393 / 532
第5章 シドニア訪問編
5.6.9 シドニアの学園見学
しおりを挟む
そうした緊張の中、30分ほどの会が終わり、次の場所への移動となった。
最後に、なぜかグランフェスタ様の侍女がルビースカリナ様に後ろから話しかけた。彼女から聞いた内容をルビースカリナ様が伝えてくれた。
「ジルベール様、次のテーブルですが席が一つ空いているので、令嬢を一人追加するそうよ。入り口に待っている方をエスコートして次のテーブルへ行ってくださいませ」
訳がわからないが迎えに行かなければならないようだ。
「わたくしを伝言板に使ったのですから、しっかりと務めなさい」
手振りでもすぐに行けと命じられ、なぜかすんなり従ってしまう。
恐ろしい人だ。スザンヌも女王様の素質があると思ったけど、この人は別次元だ。彼女をお手本にしないで欲しいものだ。
良くわからないまま入り口へと向かうとグランフェスタ様の侍女が扉を開ける。扉の向こうには侍女服からドレスに着替えたエリンが立っていた。
なぜ?
しかも、彼女の周りには先ほどよりもさらに沢山の精霊が集まっている。そして、いつの間にか部屋から消えていたイシスが手の中に収まり。ガルダはエリンの肩の上に止まっていた。
「ではジルベール様、エリン様のエスコートをお願いします」
グランフェスタ様の侍女がそう言ってエリンの手を押し付けてきた。
すると、居場所を失ったイシスはしょうがないと僕の頭の上に移る。
「あの、ジルベール様。すいません。わたくしも何がどうなっているのかさっぱりで」
「僕が後で貴方と話したいと言ったのを勘違いしたグランフェスタ様の暴走ですね。エリン様は悪くないのでご安心を、ではお手を」
そう言って手を出すと、恥ずかしそうに僕に手を合わせた。そして少し顔を赤くする。その表情はすごくかわいかった。
「わたくしと話したいことがあったのですか」
「とりあえず歩きましょうか」
僕はエリンの隣にぴったりと付いて小声で話す。
「エリン様はイシスとガルダが見えるようですが、他にも周りをふわふわと浮いている精霊の光が見えますよね」
「えっ。ええ、見えますわ」
「それは、いつからですか?」
「わたくしの誕生日が4月なのですが、誕生日の翌日からですわ。最近のことなのです」
「そうですか。あなたの卒業後は王宮勤めだと聞きましたが本当ですか」
「はい、学力は十分だと。実技も合格しました。グランフェスタ様が後援となっていただけるそうなので、卒業後は王宮で雇われる予定です。そのあとはグランフェスタ様がご結婚されるお屋敷で侍女として」
「とりあえず王宮勤めなら大丈夫ですね。後のことは考えないといけないけど」
「大丈夫とは?」
「精霊を目視できる力は希少です。狙われる可能性があるのですよ。さあこちらへ」
椅子に座らせて自分も席に着く。
あの特徴でグランフェスタ様の個人に雇われる侍女になるのか。あれだけ精霊が寄ってくるならマリアテレーズと一緒に居れば彼女が精霊魔法を使えるようになるかもしれない。後のことはグランフェスタ様と交渉だな。
そう考えながら僕も席に着く。
次の席は侯爵家の人はおらず伯爵家が最高位だった。
だからなのか最初に違う席のグランフェスタ様が来て一方的にエリンを紹介した。
「皆は知ってるでしょうけど、改めて紹介するわ。エリン・ブラフォード様よ。3年生の中では最も小柄で幼く見えますが、この身長に対してB90のGとアンマッチな体格。男子からは人気があるけど高位貴族であるトリスタン様から求婚も断るその姿勢は同姓女子からの評価も高いわ。そして知っていると思うけど来年から王宮侍女として勤める事が決まっているわ。その後援は我が家よ。では仲良くしてね」
そう言って彼女は自分の席に戻って行った。
グランフェスタ様が後援になったと言う宣言はこの場に男爵家の令嬢が座るために必要だったのだろう。この席は領主候補生として在籍する人ばかりだ。侯爵家の推薦があっても伯爵家もしくは最低でも子爵家以上だった。
「グランフェスタ様がわざわざ話され、この場に座ると言うことは単なる後援では無く養女と言うことですか」
「確かに先日そのようなお話をお聞きしました。その時にはまだ選定中と言われ、どの家に行くのかは知らないのです」
「養女?」
「そうよ。王宮で働く侍女でも高位の方に仕えるのは子爵家以上の子女よ。たとえ侯爵家の後ろ盾があっても、男爵家の子は一つ格が落ちるのよ。少なくともこの国では」
「へえ、そういうルールなのですか?」
「単なる慣習よ。エリン様の家が領地を持つ古くからの貴族家なら大丈夫だったのでしょうけど、領地を持たない男爵家では、なにかあった時に困るでしょ」
「なにかって」
その場にいた伯爵家の女性が不思議な顔をしてこちらを見る。
「ジルベール様は、賢そうに見えますがまだ幼いのね。お手つきも含めてよ。もし王族の子供を産むとなった時に困るでしょ」
やはり女性に口では勝てそうもない。
このテーブルでの話が終わり、最後のテーブルに移る。なぜかエリンを隣につれて参加することになった。
最後に、なぜかグランフェスタ様の侍女がルビースカリナ様に後ろから話しかけた。彼女から聞いた内容をルビースカリナ様が伝えてくれた。
「ジルベール様、次のテーブルですが席が一つ空いているので、令嬢を一人追加するそうよ。入り口に待っている方をエスコートして次のテーブルへ行ってくださいませ」
訳がわからないが迎えに行かなければならないようだ。
「わたくしを伝言板に使ったのですから、しっかりと務めなさい」
手振りでもすぐに行けと命じられ、なぜかすんなり従ってしまう。
恐ろしい人だ。スザンヌも女王様の素質があると思ったけど、この人は別次元だ。彼女をお手本にしないで欲しいものだ。
良くわからないまま入り口へと向かうとグランフェスタ様の侍女が扉を開ける。扉の向こうには侍女服からドレスに着替えたエリンが立っていた。
なぜ?
しかも、彼女の周りには先ほどよりもさらに沢山の精霊が集まっている。そして、いつの間にか部屋から消えていたイシスが手の中に収まり。ガルダはエリンの肩の上に止まっていた。
「ではジルベール様、エリン様のエスコートをお願いします」
グランフェスタ様の侍女がそう言ってエリンの手を押し付けてきた。
すると、居場所を失ったイシスはしょうがないと僕の頭の上に移る。
「あの、ジルベール様。すいません。わたくしも何がどうなっているのかさっぱりで」
「僕が後で貴方と話したいと言ったのを勘違いしたグランフェスタ様の暴走ですね。エリン様は悪くないのでご安心を、ではお手を」
そう言って手を出すと、恥ずかしそうに僕に手を合わせた。そして少し顔を赤くする。その表情はすごくかわいかった。
「わたくしと話したいことがあったのですか」
「とりあえず歩きましょうか」
僕はエリンの隣にぴったりと付いて小声で話す。
「エリン様はイシスとガルダが見えるようですが、他にも周りをふわふわと浮いている精霊の光が見えますよね」
「えっ。ええ、見えますわ」
「それは、いつからですか?」
「わたくしの誕生日が4月なのですが、誕生日の翌日からですわ。最近のことなのです」
「そうですか。あなたの卒業後は王宮勤めだと聞きましたが本当ですか」
「はい、学力は十分だと。実技も合格しました。グランフェスタ様が後援となっていただけるそうなので、卒業後は王宮で雇われる予定です。そのあとはグランフェスタ様がご結婚されるお屋敷で侍女として」
「とりあえず王宮勤めなら大丈夫ですね。後のことは考えないといけないけど」
「大丈夫とは?」
「精霊を目視できる力は希少です。狙われる可能性があるのですよ。さあこちらへ」
椅子に座らせて自分も席に着く。
あの特徴でグランフェスタ様の個人に雇われる侍女になるのか。あれだけ精霊が寄ってくるならマリアテレーズと一緒に居れば彼女が精霊魔法を使えるようになるかもしれない。後のことはグランフェスタ様と交渉だな。
そう考えながら僕も席に着く。
次の席は侯爵家の人はおらず伯爵家が最高位だった。
だからなのか最初に違う席のグランフェスタ様が来て一方的にエリンを紹介した。
「皆は知ってるでしょうけど、改めて紹介するわ。エリン・ブラフォード様よ。3年生の中では最も小柄で幼く見えますが、この身長に対してB90のGとアンマッチな体格。男子からは人気があるけど高位貴族であるトリスタン様から求婚も断るその姿勢は同姓女子からの評価も高いわ。そして知っていると思うけど来年から王宮侍女として勤める事が決まっているわ。その後援は我が家よ。では仲良くしてね」
そう言って彼女は自分の席に戻って行った。
グランフェスタ様が後援になったと言う宣言はこの場に男爵家の令嬢が座るために必要だったのだろう。この席は領主候補生として在籍する人ばかりだ。侯爵家の推薦があっても伯爵家もしくは最低でも子爵家以上だった。
「グランフェスタ様がわざわざ話され、この場に座ると言うことは単なる後援では無く養女と言うことですか」
「確かに先日そのようなお話をお聞きしました。その時にはまだ選定中と言われ、どの家に行くのかは知らないのです」
「養女?」
「そうよ。王宮で働く侍女でも高位の方に仕えるのは子爵家以上の子女よ。たとえ侯爵家の後ろ盾があっても、男爵家の子は一つ格が落ちるのよ。少なくともこの国では」
「へえ、そういうルールなのですか?」
「単なる慣習よ。エリン様の家が領地を持つ古くからの貴族家なら大丈夫だったのでしょうけど、領地を持たない男爵家では、なにかあった時に困るでしょ」
「なにかって」
その場にいた伯爵家の女性が不思議な顔をしてこちらを見る。
「ジルベール様は、賢そうに見えますがまだ幼いのね。お手つきも含めてよ。もし王族の子供を産むとなった時に困るでしょ」
やはり女性に口では勝てそうもない。
このテーブルでの話が終わり、最後のテーブルに移る。なぜかエリンを隣につれて参加することになった。
28
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる