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第2章 幼少期

2.8.6 5歳ごろ

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 最初の頃は遠巻きに見ていた領地周りだったが、最近はジャックリーンと一緒に領民たちの生活地域に赴き実際の生活場所も見て回っている。

 おかあさまにも宿屋の娘の生活が華美だと言われたのも一因だ。

 そこで領民たちがどのように生活しているかわかってきた。

 まず、ここの領民たちの大半は農民だ。

 領民に対して貴族は1%。
 自警団、役所、貴族の家で働く平民が5%。
 農民が8割。
 残りが商人、工人、山人。
 山人は樵(きこり)や狩人だ。

 ちなみに貴族街と店が立ち並ぶ区画は下水が通っているのでくさくない。
 だが農民の住む地域は下水が無いのでやはりくさい。

 ただ道端に糞尿が転がっているわけではなく、それなりに臭いを軽減する仕組みがある。
 農民区では糞尿を1か所に集めている。
 そこに糞尿を分解するスライムと、でかいミミズの魔物が処理をしている。
 なので、農民の住居地区ではそこまでくさいわけではない。
 体を毎日洗う習慣などもないので糞尿以外にも臭いがする。
 まあ、つまり全体的に汚いのだ。

 農民達は大半が長屋に集団で暮らしている。
 親戚家族一同が集まり生活をしているようだ。
 皆でつつましく、助け合って暮らしている。

 そして、農民たちは集落を作り農業をする。

 一つの集落に1人村長がいる。

 そして幾つかの村をまとめる農業指導者がいて、その農業指導者に従い何時、どの作物を植え始めるか、どんな風に育てるのかを決める。

 農業指導者が複数の集落の村長を指導し、次代の指導者を育てる仕組みのようだ。

 そして普段の暮らしぶりは、昼はもちろん農業を行う。
 夜になると明日の準備をしたり内職をしたりと夜も少し働いているようだ。

 寝る時間は割に早い。
 農民の平均睡眠時間は結構長い。
 およそ10時間以上寝ている。
 起きている間中休み無く働いているのだから疲れるのだろう。


 栄養素が足りないのだろう、寿命も短い。
 1歳未満の子供の死亡率がかなり高く、7歳を過ぎると死亡率が下がってくる。
 成人済みの平均寿命は40歳。

 食事は、どうやら肉を食べる習慣が無い。
 卵を食べることも無い。
 偶にうさぎ型の魔獣や鳥を食べる程度。

 穀物以外の食料も用意しないといけないと思う。
 だが、この地の農地がそもそも何を育てているのか、肉の入手方法や保存方法など全般的に知識が不足している。
 残念ながらすぐに食料改革をやれる自信はない。

 着ている服も簡素だ。

 各家庭どころか集落にお風呂が無い。
 たまに水浴びをする程度のようだ。

 全般的に清潔な暮らしをしていない。

 だがこの地の平民はお風呂に入る習慣もないらしく、それが一般的な暮らしらしい。

 領地の農民の生活を貴族と比べると酷い扱いに思える。
 だが話を聞く限りでは他領に比べれば酷いわけではない。
 この領地は税率が低く設定されているので他領よりも楽な暮らしができているそうだ。
 他領から逃げてきた農民たちが口々に言うのだからそうなのだろう。
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