2 / 532
第1章 誕生期
1.2 転生者A
しおりを挟む
気がつくと周りが白い空間にいた。
だが、ついさっき死んだ自覚がある。この状態は意味不明だが、おそらく死んだのだろう。
あの後、少女はどうなったのだろうか?
少女を助けた所までは良かったが、まさかあれほどの悪意を持ってひかれるとは想定外だった。
一度目の衝突を回避すれば救急車を呼んで助かるだろうと安易に考えていた。
しかしまさかの想定外の事態に陥るとは。
平和ボケしていた自分の失敗を後悔した。
恐るべしストーカー。
あーあ、こんな事ならあの子と一緒に帰らなければ、いやいやそれだとあの子は無事ではないだろう。
2人でタクシーが来るまで待つべきだったのだろうか。
後悔しても時間が元に戻るわけでもない。
ところで、ここはどこだ、いつまでここにいるのだ。思考がループしているな。
そんな事を思っていたとき、ようやくこの白いだけの世界に変化が訪れた。
目の前にきれいな女性が現れた。
いつも大学で見かける女学生ぐらい。さっき助けた少女にも見える。
だがどうも違うようだ。
いや見えると言う事は、今の僕には目があるのか?
それにしてもこの女性、綺麗過ぎる。
その姿は存在するだけで神々しく、その存在が現世の者で無い事がわかった。
何よりもその女性の背中には金色の大きな翼があり頭の上に光の輪があるのだ。
つまり天使か神か。
「私はこの世界の神。メリーナです」
そう挨拶してきた。やはり神だったのか。納得だ。
「ん? あなた なんだかはじめてあった気がしませんね。もしかして私の事を知っていますか?」
突然現れた女性が、美しい声でそう話しかけてきた。
「いえ、知りません。今まで神様にあった事は無いと思います。死んだ時に神様に会うなら1歳の時に一度死んだ事があるそうですが記憶にはありません。おそらくですがはじめてだと思います。メリーナ様でしたか?」
お、話す事ができるのか、でも声が出ている感じと違うな。
「そうですよね。はじめてですよね。もちろん。当たり前ですね。ははは。・・・では最初に確認から。まず、あなたは先ほど死んだのですが、ご自覚されていますか?」
「はい。確かに死んだと記憶しています。が、ここは何処ですが? 天国とか地獄ではなさそうですね。審判の部屋とか?」
声を使った感じではないが会話が成立しているようだ。
「いえ、ここは私の管理する別世界に転移させるための部屋です」
「別世界? 転移?」
何を言っているのだ。まったく理解できない。
「それでは説明をしますね」
メリーナ様は、混乱している私の答えを待たずに説明を始めた。
説明を要約すると、これから行くのは前の人生を過ごした世界とは別の世界。
この女神が管理する世界だ。
そこに転生するらしい。
それは女神が管理する世界へのてこ入れらしい。
あちらの世界から人を運び込み自分達の世界を良くする事が目的らしい。
最初の頃は転移者を送り込んでいたそうだ。
異世界へ魂だけを移動させ適合する人物に人として新しく生まれさせるのは大変らしい。
肉体を持ったまま転移させる方が楽なのだとか。
転移は元の世界の体に加護を与えるだけで、もちろん容姿も記憶もそのままで移動するらしい。
年齢も変わらないそうだ。
だが、これから行く世界は身分が重要視される世界らしく、転移者は身分が平民となる。
昔は、平民でも力があれば貴族に引き上げられたが、今の世界は政治が安定し身分がはっきりと別れている。
転移者では生きていく上でかなり不利になったそうだ。
だが今は過去に転移した人の血筋がいるので、そこへ転生させる事ができるようになり、今は魂だけを移動させた転生に変えたそうだ。
この100年は転移者を送り込んでいないとの事だった。
私も転生者として新たな人生を歩むと言う事だった。
そしてより長い生を歩めるケースにそって、死ぬ直前の記憶と前世の知識を持って生まれ変わる。
ただし前世の親兄弟、自分の名前などは忘れてしまうらしい。いわゆる記憶喪失のパターンだ。
これは元の世界に戻りたい気持ちをなくすため。
ただ死ぬ直前の記憶を消さないのは、その記憶を基に次の人生で同じ過ちを犯さないよう前向きに人生を楽しむ傾向があるからだと言っている。
「どうしますか? 異世界に行きますか?」
「どうしますか? 異世界に行きますか?」
「それは、断れば元の世界に戻れると言う事ですか」
「いえ、あなたはあちらで既に死んでいますから、元の世界に魂を戻せば消滅します」
どうやら答えは1択だ。
そのまま死んで消えたい人もいるだろうから聞いてくれたようだが、もう一度チャンスがあるなら生きたい。
それが自分の望みだった。
「異世界に行きます。お願いします」
「ああ、良かった。たまにいるんですよ。断る人が。では異世界への移動についてもう少し詳しく説明しますね」
そしてこれから行く世界について説明してくれた。
もちろん転生者が何人もいたのである程度の文化レベルもあるし、貴族の住む家では魔道具があるのでそれなりに暮らしやすい世界になっているようだ。
下水などの仕組みは伝わり街づくりとして伝承されている。
冷蔵庫の代わりをする魔道具はあるが、テレビなどの情報機器それに車は無い。
総括すると鉄が貴重品らしく、そういった分野はあまり発展していない。
おおよそ今まで住んでいた世界に対して数百年遅れた社会で停滞している。
そして最大の違いが、魔法だ。
魔法がある世界なのだ。
しかし、かつてかなり魔法が進んだ時期もあったが、それらの技術はとある事件で失われ最近は少し後退したらしい。
そのために、現代社会の科学に置き換えできるレベルにはなっていない。
メリーナ様が送り込んだ転移者や転生者が便利な魔道具を開発し多少住みやすくなってきたらしい。
「おー、魔法があるのか」
生粋の理系人間にとってはものすごく興味のわく話だった。
転生後の人生は、魔術学者を目指したいと新たな人生設計を思い描いた。
「興味を持てそうですか。それは良かったです。さてそろそろ加護を与えようと思いますが、加護は、私との相性が良いほど沢山の力を渡せます。あなたは私と相性は良い気がするので沢山の力を渡せそうです」
そういってメリーナ様は眼を閉じて何かを始めた。
『重複した魔法スキルの付与を確認、ポイントに変換しました』
ん?
メリーナ様とは違う声だ。
少しびっくりしたがメリーナ様は作業を続けているし、特に何の影響も無かったのでほっとした。
それから暫くして女神は目を開けた。
なんとなくメリーナの顔が赤くなっていた。
かわいい。すごくかわいい。
新たな人生ではこんな子と結婚したい、ぜひとも。
そう強く誓った時に、メリーナ様はそんな私の考えと関係なく再び説明を始めた。
「あなたに力を与えました。与えた力は過去最大と言っても良いでしょう。相性ばっちりでした。なんと私達が使っている神の力を一つ付与する事が出来たんですよ。その他にも全属性の魔法特性や色々なスキルを付与しました」
神の力だって。それはすごい。
普通の人間から見て一つだけとはいえ神の力なんて無敵じゃないのかと思わせるような響きがある。
「与えた力についてですが、自分の特性をステータスと念じると見る事ができます。これは転移者や転生者だけの特典です。あちらの世界の普通の住人はステータスを自分で見る事ができません。不用意にステータスウィンドウのことをしゃべっては駄目です。ですが鑑定魔法という魔法があり彼らはその魔法を使ってステータスを調べる事ができます。あなたの力も鑑定の能力で見られますが、暫くは私の加護があるので特殊な項目は見えないようになっています。安心してください」
メリーナ様からそう注意がされた。
ステータスと唱え確認してみた。
----------------------------
身体特性
特技
特になし
魔法特性 攻撃特性 10、防御特性 10、生活特性 10
魔法特性は、一般には5が最大で5が通常威力、10は2倍の効果になる。神の眼の特性で魔法特性の最大値が10となっている。
魔力操作 体内魔力の操作レベル。
身体強化 レベルによって魔力消費効率、効果内容が変わる。
人によって最大倍率は異なる。
属性魔法1:先天的に才能がなければ使えない魔法
火魔法
氷魔法
音魔法
風魔法
光魔法
魔法結界
物理結界
雷魔法
属性魔法2:後天的にも使えるようになる魔法
魔力検知
水魔法
土魔法
練成魔法
成型魔法
物体操作
特殊魔法 魔力を消費し、目的の効果を得る魔法
回復魔法
空間魔法
鑑定魔法
魔力の可視化
固有スキル
神の眼
効果(しばらく封印)
全属性
無詠唱
身体系ステータス増大
魔力精神系ステータス増大
基礎魔力量増大
魔法効果2倍
魔力回復速度2倍
総魔力量成長補正2倍
ステータス鑑定一部無効化
称号
女神メリーナの愛し子
スキルを表示してみたが、詳しく全体の説明を読む時間はなさそうだったので全体をざっと読んだ。
固有スキルの所に【神の眼】と書かれていた。これが神の力か。
ステータスを確認し、魔法スキルの多さに驚いた。
本当に沢山の加護をもらえたようだ。 メリーナ様ありがとうございます。
私は無意識にメリーナ様に祈った。
「まだ感謝は早いですよ。感謝は次の人生を歩み終えてからで良いですから。私が連れて来たのですからできる限りの事をしてあげます。だからあなたは新しい人生を楽しんでください」
「はい。せっかく頂いた力ですから、新しい人生、楽しませてもらいます」
そして最後の女神から話。
「では、そろそろ異世界渡りの最後の忠告です。まず、他人に神の力を持っていると言っては駄目よ。問われた時は全属性の魔法の才能があると答えなさい。それでも驚かれると思うけど、その程度の才能ならたまにいるから問題ないでしょう。そして同じ転生者に会った時もよほど信用できる人で無い限り神の力の事は隠しなさい。この力が貰えた人はほとんどいないの。嫉妬される可能性があるわ。良いですね。それから転生後、暫くはここでの記憶も前世の記憶も無いはずよ。普通は5歳から10歳で目覚めるはずなの。魔法や他の転生者の事は記憶を取り戻した時にまた説明するわ。そして記憶が戻った後は、私を信仰する教会で祈れば話ができるわ。それじゃあそろそろ時間ね。行ってらっしゃい。バイバイ」
笑顔で見送られ白かった目の前は急に暗くなった。
メリーナ様とは違う声が頭の中に響く
『余ったポイントの返還が終わっていません。記憶封印の指示をキャンセルします』
う、苦しい。なんだ。いったいどうなってるんだ。
「オギャー」
『余ったポイントの変換待機時間が過ぎました。指示が無いので自動的にポイントをスキルに変換します』
「オギャー」
何を言おうとしても叫び声になる。もしかして赤ん坊なのか?
『ポイントの高い物を優先的に付与します。
特殊召喚を付与します。
浮遊魔法を付与します。
祈祷を付与します』
「オギャー」
なに、生まれたところにポンポン言われても良くわからんだって。何なんだ。ちょっと。
『鑑定を上位鑑定に変更しました。』
『さらに余ったポイントで総魔力量成長補正2倍を10倍に増加、最後のポイントで魔力回復速度2倍を5倍に増加しました』
「オギャー」
『ポイント変換を終了します。転生作業完了です。記憶封印の指示を待ちます』
殆どの時間で意識がはっきりしない。
どうやら僕は無事転生を果たし赤ちゃんのようだ。
たまに意識がはっきりする事がある。
その時に見えた状況は、若いきれいな女性に抱かれ、おっぱいを飲んでいる自分だった。
かなり高い天井。きれいな部屋。着ている服も高級な服。貴族の家に生まれると言っていたので、割と裕福な家なのだろう。
そういえばメリーナ様は、暫く記憶が無くなるって言ってなかったか?
暫くと言われたが産まれた直後にもう記憶がある気がする?
なんで?
だが、赤ちゃんの間はあまり意識が無いときが多いようだ。
そしてかなりの時間寝ている事もわかる。
おっぱいを飲んでいる途中から眠くなり寝てしまう事もある。
精神年齢は元の年のものでは無いようだ。
この体の実年齢に引っ張られているのだろうエッチな気分などは全く無い。
そして赤ちゃんとしての本能が強い時は自我を持っている私の意識はかなり気薄になる。
おっぱいを飲んだり、お腹が空いて泣いたり、オシメが汚れて気持ちが悪いと泣いたりする時に私の意識がほぼ無いようだ。
どうやらおなか一杯で眠くも無い時に、少しだけ自我が強くなるようだ。
現状、特に問題もなくストレスも感じられない。
記憶があってもすくすくとおおきくなれそうだった。
良かった。
だが、ついさっき死んだ自覚がある。この状態は意味不明だが、おそらく死んだのだろう。
あの後、少女はどうなったのだろうか?
少女を助けた所までは良かったが、まさかあれほどの悪意を持ってひかれるとは想定外だった。
一度目の衝突を回避すれば救急車を呼んで助かるだろうと安易に考えていた。
しかしまさかの想定外の事態に陥るとは。
平和ボケしていた自分の失敗を後悔した。
恐るべしストーカー。
あーあ、こんな事ならあの子と一緒に帰らなければ、いやいやそれだとあの子は無事ではないだろう。
2人でタクシーが来るまで待つべきだったのだろうか。
後悔しても時間が元に戻るわけでもない。
ところで、ここはどこだ、いつまでここにいるのだ。思考がループしているな。
そんな事を思っていたとき、ようやくこの白いだけの世界に変化が訪れた。
目の前にきれいな女性が現れた。
いつも大学で見かける女学生ぐらい。さっき助けた少女にも見える。
だがどうも違うようだ。
いや見えると言う事は、今の僕には目があるのか?
それにしてもこの女性、綺麗過ぎる。
その姿は存在するだけで神々しく、その存在が現世の者で無い事がわかった。
何よりもその女性の背中には金色の大きな翼があり頭の上に光の輪があるのだ。
つまり天使か神か。
「私はこの世界の神。メリーナです」
そう挨拶してきた。やはり神だったのか。納得だ。
「ん? あなた なんだかはじめてあった気がしませんね。もしかして私の事を知っていますか?」
突然現れた女性が、美しい声でそう話しかけてきた。
「いえ、知りません。今まで神様にあった事は無いと思います。死んだ時に神様に会うなら1歳の時に一度死んだ事があるそうですが記憶にはありません。おそらくですがはじめてだと思います。メリーナ様でしたか?」
お、話す事ができるのか、でも声が出ている感じと違うな。
「そうですよね。はじめてですよね。もちろん。当たり前ですね。ははは。・・・では最初に確認から。まず、あなたは先ほど死んだのですが、ご自覚されていますか?」
「はい。確かに死んだと記憶しています。が、ここは何処ですが? 天国とか地獄ではなさそうですね。審判の部屋とか?」
声を使った感じではないが会話が成立しているようだ。
「いえ、ここは私の管理する別世界に転移させるための部屋です」
「別世界? 転移?」
何を言っているのだ。まったく理解できない。
「それでは説明をしますね」
メリーナ様は、混乱している私の答えを待たずに説明を始めた。
説明を要約すると、これから行くのは前の人生を過ごした世界とは別の世界。
この女神が管理する世界だ。
そこに転生するらしい。
それは女神が管理する世界へのてこ入れらしい。
あちらの世界から人を運び込み自分達の世界を良くする事が目的らしい。
最初の頃は転移者を送り込んでいたそうだ。
異世界へ魂だけを移動させ適合する人物に人として新しく生まれさせるのは大変らしい。
肉体を持ったまま転移させる方が楽なのだとか。
転移は元の世界の体に加護を与えるだけで、もちろん容姿も記憶もそのままで移動するらしい。
年齢も変わらないそうだ。
だが、これから行く世界は身分が重要視される世界らしく、転移者は身分が平民となる。
昔は、平民でも力があれば貴族に引き上げられたが、今の世界は政治が安定し身分がはっきりと別れている。
転移者では生きていく上でかなり不利になったそうだ。
だが今は過去に転移した人の血筋がいるので、そこへ転生させる事ができるようになり、今は魂だけを移動させた転生に変えたそうだ。
この100年は転移者を送り込んでいないとの事だった。
私も転生者として新たな人生を歩むと言う事だった。
そしてより長い生を歩めるケースにそって、死ぬ直前の記憶と前世の知識を持って生まれ変わる。
ただし前世の親兄弟、自分の名前などは忘れてしまうらしい。いわゆる記憶喪失のパターンだ。
これは元の世界に戻りたい気持ちをなくすため。
ただ死ぬ直前の記憶を消さないのは、その記憶を基に次の人生で同じ過ちを犯さないよう前向きに人生を楽しむ傾向があるからだと言っている。
「どうしますか? 異世界に行きますか?」
「どうしますか? 異世界に行きますか?」
「それは、断れば元の世界に戻れると言う事ですか」
「いえ、あなたはあちらで既に死んでいますから、元の世界に魂を戻せば消滅します」
どうやら答えは1択だ。
そのまま死んで消えたい人もいるだろうから聞いてくれたようだが、もう一度チャンスがあるなら生きたい。
それが自分の望みだった。
「異世界に行きます。お願いします」
「ああ、良かった。たまにいるんですよ。断る人が。では異世界への移動についてもう少し詳しく説明しますね」
そしてこれから行く世界について説明してくれた。
もちろん転生者が何人もいたのである程度の文化レベルもあるし、貴族の住む家では魔道具があるのでそれなりに暮らしやすい世界になっているようだ。
下水などの仕組みは伝わり街づくりとして伝承されている。
冷蔵庫の代わりをする魔道具はあるが、テレビなどの情報機器それに車は無い。
総括すると鉄が貴重品らしく、そういった分野はあまり発展していない。
おおよそ今まで住んでいた世界に対して数百年遅れた社会で停滞している。
そして最大の違いが、魔法だ。
魔法がある世界なのだ。
しかし、かつてかなり魔法が進んだ時期もあったが、それらの技術はとある事件で失われ最近は少し後退したらしい。
そのために、現代社会の科学に置き換えできるレベルにはなっていない。
メリーナ様が送り込んだ転移者や転生者が便利な魔道具を開発し多少住みやすくなってきたらしい。
「おー、魔法があるのか」
生粋の理系人間にとってはものすごく興味のわく話だった。
転生後の人生は、魔術学者を目指したいと新たな人生設計を思い描いた。
「興味を持てそうですか。それは良かったです。さてそろそろ加護を与えようと思いますが、加護は、私との相性が良いほど沢山の力を渡せます。あなたは私と相性は良い気がするので沢山の力を渡せそうです」
そういってメリーナ様は眼を閉じて何かを始めた。
『重複した魔法スキルの付与を確認、ポイントに変換しました』
ん?
メリーナ様とは違う声だ。
少しびっくりしたがメリーナ様は作業を続けているし、特に何の影響も無かったのでほっとした。
それから暫くして女神は目を開けた。
なんとなくメリーナの顔が赤くなっていた。
かわいい。すごくかわいい。
新たな人生ではこんな子と結婚したい、ぜひとも。
そう強く誓った時に、メリーナ様はそんな私の考えと関係なく再び説明を始めた。
「あなたに力を与えました。与えた力は過去最大と言っても良いでしょう。相性ばっちりでした。なんと私達が使っている神の力を一つ付与する事が出来たんですよ。その他にも全属性の魔法特性や色々なスキルを付与しました」
神の力だって。それはすごい。
普通の人間から見て一つだけとはいえ神の力なんて無敵じゃないのかと思わせるような響きがある。
「与えた力についてですが、自分の特性をステータスと念じると見る事ができます。これは転移者や転生者だけの特典です。あちらの世界の普通の住人はステータスを自分で見る事ができません。不用意にステータスウィンドウのことをしゃべっては駄目です。ですが鑑定魔法という魔法があり彼らはその魔法を使ってステータスを調べる事ができます。あなたの力も鑑定の能力で見られますが、暫くは私の加護があるので特殊な項目は見えないようになっています。安心してください」
メリーナ様からそう注意がされた。
ステータスと唱え確認してみた。
----------------------------
身体特性
特技
特になし
魔法特性 攻撃特性 10、防御特性 10、生活特性 10
魔法特性は、一般には5が最大で5が通常威力、10は2倍の効果になる。神の眼の特性で魔法特性の最大値が10となっている。
魔力操作 体内魔力の操作レベル。
身体強化 レベルによって魔力消費効率、効果内容が変わる。
人によって最大倍率は異なる。
属性魔法1:先天的に才能がなければ使えない魔法
火魔法
氷魔法
音魔法
風魔法
光魔法
魔法結界
物理結界
雷魔法
属性魔法2:後天的にも使えるようになる魔法
魔力検知
水魔法
土魔法
練成魔法
成型魔法
物体操作
特殊魔法 魔力を消費し、目的の効果を得る魔法
回復魔法
空間魔法
鑑定魔法
魔力の可視化
固有スキル
神の眼
効果(しばらく封印)
全属性
無詠唱
身体系ステータス増大
魔力精神系ステータス増大
基礎魔力量増大
魔法効果2倍
魔力回復速度2倍
総魔力量成長補正2倍
ステータス鑑定一部無効化
称号
女神メリーナの愛し子
スキルを表示してみたが、詳しく全体の説明を読む時間はなさそうだったので全体をざっと読んだ。
固有スキルの所に【神の眼】と書かれていた。これが神の力か。
ステータスを確認し、魔法スキルの多さに驚いた。
本当に沢山の加護をもらえたようだ。 メリーナ様ありがとうございます。
私は無意識にメリーナ様に祈った。
「まだ感謝は早いですよ。感謝は次の人生を歩み終えてからで良いですから。私が連れて来たのですからできる限りの事をしてあげます。だからあなたは新しい人生を楽しんでください」
「はい。せっかく頂いた力ですから、新しい人生、楽しませてもらいます」
そして最後の女神から話。
「では、そろそろ異世界渡りの最後の忠告です。まず、他人に神の力を持っていると言っては駄目よ。問われた時は全属性の魔法の才能があると答えなさい。それでも驚かれると思うけど、その程度の才能ならたまにいるから問題ないでしょう。そして同じ転生者に会った時もよほど信用できる人で無い限り神の力の事は隠しなさい。この力が貰えた人はほとんどいないの。嫉妬される可能性があるわ。良いですね。それから転生後、暫くはここでの記憶も前世の記憶も無いはずよ。普通は5歳から10歳で目覚めるはずなの。魔法や他の転生者の事は記憶を取り戻した時にまた説明するわ。そして記憶が戻った後は、私を信仰する教会で祈れば話ができるわ。それじゃあそろそろ時間ね。行ってらっしゃい。バイバイ」
笑顔で見送られ白かった目の前は急に暗くなった。
メリーナ様とは違う声が頭の中に響く
『余ったポイントの返還が終わっていません。記憶封印の指示をキャンセルします』
う、苦しい。なんだ。いったいどうなってるんだ。
「オギャー」
『余ったポイントの変換待機時間が過ぎました。指示が無いので自動的にポイントをスキルに変換します』
「オギャー」
何を言おうとしても叫び声になる。もしかして赤ん坊なのか?
『ポイントの高い物を優先的に付与します。
特殊召喚を付与します。
浮遊魔法を付与します。
祈祷を付与します』
「オギャー」
なに、生まれたところにポンポン言われても良くわからんだって。何なんだ。ちょっと。
『鑑定を上位鑑定に変更しました。』
『さらに余ったポイントで総魔力量成長補正2倍を10倍に増加、最後のポイントで魔力回復速度2倍を5倍に増加しました』
「オギャー」
『ポイント変換を終了します。転生作業完了です。記憶封印の指示を待ちます』
殆どの時間で意識がはっきりしない。
どうやら僕は無事転生を果たし赤ちゃんのようだ。
たまに意識がはっきりする事がある。
その時に見えた状況は、若いきれいな女性に抱かれ、おっぱいを飲んでいる自分だった。
かなり高い天井。きれいな部屋。着ている服も高級な服。貴族の家に生まれると言っていたので、割と裕福な家なのだろう。
そういえばメリーナ様は、暫く記憶が無くなるって言ってなかったか?
暫くと言われたが産まれた直後にもう記憶がある気がする?
なんで?
だが、赤ちゃんの間はあまり意識が無いときが多いようだ。
そしてかなりの時間寝ている事もわかる。
おっぱいを飲んでいる途中から眠くなり寝てしまう事もある。
精神年齢は元の年のものでは無いようだ。
この体の実年齢に引っ張られているのだろうエッチな気分などは全く無い。
そして赤ちゃんとしての本能が強い時は自我を持っている私の意識はかなり気薄になる。
おっぱいを飲んだり、お腹が空いて泣いたり、オシメが汚れて気持ちが悪いと泣いたりする時に私の意識がほぼ無いようだ。
どうやらおなか一杯で眠くも無い時に、少しだけ自我が強くなるようだ。
現状、特に問題もなくストレスも感じられない。
記憶があってもすくすくとおおきくなれそうだった。
良かった。
60
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる