転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第6章 新しい命

6.2.4 アルフォンス王国の王子

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 そんな話をしていたら、いつもふわふわと好き勝手にどこかに行くイシスが今日は侍女の近くでおやつでも見ていたらしい。が、急に僕のところに戻って来て念話で話してきた。
『ジルベール、あの侍女は怪しいのじゃ』
『え、侍女が』
『いや、よく見たら侍女では無いな。指示を出しているのはこの男じゃ』
 イシスが執事の上に止まった。
『この男に威圧を使うのじゃ』
『え、なんで』
『はやくするのじゃ』
 イシスは、提案するだけで理由を教えてくれなかった。
 良くは解らないがとりあえず言われた通りに威圧をしてみよう。ただ目の前の王子ばれるのは良くない気がしたので何かが起きても対処がしやすいよう、まず時間魔法を発動して周りの時間を遅くする。
 今使える時間魔法はレベルが低いので時間を停止させることはできない。けれど自分と周りの時間に差ができ、体感で10倍以上の差ができる。魔力の消費量は多いが、短時間なら何とでもなる。それよりも何かが起きた時に即座に対処できる方が優先だろう。
 次に鑑定のステータスウインドウを表示し、対象を執事に絞って威圧をポチっとオンにする。
 そしてすぐにオフに。外の体感では1秒に満たないはずの時間だ。体感できたかどうか怪しいぐらいで様子を確認してみよう。
 執事を鑑定で確認すると、あっ死んでる。まずい。
 即座に診断魔法を使うと原因が『心停止』と表示される。
 使ったことは無かったけど、死者蘇生の魔法を無詠唱で発動。

 魔法の発動と同時に、体感時間の異なる世界でもわかる変化が生じた。
 執事の体がビクンと動いた。

 再び鑑定で確認すると状態異常として表示された『心停止』が消えていた。他の状態上表示も無い。良かった。
 後は念のために回復魔法を使っておく。そして時間魔法を停止。

 ふー、やばかった。
 時間魔法を使ってなければ復活させることができなかったかもしれない。

 執事さんは、その後、そのままの姿勢で周りを確認して、一度目を閉じた。

 あれ、もしかして倒れたりする?
 そう思ったが、彼が目を閉じたのは1、2秒だった。

 そして目を開いた後すぐに侍女の方に移動した。
 執事は、額の汗をぬぐいながら侍女に何かを言っている。

『これで良いの?』
『ふむ、良さそうじゃな』
 侍女は持って来ていたティーセットを戻して、交換している。
 イシスが何を気にしていたのか解らない。けれど執事が声をかけた後、侍女は別のティーカップのセットを出した。

 そして、侍女がお茶を持って来た。
 そのまま侍女がお茶を配膳するのかと思ったら侍女は後ろに下がり執事自らがお茶の配膳をした。
 そして、執事が配膳をしながら話した。
「こちらの紅茶はアルフォンス王国から持ち込んだ茶葉になります。そしてこちらのお菓子もアルフォンス王国で流行っている店から特別に持って来たリンゴのパイになります」
「あら、アルフォンス王国からわざわざですか?」
「そうだよ、スザンヌ。君たちから時間を止められるマジックバックを譲って貰ったからね。時間停止の機能がついていたから王国の旬の物を持って来たんだ。ほんとに便利だよねあれ」
「おいしそうですわね」

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