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第4章 10歳王都編

4.16.9 フィンレワードにて

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「『アレルギー』か うーんと、こっちの言葉だとなんていうんだろう。
この子供の場合は、卵を摂取すると『免疫』機能が過剰に反応するんだ。
『免疫』が過剰に反応することによって体にダメージが出る。
腐っていないにも関わらず食べると急に吐いたりするんだ」
「『免疫』が解りません」
「だろうな、難しくて説明でしにくいな。こっちの医学書になんてかいてあったかな。
『免疫』は自分の悪い所を治す力の事だよ。例えば怪我は回復魔法を使わなくても治る。回復魔法を使えば早く治るけどその治ろうする力の一部。
この場合は怪我じゃなく、うーんとお腹が痛いのが治ったり?
で、「アレルギー」はその治る力が強すぎるんだ。壊れてない、痛んでないのに治そうとする。それで逆に壊れる感じ」
「ああ、そういえば卵は食べれても平気な人とそうでない人がいると聞いたことがありました。症状から考えると薬が効きすぎて毒となり体を傷つけるのと同じ感じですか」

「うーん、かなり近いと思う。ところで500年前って、毒耐性を得る訓練を普通にやってたの」
「当時の貴族や騎士たちはやっていたようですよ。
人から治療方法を習った時に、わたくしが早いうちに解毒ができたので、そちらの対応は多かったですね」
「人に毒を与えて耐性をつけるなんて」
「平民の中では毒ではなく食中毒が多かったのですが、貴族の人々は普通にやっていました。魔物の中にもわざと毒を取り込む者がいるぐらいです。逆に今の世が毒耐性スキルを獲得しようとしなかったから今の陛下が幼い頃に毒殺で沢山亡くなってしまったのではないですか」

「え、まって何?」
「はい、何か?」
「え、スキルって言った。毒耐性の」
「はい、そうですよ。毒を取り込むことで耐性スキルが獲得できます。ジルベール様も毒耐性スキルをお持ちでしょう」
「ああ、そういえばメリーナ様の加護にそう言うが含まれてたな。そうか、僕がイメージしたような毒の抵抗力を上げる方法じゃないのか。この世界、スキルの獲得によって毒の耐性を上げたり、無効化できるのか」
「そうみたいですね。そう言われるとわたくしにも毒耐性スキルがありました」
「と、言うことはこの子も大きくなって耐性を得られれば治る、わけじゃないけど感じなくなる可能性があるのか」
「ぜひともメリーナ様を信じ加護を貰えると良いですね」
 無駄話をしている間に、肌に塗った食材の場所ごとに違いが出て来た。
「一応、これで少し解るんだな。卵はやっぱり駄目だね、残念だけど小麦も少し反応してるな」
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