転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第1章 誕生期

1.9.5 リリアーナ・フィロ・クロスロード

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 結婚後、父親と私が結ばれたが、私と母のレオノーラとの仲は良かった。

 どうやらカインは私をかわいがった後できっちりレオノーラとも仲良くしていたらしい。

 夫婦関係は壊れることなく更に良くなったようだ。
 しかし残念ながら私に子供ができなかった。

 子が出来なかったが、そんな事でレオノーラが私を罵ることはなく、それどころか私を実の娘のようにかわいがってくれた。

 それに私が役所で働く間、レオノーラは、積極的にアメリの面倒を見てくれた。
 レオノーラは、本当によく出来た妻だった。

 私も彼女から多くを吸収し、理想の貴族妻像として彼女からいろいろな事を学んだ。

 カインがこのクロスロードの領主になってから、彼の取り組みによって兵士の質があがり領地の治安が良くなっていた。

 私がこの地に来た時点では、農民が魔物に襲われる事件は激減し人口は微増傾向にあった。

 だが領地内の商業はあまり発展せず、税収はほとんど増えていない。

 税収が無いために農業改革も実施できず、このままでは人が増えても食料が増えず遠い将来立ち行かなくなる姿が予想できた。

 早急になんらかの手立てをしなければならない状況だった。

 仕事の役割として、私が内政を、アナベルが部隊を率いて治安向上に努める。
 そしてカインは必要に応じて両方のサポートをしてくれた。

 そして私の実績はすぐに現れだした。

 結果、結婚して3年後には領主のカインから領主代行として全ての権限を譲渡してもらえた。

 子はなかなか出来なかったが、充実した日々を過ごしていた。

 私が実践した内政改革は、王都で研究した商業ギルドをこの領地にあわせて制度を変更し土地柄に合わせた取り組みだ。

 普通の領地の税収は、人頭税に畑の農業税、家などの資産に対する税金が一般的だ。
 それに加えて領内を通過するときに通行税をかける。

 私の取り組みの一つは、通行税を廃止することだ。

 流通に関しては無料なので、この地を通るだけなら税金がかからないようにして商人を呼び込むことにした。

 この領地の隣の領地が隣国との境界だ。隣接した領地は国直轄地、そこに接するのは二つの領地だが、クロスロードを通り王都への抜けるには必ずもう一つの領地を通らなければならない。

 クロスロードの領地を経由することで、なだらかな道を使って移動ができる。だがその為だけに通行税を余分に払う商人はいない。
 いままでは、クロスロードで商売をする者だけが通っていた。

 クロスロードが通行税を無料にしても隣の領地は必ず通るので文句を言われる事はなく、この政策は隣領に受け入れられた。

 この通行税の廃止では、途中クロスロードの領内で商人が1泊する程度しか収入は増えない。
 そして馬車が通りやすいと言うメリットだけなら、今までのなれた道を変える者はそれほど多くない。

 この政策の最大の取り組みは領地直轄の商業ギルド設立にあった。

 この商業ギルドは、商人専用の卸売市場を用意している。

 卸市場に行けば商品を捜してあっちこっちに商品を探す手間が省けるのだ。
 王都なら店が近い距離に乱立しているので仕入れは楽だろう。

 だが、辺境の地ではこのような卸売市場には商人側のメリットは計り知れない。
 多少の税金がかかってでもメリットがある。

 地理的な条件もありシドニアの製品が手に入りやすかったのが後押し、商業ギルドへの登録は順調に増え、用意した荷置の倉庫はすぐに埋まった。

 さらに、王都にいる工房で働く技術者に10年間の税の無料化、クロスロード領内での豊富な木材、隣国シドニアからの鉄輸入メリットを訴え積極的に誘致を行った。

 流石に鉄鋼技術者については過去のクロスロードが取った失敗を知っている者も多く誘致ができなかった。
 だが、木工技術者や焼き物技術者の誘致に成功し、卸売市場がにぎわいを見せるようになった。

 こうして数年に期間をかけて、やっと税収の増加につながり投資分が回収でき、人口も増えてきた。

 人口の増加に連れて役所の仕事が回らなくなり役人の募集が追いついていないぐらい盛況となった。
 
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