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第2章 幼少期
2.14.2 7歳の誕生月
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「ああ、それと誤解がないように、"念のために言っとくが"、ジルベールはワシとリリアーナの子ではないぞ」
「あら、そんなの解っていますよ。この子はカイン様によく似ていますからね」
そういってレオノーラおばあさまのほうを見た。
「そうでしょ。カインにとても似ているの。将来が楽しみよ」
「えっと、アナベルとおさまじゃないの」
「アナベル様は、リリアーナ様に紹介したときに会いましたが。
そうですね、似ていると言えば似てますよ。
でも私にとってもレオノーラ様にとっても比較するのはカイン様なのよ。
カイン様がまだクロスロードの領地を継いでらっしゃらなかった頃、おふたりは王都に住まわれていました。
その頃は、よく舞踏会でお会いしたわ。
カイン様はとても素敵だったのよ。結婚されていても私たち若い子にも人気だったの。
私もいつもダンスに誘われるのを楽しみにしていたわ。
怪我をされた後、領主になられ王都にもこられなくなりましたから、とても残念だったわ」
「おじいさまは、かっこよかったのですね」
「長身で、あなたと同じ金髪。
そうね色も似てるわ。
ああでもその金髪はリリアーナからかしら。でも、よく見るとリリアーナは少し薄い金髪ね。
なんとなくアメリの方が似てるわね。
眼も両方とも金眼だけれど、髪の色も誰から受け継いだのかしらね」
あ、さらっとアメリ母親説を言っちゃったよこの人。
アメリの顔色がちょっと悪くなった。
ここは気がついてないふりをした方が良いのだろうな。
なんとなく、のんびりとした印象の人なのに核心を突くな。
「カトレア様、ジルベールはカイン様と、レオノーラ様のお父上からの血が濃く出ていると思っています。
アインスロット家には金眼はいませんから」
アメリ姉様がそう答えた。
「あら、そうなの。
でも私の調べによるとアメリの母の父親は金眼でしょ」
「え!?
誰かと勘違いでは。
母は男爵家の出だと聞いています」
リリアーナかあさまが厳しい目でカトレア様をにらんだ。
きっと言ってはいけない情報だったのだろう。
やっぱりこの人、いろいろと情報を知っている。
知っていてとぼけているんだ。
さすが公爵夫人。
「おかあさま、私」
「あとで教えます。
カトレア様、あまり不用意に家庭の事情を話さないようにしていただけませんか。
ファール様も、秘密と言いましたよね。
カトレア様に伝えたのですか」
「ああ、ごめんなさい。
ファールからではないわ。
アメリを預かる時に調べていたことよ。
アメリの母が勤めていたサンディオワードで侍女をしていた者から聞き出したのよ。
病気のこともあったしすべての情報を集めて治療法を調べてさせていた時に集めた情報よ」
やっぱり。
のほほんとした雰囲気なのに、きっちり情報を握っている。
それもアメリが学園に入る時に調べ上げていたのか。
侮りがたし。
「それは、大変お手間をかけさせ、申し訳ありません」
「いえ、本人も知っていると思っていたけど知らなかったのね。
母親と一緒にいる時間が短かったと言っていたけど、成人した後に教えていると思い込んでいたわ。
不注意だったわね。
ごめんなさい。
それにもう一つのことも言ってないみたいだから、それも黙っておくわ」
「そうしてください。
ジルベールは7歳にしてはとても賢いのです。
お気をつけください」
「えっと、僕がなにか? アメリ姉様のことだったよね?」
「そうよ。
アメリも大丈夫よ。
あなたがどんな生まれでも、もう私の子になっているのだから。
どこかに行ったり、貴方を手放したりはしないわ」
「おかあさま」
そう言って、アメリは大人にもかかわらず、リリアーナに抱きついて甘えている。
「良い子ね。落ち着いたかしら」
「はい。取り乱してしまって申し訳ありませんでした」
「あら、そんなの解っていますよ。この子はカイン様によく似ていますからね」
そういってレオノーラおばあさまのほうを見た。
「そうでしょ。カインにとても似ているの。将来が楽しみよ」
「えっと、アナベルとおさまじゃないの」
「アナベル様は、リリアーナ様に紹介したときに会いましたが。
そうですね、似ていると言えば似てますよ。
でも私にとってもレオノーラ様にとっても比較するのはカイン様なのよ。
カイン様がまだクロスロードの領地を継いでらっしゃらなかった頃、おふたりは王都に住まわれていました。
その頃は、よく舞踏会でお会いしたわ。
カイン様はとても素敵だったのよ。結婚されていても私たち若い子にも人気だったの。
私もいつもダンスに誘われるのを楽しみにしていたわ。
怪我をされた後、領主になられ王都にもこられなくなりましたから、とても残念だったわ」
「おじいさまは、かっこよかったのですね」
「長身で、あなたと同じ金髪。
そうね色も似てるわ。
ああでもその金髪はリリアーナからかしら。でも、よく見るとリリアーナは少し薄い金髪ね。
なんとなくアメリの方が似てるわね。
眼も両方とも金眼だけれど、髪の色も誰から受け継いだのかしらね」
あ、さらっとアメリ母親説を言っちゃったよこの人。
アメリの顔色がちょっと悪くなった。
ここは気がついてないふりをした方が良いのだろうな。
なんとなく、のんびりとした印象の人なのに核心を突くな。
「カトレア様、ジルベールはカイン様と、レオノーラ様のお父上からの血が濃く出ていると思っています。
アインスロット家には金眼はいませんから」
アメリ姉様がそう答えた。
「あら、そうなの。
でも私の調べによるとアメリの母の父親は金眼でしょ」
「え!?
誰かと勘違いでは。
母は男爵家の出だと聞いています」
リリアーナかあさまが厳しい目でカトレア様をにらんだ。
きっと言ってはいけない情報だったのだろう。
やっぱりこの人、いろいろと情報を知っている。
知っていてとぼけているんだ。
さすが公爵夫人。
「おかあさま、私」
「あとで教えます。
カトレア様、あまり不用意に家庭の事情を話さないようにしていただけませんか。
ファール様も、秘密と言いましたよね。
カトレア様に伝えたのですか」
「ああ、ごめんなさい。
ファールからではないわ。
アメリを預かる時に調べていたことよ。
アメリの母が勤めていたサンディオワードで侍女をしていた者から聞き出したのよ。
病気のこともあったしすべての情報を集めて治療法を調べてさせていた時に集めた情報よ」
やっぱり。
のほほんとした雰囲気なのに、きっちり情報を握っている。
それもアメリが学園に入る時に調べ上げていたのか。
侮りがたし。
「それは、大変お手間をかけさせ、申し訳ありません」
「いえ、本人も知っていると思っていたけど知らなかったのね。
母親と一緒にいる時間が短かったと言っていたけど、成人した後に教えていると思い込んでいたわ。
不注意だったわね。
ごめんなさい。
それにもう一つのことも言ってないみたいだから、それも黙っておくわ」
「そうしてください。
ジルベールは7歳にしてはとても賢いのです。
お気をつけください」
「えっと、僕がなにか? アメリ姉様のことだったよね?」
「そうよ。
アメリも大丈夫よ。
あなたがどんな生まれでも、もう私の子になっているのだから。
どこかに行ったり、貴方を手放したりはしないわ」
「おかあさま」
そう言って、アメリは大人にもかかわらず、リリアーナに抱きついて甘えている。
「良い子ね。落ち着いたかしら」
「はい。取り乱してしまって申し訳ありませんでした」
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