転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.14.10 王都からの帰還

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 宿屋に入り、夜の食事が始まった。
「ジルベール君、今日のあれは召喚魔法なのかい」
「ええ、あれは僕の契約している聖獣イシスですよ。
ほら、イシスとガルダ挨拶」
 イシスだけでなくついでにガルダも妖精体で出した。
「青い方がイシス、赤い方がガルダ。
どちらも魔力を最大限に注げば聖獣に戻れるんだ。
普段は妖精体が多いよ。王都を出る時の姿が精霊体なんだ」

「イシスじゃ。今日は驚いたようじゃな、ならば我は満足なのじゃ」
「良いなイシス。おれも驚かしたかったな」

「まあ、こんな感じ」
「かわいい妖精ですね」

「いや、それにしても。あんな事ができるんだ。あそこを片づけるだけなら数十人で数日かかるのに、僅かな時間でおわらせるのだから。
例えばだけど、盗賊たちが襲ってきたらどんな風に対処するんだい」

「盗賊ぐらいで、イシス達は使いませんよ。王都に向かう途中でも30人ぐらいの盗賊団が襲ってきたけど、僕らだけで倒しましたよ。まあ、エイミーがいるし、ティアマトも強いよ。剣技だけならエイミーよりも」
「ああ、ティアマト様。美人で、強くて、スタイルが良いのに剣王エイミー様よりも強いの」
「ティアマトは、竜の国のお姫様だよ。知らなかったの」
 激しく上下に頭を振る。
 あれ、そうだっけ?
「言ってなかったかな?」
 再び激しく上下に頭を振る。
「他国の侯爵以上の令嬢なのだろうと思っていました。失礼があればお許しを」
 アイヴィー君が代表して謝った。
「大丈夫だ。
今は父の命でジルベールと共に行動しておるだけだ。
気にするな」
「竜のお姫様と言うことは、本当の姿は竜なのですか?」
 怖そうにカーリンサンチェが質問した。
「我は、母が人であった故に本当の姿がこちらだな。
だが竜にもなれるぞ。見たいか?」
「いえ、大丈夫です。わかりましたから」

 なにがわかったんだろう。緊張しているのか良くわからない事をつぶやいている。
「そう、緊張するな。今まで通りで良い。
それに、我よりもジルベールの方が強いのだ。
ジルベールは唯一、我が父竜王バハムートに挑める可能性を持つ者だ。
残念ながら残りの聖獣ナパトムが居ないので、相手にはならぬ。
だが、イシス様を上手く使えば父とは良い勝負になるかもしれない」
「え、場所?
いや、無理でしょ。あの強さだよ。そんな場所ぐらいで」
「ふむ、父が、竜王と呼ばれ、聖獣イシス様が竜神と呼ばれるその所以を知らぬのか」
 ああ、イシスはアロノニア様を降ろし、洪水を起こした。恐らく海では無敵になれるのか。
「500年前の事件の事」
「そうだ、父上でもあのような災害を起こす力は無い。
4聖獣の中で一番最初に生まれたイシス様は、その前にアロノニア様が作られた父上に近い。4聖獣の中で最も神の力を引き出せる存在だ。そして次に生まれたナパトムは、竜王からの攻撃をも防ぐ力を持つ。最後にガルダとコテツ。この2聖獣は同時期に生まれた。
攻撃に特化した存在。ガルダは父上並みの攻撃力を持ち、コテツは竜王にダメージを与えられる雷を使える。
父でなくとも、神を相手にするならば、ジルベールはナパトム様を手に入れる必要があるな」
 なんと、今日のティアマトはやばい情報をぽろぽろと漏らした。なんでだろう。
「ねえ、ティア。その飲み物は何?」
「うん、これはうまい酒だ。ここぞであったことの無い良い酒だ。気に入った」
 鑑定で見てみると、アルコール度60度もある。
「なんで、こんなアルコール度数の高い酒があるんだ」
 ふと奥を見ると、エイミーは既に机の上に突っ伏して寝ていた。隣でトシアキが他の護衛と飲んでいる。
「ねえ、これやばいんじゃ。護衛が全滅してないか」
「私の護衛は、小さな器で一杯しか飲んでませんよ」
「いや、これアルコール度数が普段飲むエールの10倍なんだけど」
「ええ、皆、大丈夫ですか」
「ああ、はい。大丈夫れす」
「あちゃー、みんな気が付かずか」
「いえ、私は大丈夫です。下戸なので一切飲んでおりません」
「飲んでない護衛、侍女はどの程度」
「護衛が5名、侍女は各一人はいるんだね。まあそれなら何とかなるか。
護衛は、僕以外の部屋の前で守って」
「ジルベール様は?」
「僕には護衛は必要ない。侍女も今回は連れてきてないから」
「そういえば、お耳の可愛かったコハクさんは、帰したのでしたね」

「まあ、良いや。明日はいよいよフィンレワード領の領都だ。朝、ちゃんと出発できるのか疑問だけど、その次のロンドロードまではあと僅だ。明日に備えて部屋に戻って寝よう」

 部屋に戻る前に、宿屋のおやじと交渉してお酒を入手。家へのお土産にしよう。
 エイミーと、ティアマトは僕が部屋に運び込み、ベッドに寝かした。トシアキは自分でなんとか歩けたので、部屋に戻っていった。ちゃんとベッドで寝れるのかは知らない。

 さあ、旅は、ロンドロードまでたどり着けば終わりだ。後は転移門で自領に移動しても良いのだ。
 フィンレワード領の領都からロンドロードの領都までは最短で5日。最大で10日かかる。天候次第だ。
 まだまだ雪が多く、好き好んで移動する時期ではないのだ。
 さっさと旅を終わらせたい。
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