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第1章 誕生期

1.14.1 ラオブール・シグルーン

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 ここは、王都王城内にある中央施設の文官塔。
 文官をまとめるのは宰相であるファール・フィロ・メリルディーナ公爵。

 私、ラオブール・シグルーン男爵の仕事は戸籍登録だ。

 貴族の戸籍は、両親とのつながり以外に個人の特徴として、髪の色と目の色を登録している。
 だが髪の色や目の色は3代ほどさかのぼった範囲で色が継承されるので兄弟の色が違うのが一般的だ。

 大半が兄弟皆同じ髪に同じ目の色はざらにあるので識別として役に立っているのかは不明だ。

 そして、今日ファール様から直接手渡しで受け取った戸籍。
 中を見ずに戸籍登録をすませろと言われ、私はひどく困惑した。

 ファール様から内密に処理し絶対に人に見せるなと言われたが、きっと登録が終わり次第消されるのだろうか。
 思えばいままで数多くのミスをしても首にならず過ごせたのはこのためだっただと覚悟を決めた。

 それから数日、特に声もかからずほっとしていたところで、再びファール様から呼び出された。
 そしてファール様から指示されたのは近年の王家以外の金眼持ちを調べる調査依頼だった。
 理由は解らなかったが、資料はすぐに集まった。

 カルスディーナ公爵家は、直系に長男のダリウス、二男のオレリアン、長女セシリア、それに親戚に8歳のマーティン・ブルンスワード、5歳(女)のシルヴィア・マリンワード、2歳のグレイ・フィンレワード3人いる。

 オルトディーナ公爵もブルータス、オニール、ルシアナ、サフィーナの3人。だがそれ以外では10歳を最後に、親戚中金眼の子が生まれていない。
(この後で、オルトディーナ公爵の管理地にイザベラ・バディアワード、ロベール・アンセルワードが生まれる。)

 先ほどの2公爵家と、大侯爵家8家は現在まで全て金眼を持つ者が領主となっていた。だが、現在その8家すらも金眼を維持できないほど減っている。

 資料をまとめてファール様へ渡すと、クロスロード領への視察に着いてくるように言われた。

 ファール様直下の部下は優秀な人ばかりで皆忙しそうに仕事をしている。
 こうしたファール様の突発の我儘に付き合える人があまりいないらしく、ファール様からは戸籍科は暇だろうと、こんな風に視察によく連れて行かれる事がある。
 今回もそうなのだろうか。
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