捕まれた手に力が込められる。

サ「なんで私……?」

ユ「そう決まっているからだ。」

サ「いつから……?」

ユ「お前が生まれたあの瞬間から。俺が5歳時に味わったあの感覚をずっと探していた。」

サ「生まれた時?陛下がその場にいたというのですか?」

焦るサラシア。

ユ「そうだ。その時から婚約者だと、皇族の伝承に残る番だとわかったのだ。」

サ「私が……番?」

ユ「観念しろ。今まで逃げていたことは伏せといてやるがそれに気づかないほど愚かでは無い。」

(何せ生まれたその瞬間番として縁が結ばれ、皇族の番は居場所が分かるようになっているのだから。)

サラシアも知らなかった事実。
ただ関わらない方がいいと本能的に思った相手。
本の世界のようなことが本当に起きてしまった……
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