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第5章 シドニア訪問編
5.11.3 ディックハウト公爵家攻防戦待機
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僕は、与えられた部屋に転移した。
「あら、ジル様。お帰りなさい。あの子は無事ですか」
「うわ、びっくりした。なんでここに居るの、予知?」
誰も居ないはずの部屋にはスザンヌが居たのでとても驚いた。
「ジル様でも驚くことがあるのですね。いえ予知ではありませんわ。私の予想です。そろそろ報告に来る頃だと思って待っていましたのよ」
「そう。えっとスザンヌ。ただいま。スザンヌの予知通りに襲撃は起きたよ、そして状況はあまり良くない」
「襲撃自体が起きるのは防ぎようのないことですもの。ですが、ジル様が行ったのに状況が良くないとは、珍しいですね。あの女王様に何か合ったのですか」
「女王様……。エリンもルビースカリナ様も無事だよ」
「そう、良かったわね。それで状況が良くないとは?」
「襲撃して来たのは本体じゃなさそうだった。それで陛下に応援を頼みたいのとティアマトに質問があったね、説明に時間がかかるから一度に話したいのだけど」
「わかったわ。あなた、お願いね」
スザンヌが声をかけると、部屋に隅にいた侍女が部屋から出て行った。
え、全然気が付かなかった。隠密のスキルでもあるのか。
「彼女、面白いでしょ。ここで兵士として働いていた子なの。鑑定で隠密スキルを持っているのを発見したから、ここでの侍女にしてもらったのよ」
「ああ、鑑定の眼でそこまで見れるようになったんだ」
「ええ、便利ですね。ただあまり沢山の人は見れませんけど」
「あまり鑑定だけに頼るも良くないし、気なった人だけ見るならそんなに沢山見れる必要はないよ。それに鑑定は騙せるからね」
「そうね」
さっきの侍女はすぐに戻って来た。
すごく早い。忍者か?
「じゃあ、行きましょう。ちょうど夕食の時間で良かったわ」
僕は、陛下達に食事が始まる前に人を集めるお願いだけ先にしておく。
「陛下、準備して頂きたい事がありますので、お願いだけ先に伝えます。ディックハウト公爵家で次の襲撃に備えた準備をしています。人を貸してください。次の襲撃は魔法戦になると考えています。。申し訳ありませんがバーニィと彼の部下を貸してください。それと念のために魔力は少なくて剣術のスキルの高い者も数名お借りしたいです。後で一緒に転移で連れて行きます」
「わかった。オルトディーナ公、聞いた通りだ。出せる者を選別して集めてくれ。そういえばディックハウト公爵は公爵本人が来ていたはずだな」
「は、そちらもお呼びいたします」
そして、食事をしながら、今日の事を説明をした。
「そうか、そのような神具を持っている相手か」
「ジルベール、その神具を見せてくれ」
ティアマトに、神具を渡す。
「これか」
「知ってるの?」
「母が亡くなった事件で使われた魔道具がおそらくこれだ。多くの同胞がやられたらしい」
「亡くなったっておよそ300年前」
「そうだ、私が生まれてすぐの頃だ。父上以外の竜はこれで身動きが取れず殺された。父上もかなり苦しめられたそうだ」
「じゃあ、あれでも対処できないってこと」
「いや、あれでしか対処できなかったのだ。だから私も父上も生きている。父上はすべての神具を壊したと言っていたが、まだ残りがあったのか。あるいは新たに作ったのか、だがこれは間違いなく神具。人が作れるものでは無い。と言っていた」
「そうなんだ」
「しかし、魔力が少なければ影響を受けないとは。父上も知らないはずだ。だから私や同じく小さな子達が生き残ったのか」
「これは、バハムート様に渡した方が良いの?」
「いや、当時の者は父様も持っていて研究していた。精霊を集められる存在が居なければ役に立たない事は知っておられる。もしもう一度同じ攻撃を受けたら躊躇せずに精霊のいとし子を消すとおっしゃっておられた。仲間の命の方が優先だと」
「そうか」
「エリン殿が対象となるのなら、ジルベールは別の対処方法を取るべきだろう。幸いトシアキ殿が動けるのなら、その方が良い。居ない時には迷わずあれになり、神具を持つ者を殺めるべきだ。あの時は複数の神具持ちがおったが、これが今の時代に10も20も残っておるとは思えん。これは作るのが難しいぞ」
なるほど、精霊のいとし子が複数人居ることはあり得ないが、神具が複数個あることも想定しないといけないのか。
「わかった」
「ジルベール、シドニアに来た時に面合わせしていたと思うが、ディックハウト公爵殿だ」
オルトディーナ公爵が僕に紹介してくれた。
改めてみると、トルステン様をちょっとダンディーにした感じの割とかっこよい人だった。トルステン様同様魔法が得意なのだろう、オルトディーナ公爵ほど筋肉は無いがトルステン様が長男というだけありまだ若い。
「ジルベール殿か、あまり詳細は聞いておらんのだが、シドニアの学院で学生が襲撃されたと、その反撃に備えて我が家が防衛の拠点になっていると」
「はい、襲われた一人はルビースカリナ様です。ご実家で戦闘が発生すると周りへの影響がありますし、城も外からの守りは鉄壁ですが、潜入された後は防ぎようがありません。今はそれだけの兵士が常駐していません。そこで、トルステン様のご厚意でディックハウト公爵家で防衛することになりました」
「ふむ、それは解ったが、トルステンがそんなことを」
「トルステン様がルビースカリナ様をお守りして、なんだかんだで求婚して彼女が受け入れたと言うのも理由の一つですが」
「なんと、そんな事が。そうか。ではしっかりと彼女をお守りせねばならんな。我が家の戦力をばらしている場合では無いな。私の部下も連れて戻れないのか」
「ジルベール、こちらが用意したのは18名だ。あと1時間ほどで準備ができるそうだが、1回の上限は20名ぐらいだっただろう」
「ありがとうございます。陛下。ディックハウト公爵閣下、閣下一人なら一緒に転移でもどりますが、それ以上を運ぶならもう一度だけ往復します、20名以下になるように人数を絞ってください」
「20名までか、転移門と同じなら護衛を含めて5名と思っておったが、解ったそれだけ連れ帰れるなら大丈夫だ。我々も1時間以内に用意できるようにしよう」
「ジルベール、私が一組移動させようか」
ティアマトが心配して声をかけてくれた。
「ティアマトにはここに居て欲しい。エリンが寝ているから精霊を集めるのは難しいと思うけど、彼女は力をコントロールできているわけじゃない。勝手に精霊が集まってきたら神具の発動条件を満たしてしまう。僕よりも魔力量の多いティアマトはさらに影響を受ける可能性がある」
「そうかもしれんが……」
「それに、嫌な予感がする。あっちも予言の力を持った者がいるんじゃないかって気がするんだ。もしそうだとすると、この襲撃は、僕をあっちに引き付けておく陽動かもしれない」
「ジルベール。それはさすがに疑いすぎじゃないか」
「陛下、某国の元女王の記憶を持つルビースカリナ様をあの国に連れ戻って王に戻せるとおもいますか。血筋で無く記憶を持つからと。どう思います」
「ふむ、難しいな。我が国もだが、王として認めるにはその国の貴族が集まる貴族会で承認を得なければならん。血筋、知識、性格、魔力など適性を見られる。元々国に見限られ処刑された女王だ。たとえその時の判断が間違っていたとしても、今の貴族たちが決めたことだ。その者達が返り咲きを認めるとは思えん。それを省いて王として立つことも可能だ。だが、その場合でも諸外国の王が承認しなければ国として成立しない。たとえ帝国が後ろ盾になったとしても我々がそれを認めることは無いだろう」
「貴族の学園で法を学んでいるのであれば知っているはずです。なのに口車に乗った学生がいる。おかしいでしょ」
「その学生が洗脳されていると」
「そうです。つまり、それだけの準備をしていると言うことです。昨日今日計画した物ではない。ならば裏が何重にも用意されていると考えるのはおかしくない」
「ふむ、わかった。こちらも警戒しておこう」
「じゃあ、そういうことでティアマトにはこっちを頼むよ。スザンヌとマリアのことお願いね」
「わかった。二人とも子供だからな。守ってやろう」
「あら、ジル様。お帰りなさい。あの子は無事ですか」
「うわ、びっくりした。なんでここに居るの、予知?」
誰も居ないはずの部屋にはスザンヌが居たのでとても驚いた。
「ジル様でも驚くことがあるのですね。いえ予知ではありませんわ。私の予想です。そろそろ報告に来る頃だと思って待っていましたのよ」
「そう。えっとスザンヌ。ただいま。スザンヌの予知通りに襲撃は起きたよ、そして状況はあまり良くない」
「襲撃自体が起きるのは防ぎようのないことですもの。ですが、ジル様が行ったのに状況が良くないとは、珍しいですね。あの女王様に何か合ったのですか」
「女王様……。エリンもルビースカリナ様も無事だよ」
「そう、良かったわね。それで状況が良くないとは?」
「襲撃して来たのは本体じゃなさそうだった。それで陛下に応援を頼みたいのとティアマトに質問があったね、説明に時間がかかるから一度に話したいのだけど」
「わかったわ。あなた、お願いね」
スザンヌが声をかけると、部屋に隅にいた侍女が部屋から出て行った。
え、全然気が付かなかった。隠密のスキルでもあるのか。
「彼女、面白いでしょ。ここで兵士として働いていた子なの。鑑定で隠密スキルを持っているのを発見したから、ここでの侍女にしてもらったのよ」
「ああ、鑑定の眼でそこまで見れるようになったんだ」
「ええ、便利ですね。ただあまり沢山の人は見れませんけど」
「あまり鑑定だけに頼るも良くないし、気なった人だけ見るならそんなに沢山見れる必要はないよ。それに鑑定は騙せるからね」
「そうね」
さっきの侍女はすぐに戻って来た。
すごく早い。忍者か?
「じゃあ、行きましょう。ちょうど夕食の時間で良かったわ」
僕は、陛下達に食事が始まる前に人を集めるお願いだけ先にしておく。
「陛下、準備して頂きたい事がありますので、お願いだけ先に伝えます。ディックハウト公爵家で次の襲撃に備えた準備をしています。人を貸してください。次の襲撃は魔法戦になると考えています。。申し訳ありませんがバーニィと彼の部下を貸してください。それと念のために魔力は少なくて剣術のスキルの高い者も数名お借りしたいです。後で一緒に転移で連れて行きます」
「わかった。オルトディーナ公、聞いた通りだ。出せる者を選別して集めてくれ。そういえばディックハウト公爵は公爵本人が来ていたはずだな」
「は、そちらもお呼びいたします」
そして、食事をしながら、今日の事を説明をした。
「そうか、そのような神具を持っている相手か」
「ジルベール、その神具を見せてくれ」
ティアマトに、神具を渡す。
「これか」
「知ってるの?」
「母が亡くなった事件で使われた魔道具がおそらくこれだ。多くの同胞がやられたらしい」
「亡くなったっておよそ300年前」
「そうだ、私が生まれてすぐの頃だ。父上以外の竜はこれで身動きが取れず殺された。父上もかなり苦しめられたそうだ」
「じゃあ、あれでも対処できないってこと」
「いや、あれでしか対処できなかったのだ。だから私も父上も生きている。父上はすべての神具を壊したと言っていたが、まだ残りがあったのか。あるいは新たに作ったのか、だがこれは間違いなく神具。人が作れるものでは無い。と言っていた」
「そうなんだ」
「しかし、魔力が少なければ影響を受けないとは。父上も知らないはずだ。だから私や同じく小さな子達が生き残ったのか」
「これは、バハムート様に渡した方が良いの?」
「いや、当時の者は父様も持っていて研究していた。精霊を集められる存在が居なければ役に立たない事は知っておられる。もしもう一度同じ攻撃を受けたら躊躇せずに精霊のいとし子を消すとおっしゃっておられた。仲間の命の方が優先だと」
「そうか」
「エリン殿が対象となるのなら、ジルベールは別の対処方法を取るべきだろう。幸いトシアキ殿が動けるのなら、その方が良い。居ない時には迷わずあれになり、神具を持つ者を殺めるべきだ。あの時は複数の神具持ちがおったが、これが今の時代に10も20も残っておるとは思えん。これは作るのが難しいぞ」
なるほど、精霊のいとし子が複数人居ることはあり得ないが、神具が複数個あることも想定しないといけないのか。
「わかった」
「ジルベール、シドニアに来た時に面合わせしていたと思うが、ディックハウト公爵殿だ」
オルトディーナ公爵が僕に紹介してくれた。
改めてみると、トルステン様をちょっとダンディーにした感じの割とかっこよい人だった。トルステン様同様魔法が得意なのだろう、オルトディーナ公爵ほど筋肉は無いがトルステン様が長男というだけありまだ若い。
「ジルベール殿か、あまり詳細は聞いておらんのだが、シドニアの学院で学生が襲撃されたと、その反撃に備えて我が家が防衛の拠点になっていると」
「はい、襲われた一人はルビースカリナ様です。ご実家で戦闘が発生すると周りへの影響がありますし、城も外からの守りは鉄壁ですが、潜入された後は防ぎようがありません。今はそれだけの兵士が常駐していません。そこで、トルステン様のご厚意でディックハウト公爵家で防衛することになりました」
「ふむ、それは解ったが、トルステンがそんなことを」
「トルステン様がルビースカリナ様をお守りして、なんだかんだで求婚して彼女が受け入れたと言うのも理由の一つですが」
「なんと、そんな事が。そうか。ではしっかりと彼女をお守りせねばならんな。我が家の戦力をばらしている場合では無いな。私の部下も連れて戻れないのか」
「ジルベール、こちらが用意したのは18名だ。あと1時間ほどで準備ができるそうだが、1回の上限は20名ぐらいだっただろう」
「ありがとうございます。陛下。ディックハウト公爵閣下、閣下一人なら一緒に転移でもどりますが、それ以上を運ぶならもう一度だけ往復します、20名以下になるように人数を絞ってください」
「20名までか、転移門と同じなら護衛を含めて5名と思っておったが、解ったそれだけ連れ帰れるなら大丈夫だ。我々も1時間以内に用意できるようにしよう」
「ジルベール、私が一組移動させようか」
ティアマトが心配して声をかけてくれた。
「ティアマトにはここに居て欲しい。エリンが寝ているから精霊を集めるのは難しいと思うけど、彼女は力をコントロールできているわけじゃない。勝手に精霊が集まってきたら神具の発動条件を満たしてしまう。僕よりも魔力量の多いティアマトはさらに影響を受ける可能性がある」
「そうかもしれんが……」
「それに、嫌な予感がする。あっちも予言の力を持った者がいるんじゃないかって気がするんだ。もしそうだとすると、この襲撃は、僕をあっちに引き付けておく陽動かもしれない」
「ジルベール。それはさすがに疑いすぎじゃないか」
「陛下、某国の元女王の記憶を持つルビースカリナ様をあの国に連れ戻って王に戻せるとおもいますか。血筋で無く記憶を持つからと。どう思います」
「ふむ、難しいな。我が国もだが、王として認めるにはその国の貴族が集まる貴族会で承認を得なければならん。血筋、知識、性格、魔力など適性を見られる。元々国に見限られ処刑された女王だ。たとえその時の判断が間違っていたとしても、今の貴族たちが決めたことだ。その者達が返り咲きを認めるとは思えん。それを省いて王として立つことも可能だ。だが、その場合でも諸外国の王が承認しなければ国として成立しない。たとえ帝国が後ろ盾になったとしても我々がそれを認めることは無いだろう」
「貴族の学園で法を学んでいるのであれば知っているはずです。なのに口車に乗った学生がいる。おかしいでしょ」
「その学生が洗脳されていると」
「そうです。つまり、それだけの準備をしていると言うことです。昨日今日計画した物ではない。ならば裏が何重にも用意されていると考えるのはおかしくない」
「ふむ、わかった。こちらも警戒しておこう」
「じゃあ、そういうことでティアマトにはこっちを頼むよ。スザンヌとマリアのことお願いね」
「わかった。二人とも子供だからな。守ってやろう」
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