410 / 532
第5章 シドニア訪問編
5.10.4 シドニア学園攻防戦
しおりを挟む
「ジルベール様は後ろに。私が前を」
トシアキが前に出て、その横に太郎が並んだ。
僕らは、その右後ろにエイミー、左後ろに僕が。僕とエイミーの間にコハクと陣形を作りゆっくりと歩いて行った。
侵入者防止の仕掛けなのか、門から直線で校舎に行くことはできない。木々が生い茂り右手に校舎があるはずなのだが見えない仕掛けになっている。
そのまましばらく進んで、右に曲がっていく道をさらに進む。すると広場に出る。
その広場奥まで行けば校舎が見るのだが、その先で戦いが行われているようだ。
「あれですかね。倒れているのは兵士でしょうか」
さらに進むと、ようやく一団が見えた。
「中心にいる一人はルビースカリナ様だ。これだけ離れていてもすぐに解る。すごい存在感だな」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ、ジルちゃん。倒れてる兵士は結構血が流れてるよ。床の血の量、割と多い。あ、もう一人倒れた。賊と戦ってるのもステパン殿一人だけになってるよ。5対1はまずいんじゃ」
僕らが近づこうとしたら、良く響く声が聞こえた。
「魔力持ちは近づいてはなりません」
特徴的な声だ。
そう、声の主はルビースカリナ様だ。
「魔力持ちがだめ? どういうこ」
『近づいてはならんのじゃ』
思ったことが声に出ていたが途中でイシスの念話に中断された。
その念話はいつもと違い、非常に強い意思の力を感じた。
つまり、ほんとに危険なのだろう。
そう考えた時にコハクから声が。
「ジルベール様、お下がりください」
コハクが僕の手を引っ張り、後ろに下がる。
声に驚いたのか、気配を感じたからなのか太郎は僕らの後ろまでジャンプで下がった。
「絶対防御の壁で防ぎます。ですがこれ以上近づくのは危険です」
「どういうこと? 魔法じゃない?」
「精霊が暴れてます。近づくと魔力が乱れ制御不能となります。魔力の大きい者ほど影響を受けるのです」
「そういうことか、だけどそんな魔法。魔道具を含めて聞いたことないけど、コハクは知ってるの?」
「ええ、知ってます。今の人々は知らないようですが。あれは500年前でも幻のアーティファクトと言われていました。いつの時代に、どうやって作られたのか不明の魔道具。ティアマト様を連れてこなくて正解でした」
「ティアマトが? なにか関係があるのか」
「あれは竜族を封じるために作られた魔道具です。いえ神具です。魔力が多い者ほど影響を受けます。ジルベール様もエイミー様も動いてはいけません。太郎ちゃん、影の中でも影響を受けるから。あなたはもっと後ろに下がった方が良いわ」
その声で太郎は影響を感じなかった辺りまで下がった。
「そういうことか、ステパンの動きが遅く見えるのは身体強化が使えないからか」
「そうみたいだね、僕もこの距離で結界の中に居るのに身体強化が駄目みたい。でもなんでステパンは動けるんだろ」
誰からか返事を期待したわけでは無いの、直後に鑑定を使ってステパンを調べる。
「鑑定でみると魔力の残量が殆どない。どうやら体内に魔力が残ってないと動けるのかもしれない」
「どの程度低ければ動いていられるのですか?」
「ステパンは魔力枯渇状態に近いかな」
「そんなに。では魔力枯渇による頭痛を我慢しながら、身体強化無しであの立ち回りを」
「どうだろう。近づけないし自分では確認できないかな。とりあえず僕を短時間で魔力枯渇状態にはできない。エイミーは、魔導士並みに魔力の総量を増えたけど、魔法が使えないから、僕同様に短時間で魔力枯渇状態にはできない」
「ジルベール様、私は大丈夫みたいです。ステパン殿の手助けに行きます」
トシアキは、特に問題なさそうに動いている。
「ああ、そうか。トシアキ、大丈夫なのか。身体強化が使えなくてもあれなら普段のトシアキと比べて敵の動きは鈍い。あれなら君一人で勝てそうかな」
「ふ、はっはっは。常日頃言っている通り、結局最後に物を言うのは筋肉と言うことです。ジルベール様はまだ成長中ですから頑張りすぎは逆効果ですが、やはりある程度鍛えた方が良いと言うことです。カルスディーナ公爵もオルトディーナ公爵も自ら鍛えてますからね。良し、このぐらい魔力を放出しておけば大丈夫でしょう。では行ってきます」
トシアキが元気に結界を抜けて出て行った。
「じゃあ頼むよ」
トシアキが前に出て、その横に太郎が並んだ。
僕らは、その右後ろにエイミー、左後ろに僕が。僕とエイミーの間にコハクと陣形を作りゆっくりと歩いて行った。
侵入者防止の仕掛けなのか、門から直線で校舎に行くことはできない。木々が生い茂り右手に校舎があるはずなのだが見えない仕掛けになっている。
そのまましばらく進んで、右に曲がっていく道をさらに進む。すると広場に出る。
その広場奥まで行けば校舎が見るのだが、その先で戦いが行われているようだ。
「あれですかね。倒れているのは兵士でしょうか」
さらに進むと、ようやく一団が見えた。
「中心にいる一人はルビースカリナ様だ。これだけ離れていてもすぐに解る。すごい存在感だな」
「そんなこと言ってる場合じゃないよ、ジルちゃん。倒れてる兵士は結構血が流れてるよ。床の血の量、割と多い。あ、もう一人倒れた。賊と戦ってるのもステパン殿一人だけになってるよ。5対1はまずいんじゃ」
僕らが近づこうとしたら、良く響く声が聞こえた。
「魔力持ちは近づいてはなりません」
特徴的な声だ。
そう、声の主はルビースカリナ様だ。
「魔力持ちがだめ? どういうこ」
『近づいてはならんのじゃ』
思ったことが声に出ていたが途中でイシスの念話に中断された。
その念話はいつもと違い、非常に強い意思の力を感じた。
つまり、ほんとに危険なのだろう。
そう考えた時にコハクから声が。
「ジルベール様、お下がりください」
コハクが僕の手を引っ張り、後ろに下がる。
声に驚いたのか、気配を感じたからなのか太郎は僕らの後ろまでジャンプで下がった。
「絶対防御の壁で防ぎます。ですがこれ以上近づくのは危険です」
「どういうこと? 魔法じゃない?」
「精霊が暴れてます。近づくと魔力が乱れ制御不能となります。魔力の大きい者ほど影響を受けるのです」
「そういうことか、だけどそんな魔法。魔道具を含めて聞いたことないけど、コハクは知ってるの?」
「ええ、知ってます。今の人々は知らないようですが。あれは500年前でも幻のアーティファクトと言われていました。いつの時代に、どうやって作られたのか不明の魔道具。ティアマト様を連れてこなくて正解でした」
「ティアマトが? なにか関係があるのか」
「あれは竜族を封じるために作られた魔道具です。いえ神具です。魔力が多い者ほど影響を受けます。ジルベール様もエイミー様も動いてはいけません。太郎ちゃん、影の中でも影響を受けるから。あなたはもっと後ろに下がった方が良いわ」
その声で太郎は影響を感じなかった辺りまで下がった。
「そういうことか、ステパンの動きが遅く見えるのは身体強化が使えないからか」
「そうみたいだね、僕もこの距離で結界の中に居るのに身体強化が駄目みたい。でもなんでステパンは動けるんだろ」
誰からか返事を期待したわけでは無いの、直後に鑑定を使ってステパンを調べる。
「鑑定でみると魔力の残量が殆どない。どうやら体内に魔力が残ってないと動けるのかもしれない」
「どの程度低ければ動いていられるのですか?」
「ステパンは魔力枯渇状態に近いかな」
「そんなに。では魔力枯渇による頭痛を我慢しながら、身体強化無しであの立ち回りを」
「どうだろう。近づけないし自分では確認できないかな。とりあえず僕を短時間で魔力枯渇状態にはできない。エイミーは、魔導士並みに魔力の総量を増えたけど、魔法が使えないから、僕同様に短時間で魔力枯渇状態にはできない」
「ジルベール様、私は大丈夫みたいです。ステパン殿の手助けに行きます」
トシアキは、特に問題なさそうに動いている。
「ああ、そうか。トシアキ、大丈夫なのか。身体強化が使えなくてもあれなら普段のトシアキと比べて敵の動きは鈍い。あれなら君一人で勝てそうかな」
「ふ、はっはっは。常日頃言っている通り、結局最後に物を言うのは筋肉と言うことです。ジルベール様はまだ成長中ですから頑張りすぎは逆効果ですが、やはりある程度鍛えた方が良いと言うことです。カルスディーナ公爵もオルトディーナ公爵も自ら鍛えてますからね。良し、このぐらい魔力を放出しておけば大丈夫でしょう。では行ってきます」
トシアキが元気に結界を抜けて出て行った。
「じゃあ頼むよ」
28
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる