転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

文字の大きさ
370 / 532
第5章 シドニア訪問編

5.2.2 春の訪れと共に

しおりを挟む
 シュミット様とマイアーロッセ様はニナシスティが本を読みながら時間をつぶしてくれた。ニナシスティは、いつの間にか面倒見の良いお姉ちゃんになっていた。あんなに甘えん坊だったのに、すごい変わりようだ。
 この家を出て、僕の庇護から外れたのが良い影響を与えているようだ。
 他の人はお茶を飲みながら待っていたら、転移門で移動して来た人達が集まった。

 全員が揃ったので、馬車で新しい領主館予定地へと足を進める。

 王子達は部屋に案内できるが、他の人達は今から荷物を部屋に入れるのだからまだ時間がかかると思ったら、王都に居た人たちの分は最初に持って来た荷物にちゃんと含まれていたそうだ。なので、侯爵家の数名分だけが移動の荷物だったようだ。

 そう言っても、家の中には下働きの者達がバタバタとしている。
「あれ、王宮魔導士は居るけど、王子たちの護衛騎士は?」
「新しく建てた兵士棟の方へ行ってますよ。今日は我々クロスロードの兵士が護衛担当です。今日着いたのは先発組らしいですよ。追加メンバーが到着したら勤務と訓練組に別れるそうです」
「ありがとうトシアキ。エイミーもそっちに行ってるの」
「いえ、今日は居ると引越しの手伝いをさせられそうだからと、タロウと一緒に森に行きましたよ」
「え、一人で」
「タロウと一緒です」
 なんだか話がかみ合ってないな。多分トシアキは大抵の魔獣が出てもエイミーが倒せるし、何かあれば太郎に乗って逃げれるから問題ないって思ってるんだろうな。僕が心配してるのは、二人だけで森に行くと誰が止めるんだってことを問題にしてたんだけど。まあ良いか。

「じゃあ、皆さん。まだ建物の中はごちゃごちゃとしているので、庭に行きましょう。アンジェリカ様とマイアーロッセ様、シュミット様は、まだ春になったばかりで寒いでしょう。建物の中に入って応接室に行かれても大丈夫ですよ」
「貴方たちは訓練を開始するのかしら」
「そうですね、魔力操作の訓練は夕食後にします。今は、とりあえず体を動かします」

「そう、でもせっかくだから見に行くわ。寒くなったら部屋に戻ります。良いかしら」
「ええ、どちらでも。では行きますよ」

 ぞろぞろと移動する。マリアテレーズとスザンヌはすっと僕の横に並んできた。二人とも訓練を受けれるようにズボンを履いているのでエスコートは必要ない。でも手を握って移動することにした。
 ルカレディック殿下もズボン姿のサフィーナ様と手を繋いでいるし、マクシミリアン殿下もアナスタシアと手を繋いでいる。

 王家の王子、王女その婚約者以外が10名だ。
 オレリアン・カルスディーナ 13歳
 グレイ・フィンレワード 12歳
 ロベール・アンセルワード 10歳
 イザベラ・バディアワード 10歳
 クリシュナ・カルスディーナ 9歳
 エレノア・メリルディーナ 9歳
 ニナシスティ・メリルディーナ 7歳
学園卒業組
 ダリウス・カルスディーナ 17歳
 ルシアナ・オルトディーナ16歳
 サミュエル・フィンレワード16歳

 サミュエルは、例の学園で起こした事件のせいで僕の部下になったのだ。学園を卒業し、春から他の3人と共にクロスロードで兵士として働いてもらう。3人は普通に兵士としての新人訓練を受けるが、彼は金眼なのでこちらで教育を受けることになった。
「サミュエルは、こっちで訓練も受けるけど、あっちから呼び出しがあったら行ってもらうよ。それと基礎訓練は僕らと別にちゃんとノルマはやってもらうからね。一人だけ手を抜くのではなく、一人だけ訓練が追加されてると思ってよ」
「はい、頑張ります」

「ダリウス様は、兵法の勉強もしなければなりません。ルシアナ様は王宮魔導士の訓練にも参加してください」
「ええ、わかっているわ」
「父上から聞いている。私とルシアナはシドニアにも一緒に行くと言われている。そのつもりで頼む」
「ダリウス様は護衛騎士に交じって、ルシアナ様は王宮魔導士に入るのですね」
「そうよ、それが初任務なの」

「さあ、じゃあまずは基礎訓練を始めましょう」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...