転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.5.5 王都到着

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「こちらが竜王バハムート様の娘、ティアマト様。
それと、こちらが銀狐の幻獣コハクです」

「竜王バハムートの娘、ティアマトだ。
父様よりジルベールに側にいるよう言われておる。
人の短い一生に付き合ことは竜にとっては僅かな時間だ。
その期間だけになるがこの地の世話になる。
よろしく頼む。
コハクは、500年前に人間によって封印された聖獣様の伴侶だ。
おそらく聖獣様もジルベールが生きている間は召喚獣と縛られる。
ゆえに、コハクも我と同様であろうと思う。
ジルベール、忘れないうちにイシス様とガルダ様も紹介しなさい」

「あ、そうだった。
イシス、ガルダ。精霊体で現界せよ」

「やはり、我はこちらの姿の方が良いな」
「我は、妖精体の方が気楽じゃ」

「こちらの青い精霊がイシス様。赤い精霊がガルダ様。
召喚時に与える魔力で大きさや姿が変ります。
普段は、妖精体で召喚するのでもっと小さい姿です。
聖獣と言う本来の姿になると全長が15m程になります」

「ここは、魔法疎外の魔法陣があるゆえに居心地が悪いな。
我がガルダだ」
「我がイシスじゃ」

 ふーん、やっぱり魔法疎外の魔法陣があると魔力が少し分散されるから気持ち悪いのか。コハクがどうもなさそうだったけど、幻獣や竜種は大丈夫なのだろうか。

「ティアマト様も、コハク様も、聖獣様も歓迎しますぞ」

「ティアマト様とコハク様はラルクバッハ王国では貴族待遇で迎える予定になっておる後で認証用の魔道具を渡します」
 最初に陛下が話をして、補足をファールじいちゃんが説明した。
 ファールじいちゃんが先に根回しをするとは聞いていたけど、二人とも貴族待遇か。どんな身分なのかは言ってないけど、後で聞いておこう。

「しかし、次から次へと。
既に伝説の聖獣様まで従えておるとは。
300年ぶりに両金眼として育ったお主は、すでに建国王と並ぶ力を持っておるとは。
両金眼が生まれたら10歳まで隠すように言われていたが、なるほどと納得する結果だ。
これほどの力をもってしても、そなたは王では無く臣籍となる気か」
 オルトディーナ公爵が大きな声でこちらに言ってきた。僕が王に興味の欠片も持っていないのは知ってるはずだから、芝居かな?
「ええ、僕は王は向いていないとファールじいちゃん。
いえ、メリルディーナ公爵も言ってました。
僕自身も今は、魔法陣の研究や魔道具を作る方に興味あります。
恐らく、将来もそうだと思います。
できれば政治や領地運営は最小限にしたい。
そもそも300年前ならいざ知らず。
すでに建国され安定された世の中で、力があるから王と言うのはあり得ない。
この世の中で望まれる王は、力が強い事では無いと考えています」

「欲の無い事だ。
そなたの言い分は理解した。
建国王である初代様も王の位にはあまり乗り気でなかったと聞いている。
それも両金眼らしい答えだな」
「そうですね」
 陛下が答えてオルスディーナ公爵が相槌を打った。芝居終わりかな。

「しかし、我らだけが納得しても皆を黙らせるのは一苦労ですな。
両金眼の登場に、王の地位に押し上げようとする者がどれだけ出てくることか。
他国からの干渉もあり得るし、想像もつかぬ」
 カルスディーナ公爵が不穏な言葉を口にする。

「そういうことは、ファールに任せればよい。
少なくともレグルスが自ら陣頭して上手く行くとは思えぬ。
ファール、ジルベールが成人するまではまだ頑張ってもらえるのだろう。
頼むぞ」
「は、陛下の恩為に」
 陛下や公爵達は名前で言い合うぐらいに仲が良いのだろう。
 今のやり取りは、緊迫した仲でのやり取りではなく、割と冗談が入ったような笑みを浮かべながらのやり取りだった。
 政治ってもっとギスギスしているのかと思ったが、この国の重鎮達はそろって仲が良いらしいので安心できる。いや、これが顔だけ笑顔で中は腹黒だとほんとに僕は近づけないと思う。
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