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第二章 男を誘う
18 大人の時間 ※
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隆二は爽の隣に座り、手を握った。
「なに?」
「会いたかった」
隆二が真面目な顔をして伝えてくるので、爽はどう返していいかわからない。
「……そう」
「そう」
爽は淹れてもらったコーヒーを一口飲む。
「あ、美味しい」
「でしょ?」
「……」
満面の笑みの隆二、この空気感、爽には辛かった。仮に恋人や友達なら、ただくつろいでコーヒーを飲んでいるだけの他愛もない時間。だが、爽は隆二とただ一度の体の関係を結んだだけなので、このまったりした空気が気まずい。
「ねぇ、しないの?」
「したいの?」
したいかしたくないかで言ったら、今はどちらでもない気がする。初めの時みたいに、もう意欲がわかない。このコーヒーはなにかそういうリラックス成分でも入っているのだろうか。しかし隆二の子種は惜しい気がする。
「したい、かな」
「僕もだよ、でも、この関係をしっかりと明確なものにしたい」
「俺、今、難しいこと考えられない。するかしないかだけ教えてよ」
「はは、オメガだからなの? そんな無防備になるなんて、僕を認めてくれているってことだよね」
「なにそれ」
「だって、オメガがそんなにほんわかした雰囲気をだすなんて、好みの相手を見つけたってことでしょう」
「そうなのかな? でも、たしかに隆二は嫌いじゃない」
「まぁ、それでいいかな。一回スッキリしておこうか」
「え、あ、ああ」
隆二はうなじを舐めて、爽の股間をまさぐった。隆二に触られるとたちまち、心の奥がぎゅうっとする。これはいったいなんなのだろうか。
早業でズボンを下ろされ、ソファで下半身丸出しになった。すると、隆二が地面に座り、爽の足の間を陣取る。
「な、なに?」
「いいから、んんん」
「あ、あ、だめっ、汚いからっ、そんなの、んんん」
「綺麗だよ。ひもちい、でしょ?」
いきなり爽のペニスを持ったかと思ったら、口の中に入れてじゅぼじゅぼと隆二の口から水音を鳴らす。入れては出してを繰り返す。口淫されるとは思ってもいなかった爽は焦ったが、すぐに快楽にのまれた。
「あ、ああ、いっちゃう、きもちいっ、りゅうじっ、あ」
部屋は一瞬にして卑猥な空気に変わった。先ほどまでのコーヒーの清らかな香りたちのめる空間には、新たに爽のフェロモンが香り出す。ベータでもフェロモンに酔うことがあると聞いたばかりだ。口淫をしているだけなのに、隆二の股間は膨らんでいた。人のを舐めて感じるベータって、かなりの上級者な気がする。
アルファならオメガのフェロモンに弱いから、それくらいでも勃起できるかもしれない。しかし隆二はベータだ。さすがやり慣れている男だと思った。
「あ、出るっ、離してっぇぇ、あ」
それでも離さずにバキュームは続く。爽はいけないことをしている気がして、顔を横に振るも隆二の拘束は解けない。頑張って抗ったけが、その行動むなしく、ついに果てた。隆二の口に欲望を吐き出した爽は、その瞬間の達成感よりも罪悪感が勝った。
「……っ、ごっくん」
「あ、あ、なに、してんだよぉ」
「爽の可愛いミルクを飲んだだけだよ、ご馳走様」
「ばかぁ」
急に涙が出てきた。すると隆二が下から覗き、膝にタオルをかけてから抱きしめた。
「ごめん、まさか泣くとは思わなかった」
「だって、こんなこと経験ない」
「ごめんね、つい、可愛くて」
「うっ、ばか、ばか、ばかぁ」
「ああ、僕はばかだよ。爽に向き合うとバカになっちゃうみたいだ」
「ううう」
なぜか、隆二に縋りたくなった爽は胸に抱きついて泣いた。なぜだろう。今はただ泣きたいだけの気分だった。隆二がずっと頭を撫で、もう片方の腕は腰をぎゅっとする。
繋がっている時以上に、今が一番近くにいる気がした。
いつの間にか睡魔が襲ってきて、爽の記憶がそこで途絶えた。
「なに?」
「会いたかった」
隆二が真面目な顔をして伝えてくるので、爽はどう返していいかわからない。
「……そう」
「そう」
爽は淹れてもらったコーヒーを一口飲む。
「あ、美味しい」
「でしょ?」
「……」
満面の笑みの隆二、この空気感、爽には辛かった。仮に恋人や友達なら、ただくつろいでコーヒーを飲んでいるだけの他愛もない時間。だが、爽は隆二とただ一度の体の関係を結んだだけなので、このまったりした空気が気まずい。
「ねぇ、しないの?」
「したいの?」
したいかしたくないかで言ったら、今はどちらでもない気がする。初めの時みたいに、もう意欲がわかない。このコーヒーはなにかそういうリラックス成分でも入っているのだろうか。しかし隆二の子種は惜しい気がする。
「したい、かな」
「僕もだよ、でも、この関係をしっかりと明確なものにしたい」
「俺、今、難しいこと考えられない。するかしないかだけ教えてよ」
「はは、オメガだからなの? そんな無防備になるなんて、僕を認めてくれているってことだよね」
「なにそれ」
「だって、オメガがそんなにほんわかした雰囲気をだすなんて、好みの相手を見つけたってことでしょう」
「そうなのかな? でも、たしかに隆二は嫌いじゃない」
「まぁ、それでいいかな。一回スッキリしておこうか」
「え、あ、ああ」
隆二はうなじを舐めて、爽の股間をまさぐった。隆二に触られるとたちまち、心の奥がぎゅうっとする。これはいったいなんなのだろうか。
早業でズボンを下ろされ、ソファで下半身丸出しになった。すると、隆二が地面に座り、爽の足の間を陣取る。
「な、なに?」
「いいから、んんん」
「あ、あ、だめっ、汚いからっ、そんなの、んんん」
「綺麗だよ。ひもちい、でしょ?」
いきなり爽のペニスを持ったかと思ったら、口の中に入れてじゅぼじゅぼと隆二の口から水音を鳴らす。入れては出してを繰り返す。口淫されるとは思ってもいなかった爽は焦ったが、すぐに快楽にのまれた。
「あ、ああ、いっちゃう、きもちいっ、りゅうじっ、あ」
部屋は一瞬にして卑猥な空気に変わった。先ほどまでのコーヒーの清らかな香りたちのめる空間には、新たに爽のフェロモンが香り出す。ベータでもフェロモンに酔うことがあると聞いたばかりだ。口淫をしているだけなのに、隆二の股間は膨らんでいた。人のを舐めて感じるベータって、かなりの上級者な気がする。
アルファならオメガのフェロモンに弱いから、それくらいでも勃起できるかもしれない。しかし隆二はベータだ。さすがやり慣れている男だと思った。
「あ、出るっ、離してっぇぇ、あ」
それでも離さずにバキュームは続く。爽はいけないことをしている気がして、顔を横に振るも隆二の拘束は解けない。頑張って抗ったけが、その行動むなしく、ついに果てた。隆二の口に欲望を吐き出した爽は、その瞬間の達成感よりも罪悪感が勝った。
「……っ、ごっくん」
「あ、あ、なに、してんだよぉ」
「爽の可愛いミルクを飲んだだけだよ、ご馳走様」
「ばかぁ」
急に涙が出てきた。すると隆二が下から覗き、膝にタオルをかけてから抱きしめた。
「ごめん、まさか泣くとは思わなかった」
「だって、こんなこと経験ない」
「ごめんね、つい、可愛くて」
「うっ、ばか、ばか、ばかぁ」
「ああ、僕はばかだよ。爽に向き合うとバカになっちゃうみたいだ」
「ううう」
なぜか、隆二に縋りたくなった爽は胸に抱きついて泣いた。なぜだろう。今はただ泣きたいだけの気分だった。隆二がずっと頭を撫で、もう片方の腕は腰をぎゅっとする。
繋がっている時以上に、今が一番近くにいる気がした。
いつの間にか睡魔が襲ってきて、爽の記憶がそこで途絶えた。
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