転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第3章 竜の襲撃

3.12.1 10歳の秋

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 王都からの突然の訪問者があった。
 その男は魔道歯ブラシの開発者に会いたいと言ってきたそうだ。
 その男の身分を確認すると王宮魔導士だったのでバーニィが相手をすることになった。
 だが、バーニィが魔道歯ブラシの開発者ではないということをすぐに見抜き、開発者に会わせろと言うのだ。
 このあたりで最も魔力が高く、無詠唱の使い手だから大丈夫だと思ったがあっさりと見破ったところを見る限り、感が良いとも言える。
だが、魔法使いのくせに抜けたところの多いバーニィだからしょうがない。
そもそも無詠唱になった理由が『詠唱が面倒だから』なのだから。

僕は裏からこっそりと覗いていたが、とある理由から駆け引きなしにさっさと出ることにした。
「こんにちは」
日本語であいさつをする。
「やあ、やっぱりそうだったのか。
はじめまして、僕はオメガ」
あまり長く日本語でやり取りすると、近くにいるレティーツアが変に思うのでやめておこう。
レティーツアは、夜になると僕が独り言で日本語をつぶやくのを知っている。だが彼女は自分が知らない外国語の練習をしていると思っている。
「初めまして、僕はジルベール・クロスロード。アメリ・クロスロードとレイブリング・クロスロードの嫡男です」
「おお、侯爵家の嫡男様でしたか。
私はオメガ・パテックス男爵です」
「それで、今日はどんな御用で」
「これです、これの開発者に会いに来ました。
これはあなたが開発したのでしょう。
電動歯ブラシの代わりに」
「ええ。そうですよ」
「これは、とても素晴らしい。
僕が作ってもブラシを振動させる魔法陣を完成させることができなかった。
重力で上下させるとなるとこんなに小さくはならない。
どうやっているのですか」
「それを直に聞いて教えてくれる人がいると?」
「私は王宮魔導士でしたが、辞めてきました。
ここにお仕えしたい」
「え?」
「ここにお仕えしたい」

大事なことだから2回言ったぞ見たいな顔をされた。

「王宮魔導士を辞めて、侯爵家で働けるのですか?」
「私は15年の国への奉仕期間を終えました。
問題ありません。
家族ともども移動するつもりで私が先に来たのです」
「えっと、普通先に手紙とか出しませんか?」
「必要ないでしょう?」
「断られたら、どうするつもりで」
「ここは入植者の募集をしています。
入植者としてはすでに登録済です。
男爵位の魔導士としてクロスロードに住む許可はもらってます」
「あ、なるほど」
すでにリリアーナかあさまの許可が出てるのか。
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