転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.15.1 海賊船との攻防戦

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 僕は瀕死の護衛に回復魔法で治療を始める。エイミーは話せそうな護衛に聞き込みをしている。
 待避所に入ると、海岸にいた小型船2隻から海賊が沢山降りてきて一気に襲われたらしい。
 襲って来た海賊たちは、ほとんどが魔法を使える者達だったそうだ。剣技もそれなりで戦いになれている。
 自分達の魔法は、なぜか無効化されるがあちら側は魔法が使える状況だった。
 相手側からの暗闇を作り出す魔法を使われ護衛が次々に倒された。
 そして護衛が倒れると、子供達と侍女を連れ去った。
 とても普通の海賊ではありえない充実した装備に腕前を持っているらしい。
 結界が消えたのは時間が経過したかららしい。すでに連れ去られてから10分ほどが経過している。
 海を見ると遠くに船が去っていく姿がかすかに見える。恐らくあれなのだろうか。

 無事な護衛騎士は、体が無事なだけで未だに暗闇の魔法で目が見えていないようだ。暗闇の魔法は精神系の魔法なので、回復魔法では治療ができない。
 呪いを解除する祈祷で回復できるが診断結果によるとあと30分ほど自然に治るようだ。これから追いかけようと思おうと魔力を節約するべきだろう。無理に治療する必要が無いなら、とりあえず魔力を温存しよう。
 空が急に曇る。上を見ると白い竜が降りてくるところだった。ティアマトが竜に変身し一気に倒したのだろう。
「ジルベール、ちょっと本気出して倒したぞ。後始末はトシアキがやっている。こちらはどうなった?」
「高速船で子供達が連れ去れた。ガルダで追いかけようと思っていたところだ」

「我は既に竜になっているので、このまま乗るが良い」
「エイミーがティアに乗るのでも良いの?」
「だめだ。我の背に乗っても良いのはジルベールだけだ。エイミーは私に勝ったことは無い。ゆえにだめだ」
「では、僕がティアと。ガルダはエイミーを運んで。
太郎は念のために、ここを守って」
「ワフ」
 おお、めずらしく言うことを聞くよ。この子。

 僕は、ガルダを聖獣へと戻す。準備をする間に、トシアキ達が到着した。
「トシアキもエイミーと一緒にガルダに乗って。ガルダはティアマトの後ろを付いてこい」
 2体で飛び立つ。
 遠く離れたように見える海上でも空を飛べば一瞬で追いつく。すぐに海賊の船が見つかった。
 僕らは船の上を旋回する。船は、高いマストが立ち帆船のように見える。だが今は帆を畳んでいる。帆が無くても、すごく早く移動している。船の進み方を見る限りではスクリューを使って進んでいるようだ。記憶にある元の世界の船に近い。
 これだけの速度が出せるとなると、普通の船では追いつけなかっただろう。

『どうする』
ティアマトからの声が念話で聞こえて来た。
『攻撃するか』
 直後に、ガルダの念話も聞こえた。
『攻撃はするな、あれに乗ってるんだぞ。冬の海に落ちたら子供なんですぐに死ぬよ』

 船は止まることなく進んでいる。あれを止めなければならないが、攻撃はできない。今の所空を飛ぶ僕らに気が付いて何か動いている様子はない。だがそのうち上空にも気が付くだろう。
 なるべく早く止めなければ。だが船を止めるのは空中に居るガルダとティアマトでは難しい。
『空からの攻撃は無理だな。中にいる人質に怪我をさせたくないし。
だから、海上にイシスを出現させる、イシスは攻撃せずに足止めを』
 まずは精霊体で海の方へと進む。
『注目を引き付けている間に僕らが甲板に降りて制圧するよ。ティアマトとガルダは、船の近くの上空を旋回し続けて威圧してくれれば良い』
『解った』
 イシスが精霊体で船の前に到着したので、魔力を渡して聖獣に変化させる。
『イシス、攻撃はだめだよ。脅かすのがメインだ。人質がいるんだからね。攻撃は、受けるだけで我慢して』

 イシスは、高速で動く船に近づく。さすがの高速船と言えど、海の移動はイシスの方が早い。突然現れた巨大な龍を相手に、逃げる事ができないと悟ったようだ。すぐに船を停止させて戦いが始まった。
 意識がそちらを向いている今がチャンスだ。
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