転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.11.8 ディックハウト公爵家攻防戦待機

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「エイミー様、戦いが始まりました。皆を大広間に集めるようにとのことです。如何しますか」
「うーん、僕に作戦の是非を聞かれてもねえー。トシアキはなんて言ってたの」
「トシアキ様は、護衛対象が1か所に居た方が良いと、ですがエイミー様の感も信じるようにと」
「わかったよ。別に今のところ悪い予感も無いし移動しようかな。でもエリンちゃんもコハクちゃんも寝たままなんだよね。トシアキは居ないの?」
「今、ルビースカリナ様の部屋にお声かけに行かれました。呼んで来ましょうか」
「うん、そうして。僕の手は開けておきたい。だけど二人を知らない男性に運ばせるわけにはいかないからね」
「そうですね。では少しお待ちください」

「エイミー、どうした」
「エリンちゃんを運んでよ。コハクちゃんは狐の姿でここにいるし」
 エイミーの首に襟巻のように巻き付いた状態の狐がコハクだった。
「え、コハク様が」
「そう、この狐ちゃん」
「ああ、わかりました」
「じゃあ、行こう」
 トシアキがエリンをお姫様抱っこで抱き上げ廊下に出るとルビースカリナ様とお付きの侍女達が待っていた。
 そして、皆で一斉に通路を移動し大広間に入った。
 広間には、この公爵夫人とトルステン様、他の家族と侍女達、そして数名の執事が居た。

「じゃあ、ここに寝かせておいて」
「寝ているのか?」
 トルステン様が興味ありそうな感じで声をかけた。
「だめだめ、寝顔を見てよいのはジルちゃんだけだよ」
 そう言って、エイミーは侍女たちに指示を出してエリンとコハクを1か所にまとめ、外から見えないようにシーツで隠した。
「えっと、ちびっ子たちもこっちに来て、戦えない侍女さんも。夫人は攻撃魔法が使えますか?」
「ええ、もちろんです」

「じゃあ夫人は子供たちの近くに。この位置に。ルビースカリナ様と侍女さんたちはそこね。執事さんは前で良いよね」
「はい、もちろんです」
「ところで、公爵閣下は? 戻って来たんでしょ」
「地下の防御陣に移動しています。建物の結界を強化しています。外から燃やされたら全員終わりですから」
「さすが、そういうのやっぱりあるんだ」
「主人は戻ってからすぐに、侵入防止の結界も張っていましたが、どうやって入って来たのでしょうね」
 全員が位置取りをして、待機した状態で10分以上の時間が経過。外で最後の爆発音があってから5分ほどが経過していた。
 エイミーが顔を上げて扉の方を見つめた。
 その直後、扉の奥で何か音がした。
「防衛を突破した一団が居るみたいだね。みんな来るよ。警戒」
 エイミーが気配探知で危険を感じ、皆へ声をかける。そしてエイミーが剣を抜き構えた。

 すぐに閉められていた扉が強引に開かれ、どやどやと10名ほどの集団が流れ込んできた。

 その集団から1人が前に出た。
 その人は1人だけ防具を付けず、貴族らしい豪華な服を着ていた。
 そして、礼をしてから話し始めた。
「敬愛するルビースカリナ様。いえ、イザベラ様。本日はこのような夜更けに失礼だとは思いますが、お迎えに参りました」

 イザベラの名前で呼ばれた。
 彼女が10歳のなった時にイザベラの生まれ変わりだと告白した。
 それが元王妃ロマーニャとの謁見の場であったためすぐに口外禁止命が出されたが高位貴族の大半が知ることとなった。
「わたくしからそなたを呼んだ覚えはない。今、そなたに頼る必要を感じておらぬ。帰るが良い」

「そうおっしゃらず、貴方様が何と言おうが我々には貴方様の存在が必要なのです。我々と共に、かの国に戻って頂かなければならないのです」
「力ずくで連れて行くと言うのならそうするが良い。出来るならばな。だがわたくしの護衛達は強いぞ」
「ですが剣帝のステパン様はまだ外ですよ。瞬転で遠くに放り出しましたからね。それに、我々の秘密兵器が昼間のあれだけと思わぬことです」
 彼は、マジックバックと思われる物から2枚の板を取り出し少し離れた場所に並べた。

 板が並べられると、直後に板が光った。その直後に板の上に人が立っていた。
 各々の板を中心に10名以上の集団がポンと現れた。
 それが2つ同時。
 一気に敵に人数が30名以上に膨れ上がった。
「どうです、この人数がすべて一流の剣士ですよ。いくら剣王でもこの人数を相手にどうされます」
 その声の最後にかぶせるように別の声が響いた。
「おまたせ」
 彼らの後ろにジルベールが転移して来たのだ。

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