転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.19 番外マイアーロッセ編

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 一月に1回は王宮に行かなければならないので、冬の館に行っている途中ではあるが今日は王宮へ来ている。
「やあ、ニナ。活躍したって聞いたけど」
「ジルにい
 王宮に直接行かずに、公爵家に転移をした。ニナシスティに声をかけるといつものように抱き着いて来たので、そのまま抱っこする。
 うん?
 なんか重くなった。そう言ったら怒るだろうから気を付けないといけない。
「お、ニナ。成長したかな」
「うん。ニナおっきくなったの。だってお姉ちゃんだもん」
 ニナを降ろすと、エッヘンと言った感じのポーズをしてきた。なんだろうお姉ちゃんって? 不思議に思うが、そうと言って頭を撫でておいた。
 エレノアも連れて、王宮へと向かう。
「あれ、エレノア。護衛が多くない。それに前は居なかったよねあの人達」
「はい、護衛は見た目も重要だと。不必要なトラブルを避けるためだそうです」
「そ、そうなんだ。ファールじいちゃんが言いそうだけど、よくカトレア様が許したなあ」
「どうせならと、カトレア様が探して来た人達ですよ」
 新しい二人の護衛は、身長が2mはありそうな大柄で、太ってはいないが見た目がとても屈強な人だ。だが断言できる。あの二人見た目だけだ。
 剣ダコも無いし、鑑定で見ても剣技のスキルが無い。武道は習い始めたばかりのようだ。
「どこから探して来たのか知ってる?」
「1人は漁師、一人は木こりだったそうです」
「なるほど」

 うーん、ニナが活躍したとは聞いたけど中身は教えてくれなかったんだよな。たぶん、あの二人はそれが原因だと思うのだけど。

 王宮に着いたら、エレノアとニナシスティをエスコートしていつもの部屋に。
 すると、先に来たのはマイアーロッセ様とシュミット様だった。
「ニナ姉さま」
「ニナねえ」
 そう言って、二人はニナに抱き着いた。あれ、二人、ニナシスティの事をなんて呼んだ?
 不思議そうにエレノアの方を見る、ニナの方を見ろと言う仕草。すぐにそちらを見る。
「マイ、ミト。淑女らしく挨拶はきちんとなさい」
 は?
 言われた二人は一歩さがり、かわいらしい淑女の挨拶をする。
 ほよ?
「よくできました」
 そう言って、二人を連れてソファーに座り、本を音読してあげている。
「エレノア、ニナが、ニナがお姉ちゃんだ。どうなってるんだ」
「最近はこんな感じですよ」
 なんとびっくり。あの甘えん坊のニナシスティがちょっと見ない間にこんなに成長しているとは。
 感心していると、スザンヌとマリアテレーズが到着した。
 僕の方は、エレノアを入れて二人と談話し始めた。
 30分ほど経ったときだろうか、ニナシスティが本を読み終わったらしくこちらのテーブルに交じりお茶を飲み始める。
「ジルにいが前に言ってたけど、マイアーロッセ様の歌が奇跡を起こせたんだよ」
「奇跡?」
「そんな、奇跡だなんて。偶然のような物ですよ」
「先日の事件の時に怪我をした侍女が居たのですが、マイが歌ったら1曲歌っただけで傷がふさがったんだ」
「へー、歌うだけでか。回復魔法の治療効果よりは弱いけど。傷がふさがるならすごいね」
「ねえ、ジルにいの前で歌おう。また手伝うから」
 手伝う? ニナも一緒に歌うのか?
 マイアーロッセ様が、シュミット様に急かされて僕の前に立つ。二人は横に立って手を握っている」
「じゃあ、歌います」
 マイアーロッセ様が歌い始めると魔力の可視化に変化が現れる。
 ニナがマイアーロッセ様の魔力を動かし特に喉を覆うように魔力を広げている。シュミット様は魔力をマイアーロッセ様に移しているようにも見える。
 歌声が綺麗だ。空気が澄み渡る感じ。それもキラキラとしている。
 あれ、キラキラって光る魔力って何だっけ?

 マイアーロッセ様が1曲歌い終わった。鑑定で確認するとだいぶ魔力が減っていた。
「コハク」
「はい、何でしょう」
「今の、コハクの方が感じただろう」
「まあ、そうですね。人でありながら、このような事が出来るのですね。驚きです」
「どうかしたの。そんなに驚くことだったの?」
「マリア、今の歌はとても薄いけど神力が混じってた」
「神力って?」
「スザンヌは言ってなかったか。魔力の上の力で、神の持つ力さ。でもとても薄いからどんな影響があるのかよくわからないけど」
「そうですね。あれなら妖精や精霊が喜ぶでしょう。歌い続ければ妖精たちが集まりやすくなるでしょう。邪な気を払ってくれる効果あります。他には魔法の効果が強まったり。木々や植物の成長が早くなったり。自己治癒力があがり、傷が早くふさがるとかでしょう」
「でも、神力は魔力よりも消費が多いはずだ。マイアーロッセ様は大丈夫ですか」
「ええ、前回も今回も大丈夫ですよ」
「今日は、ニナも、シミュット様もマイアーロッセ様に魔力を渡していました。ですからお一人でやる時には魔力枯渇にご注意を。当面はニナが魔力制御の補助をしないと成功しないでしょう。ですから一人でやれるようになってからは注意が必要です。
気分が悪くなってきたらすぐに止めて、魔力回復薬を飲むように」
「はい」
「コハク、昔もこんな人はいたの」
「いえ、初めてです。ジルベール様以外に人の身で神力を扱える者が居るとは思ってもいませんでした」
「この歌は、いつも同じところで歌った方が良いのかい?」
「私の感じでは、この神力は今は広がりがありません。1週間ほどは滞留するでしょうから毎日違う場所で歌った方が良いと思います。王宮全体が良い空気になるでしょう」
「だって、スザンヌ。エマーシェス様にもそう伝えて」
「ええ、解ったわ。ロッセは歌が好きだから、歌でみんなを喜ばせそうで良かったわね」
「はい、お姉さま。ニナ姉さま、ありがとう。暫くはまだ一緒に付き合ってね」
「どーんと、任せなさい」
 ニナ、いつの間にかお姉ちゃんを飛び越して男前になってないか。
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