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第5章 シドニア訪問編

5.11.1 ディックハウト公爵家攻防戦待機

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 戦闘が終了したが、事態は混乱したままだ。怪我をした人は治療済みではあるがほとんどが眠っている。
 遅れて到着した城の騎士達が倒れている人を順に運び始めた。

「ジルベール様、この後どのようなご予定ですか?」
 そう話しかけてきたのはグランフェスタ様だ。
 彼女は、怪我もしていないし汚れてもいないようだ。ちゃんと避難していたのだろう。

「そうですね。残念ですが襲撃がこれで終わりと言うことは無いでしょう。次に備えられる場所に行きたいですね」
「これだけの事件を起こし、全員が捕まったと思いますがまだ襲われると?」
「ええ、今回は神具があったからでしょうが、捕まったのは魔法の使えない者ばかり。彼らは現地調達できる人員、つまり下っ端です。あの奇妙な神具が用意できる組織が裏にいると考えれば、魔法を使える人物がもっと人が多いはずです。と言うことは本体の部隊はどこかで無傷で温存されていると考えられます」
「そうね。では、王城に行きますか。それならばわたくしから連絡しますが」
 彼女もそう思っていたから声をかけてきたと言うことか。

「次の戦いを想定している敵だとすると、城は城壁を使った攻防戦を想定した作り。それを見越して城壁内に入れる手立てを持っている気がします。そうすると敵の思惑通り城に行くのは不利でしょう」
「でも、城なら兵士が沢山いるわよ」
「数が居ても僕が魔法を使えない状況が良くない。城は建物が多すぎる。周りへの影響が少ない場所が良い。それに知らない兵士が多いとそれだけ敵は入りやすい」
「わたくしの家もそれなりに大きいし護衛も居るけど。庭の広さは侯爵家よりは公爵邸の方が良いわね。寄り親のブリューネワルト公爵家は当主が陛下とご一緒しているし。そうね、トルステン様本人が居るのだからディックハウト公爵家はどうかしら」
「そうですね、嫁候補になったルビースカリナ様を守ると言う建前もありますし」
「え、それほんとなの。いつの間にそんな面白いことになったの」
「さっきです」
「ああ、それで膝枕なのね。納得したわ」
「では、トルステン様に動いて貰いたいけど無理そうね」
「あ、それは拙者が」
「ステパン様、頼めるかしら」
「拙者も再び襲撃があるとは思ってやすから。もちろんで。何か手配した方が良い物がありやすか」
「もし敵の本体が来るなら、今回の学園への侵入の手際のよさ、神具を用意できる組織力。それらを考えると高位の魔法が使える者がいると考える」
「そうですか。ですがディックハウト公爵家に常駐している魔法使いは、それほど残っておりませんよ。国王の護衛に出してますから。王城に救援を頼みますか?」
「王宮の方は私が」
「僕は、後で転移を使って国境に応援を頼みに往復するよ。陛下に頼めば救援で兵を貸してくれるだろう。それと、エリンとルビースカリナ達を早く移動させたいのだけど」
「わかりやした。では用意をしてきます」
 ステパンは1人で走って行った。
 うーん、元気だな。あの人も怪我をしていたはずなんだけど。怪我は治ったけど体力は消耗していたはずなのにすごいな。
 あ、やっぱり転んだ。
 そりゃそうだよな。

 近くの兵士が駆け寄って来て、話をしているから伝令にするのかな。
 
 そうこうしている間に子供達を迎えに来た馬車が次々に到着した。

「ルビースカリナ様、馬車が着きました。ジルベール様と相談しましたが、トルステン様と一緒にディックハウト公爵家に向かってください」
「あ、待ってください。ルビースカリナ様、僕らは護衛をしますからエリンも一緒に乗せてください。移動がばらばらになると途中で襲われた時に対処ができません」
「わかったわ」

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