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第6章 新しい命
6.3.1 昇格試験
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アルフォンス王国の王子との後で、何名かの国賓と会ったが特に問題なし。その日の最後の面談者はエルドラ王国の剣帝様だった。
シルビアと名乗った女性は赤い髪でちょっと怖い感じが良く似合う綺麗な女性だった。
事前、と言ってもエイミーが言うのはだが、とても怖い人と聞いていたがそんな感じには見えなかった。
公式には30歳だと言ったが鑑定で見ると実年は35歳だった。
エルドラ王国にいる彼らの住む土地は剣の聖地として名高いが、国としては剣神と呼ばれる人物はその土地の領主でしかしない。
爵位は伯爵位である。
新しい領主、つまり剣神は前の剣神から指名で決まるが国としては後に国王が指名して初めて領主となる。
剣神の弟子たちは一部を除いて剣神の部下ではない。多くの者は他の領主の子弟であったりエルドラ王国の国王の所有する騎士団の団員だ。
その一部が剣王や剣帝である。
剣帝と剣王は国には所属していない。だからと言って剣神の部下でもない。
基本的には自分で立場を選べる。自由なのだ。
エイミーはラルクバッハに戻り国に雇われていたがあっさりと辞めて僕のところに来たし、ステパンもそうだ。
このシルビアと女性は剣神の妻でもあるらしく、剣神の元に所属しているそうだ。
そうして国ではなく剣神に所属している者達はエルドラ国王の依頼でこういった式典で護衛をすることになっているそうだ。
もちろん、戦争に行くこともある。
あくまで依頼であり、命令ではないところが普通とは違うところだ。
エルドラ王国自体はラルクバッハの半分程度しかないが人口は3割程度しかない。国土の大半が山で、人の住めるところが少ないからだ。国民の大半が海沿いに住んでいる。
剣神の土地は膨大な山で国土の半分近くと言っても良いが、実際のところ人は住めず魔獣だけが存在する強者しか住めない土地だ。
「初めまして、シルビアと言う。会談に時間はそれほど長くはないから早速要件から伝えたい。明日は最初に剣王達の昇格試験を行い、それが終わると剣帝の昇格試験だ。剣王の昇格試験は簡単だ。2名の剣王と戦い1名以上を倒すか2名と引き分けるかで昇格は決定だ。2敗しても戦い方によって昇格することもある。明日の剣王昇格試験の順番と相手はくじ引きで決まる。当然、後の方が剣王の戦い方を見れるので得だ。だがエルドラ側の者達はいつもの練習に付き合っている剣王なので順番に優劣は無い。なのでジルベール殿の試合はくじではなく一番最後だ。それが終わると剣帝の試験だ。最初にエルドラの剣士が、後がエイミーの順だ。剣帝の試験は5名の剣王と戦い4勝以上が最低条件。その後2名の剣帝と戦い1名上に勝利するか2名と引き分けるかだ。1敗1引き分けで協議。2敗は昇格できない。二人とも何か質問はあるか?」
まあ事前に聞いていた通りなので特に質問はない。
「質問はありません」
「そうか、エイミーはステパン殿からの推薦は来ていたが、自信はあるのだろうな。以前の感じでは剣帝は無理だと思っていたのだが」
「はい、ステパン様とも特に問題なく打ち合えました。それにティアマト様ともそこそこ勝負できるようになったんで、大丈夫だとおもいます。あと必殺技もたまにできるようになったんで」
「必殺技? まさか光の剣?」
「はい、シルビア様に見せていただいたあれです。たまに成功できるようになりました」
光の剣? そんな必殺技見たことないような。
「まだ訓練でほんとにごくたまにで、実戦ではできたことなかったけど最近急にコツをつかんだんで、明日は多分大丈夫です」
「あなたにあれができるほどの魔力は無かったはずですが。あれは私や剣神のように魔導士にもなれるほどの魔力量が無いと」
あー、なるほど。女神の祝福でエイミーはそう魔力量が増えたのだった。だから大きな魔力を使う技ができるようになったのか。
「大丈夫です。女神さまから加護を頂いたので」
「そう、あなたもそういう立場になったのですか」
「ところでエイミー。剣帝になると貴族としての礼儀も求められます。あなたは元々貴族令嬢だったはずですが、言葉使いや作法は大丈夫ですよね?」
「え。 はい。できますわ、もちろんでございます。ただ、ドレスを着ると猫をかぶる訓練をしていましたので、この格好ではとっさにできかねますが、大丈夫ですわ」
「それでは、後はジルベール君」
「はい」
「君、前世の記憶はどの程度あるのかな?」
「え」
「前世の過去の振り回されていないかい?」
「あ、はい。大丈夫です」
「驚くことは無い。私も前世の記憶持ちだ。明日剣帝の試験を受ける子もだ。私は前世の記憶をほぼおぼえているが、あの子は印象的な一部だけをおぼえていてね。前世持ちの私がいなければおそらくだが自殺していた。君は落ち着いているし、大丈夫そうではあるが悩みがあるなら話すと良い。同じ立場の者が話を聞くだけで落ち着くものだ」
「あ、前世の記憶持ちは僕だけでは無いので。その大丈夫です」
「そうか、そういえばこの国にはメリーナ様が転生させた者が多いのだったか。他の国ではラキシス様の加護持ちの転生者が多いのだ。前世をきちんとおぼえている物はかなり少ないが、君はメリーナ様の眷属か?」
「確かにメリーナ様の力で転生しましたが、眷属?」
「加護を受けているのだろう」
「はい」
「私の前世は100年程前でな。その時の剣神だったのだ。その時にティアマトに剣を教えたのだ」
「ああ、なるほど。だから面会の申し込みがあったわけですね」
「まあな。他にも理由はあるのだが、君とは国に帰る前までにもう一度会わねばならんので面会の申し込みをしておく。その時に話があれば聞こう」
話?
僕から話か。前世持ちなら聞きたいこともあるかもしれない。よく考えておこう。
シルビアと名乗った女性は赤い髪でちょっと怖い感じが良く似合う綺麗な女性だった。
事前、と言ってもエイミーが言うのはだが、とても怖い人と聞いていたがそんな感じには見えなかった。
公式には30歳だと言ったが鑑定で見ると実年は35歳だった。
エルドラ王国にいる彼らの住む土地は剣の聖地として名高いが、国としては剣神と呼ばれる人物はその土地の領主でしかしない。
爵位は伯爵位である。
新しい領主、つまり剣神は前の剣神から指名で決まるが国としては後に国王が指名して初めて領主となる。
剣神の弟子たちは一部を除いて剣神の部下ではない。多くの者は他の領主の子弟であったりエルドラ王国の国王の所有する騎士団の団員だ。
その一部が剣王や剣帝である。
剣帝と剣王は国には所属していない。だからと言って剣神の部下でもない。
基本的には自分で立場を選べる。自由なのだ。
エイミーはラルクバッハに戻り国に雇われていたがあっさりと辞めて僕のところに来たし、ステパンもそうだ。
このシルビアと女性は剣神の妻でもあるらしく、剣神の元に所属しているそうだ。
そうして国ではなく剣神に所属している者達はエルドラ国王の依頼でこういった式典で護衛をすることになっているそうだ。
もちろん、戦争に行くこともある。
あくまで依頼であり、命令ではないところが普通とは違うところだ。
エルドラ王国自体はラルクバッハの半分程度しかないが人口は3割程度しかない。国土の大半が山で、人の住めるところが少ないからだ。国民の大半が海沿いに住んでいる。
剣神の土地は膨大な山で国土の半分近くと言っても良いが、実際のところ人は住めず魔獣だけが存在する強者しか住めない土地だ。
「初めまして、シルビアと言う。会談に時間はそれほど長くはないから早速要件から伝えたい。明日は最初に剣王達の昇格試験を行い、それが終わると剣帝の昇格試験だ。剣王の昇格試験は簡単だ。2名の剣王と戦い1名以上を倒すか2名と引き分けるかで昇格は決定だ。2敗しても戦い方によって昇格することもある。明日の剣王昇格試験の順番と相手はくじ引きで決まる。当然、後の方が剣王の戦い方を見れるので得だ。だがエルドラ側の者達はいつもの練習に付き合っている剣王なので順番に優劣は無い。なのでジルベール殿の試合はくじではなく一番最後だ。それが終わると剣帝の試験だ。最初にエルドラの剣士が、後がエイミーの順だ。剣帝の試験は5名の剣王と戦い4勝以上が最低条件。その後2名の剣帝と戦い1名上に勝利するか2名と引き分けるかだ。1敗1引き分けで協議。2敗は昇格できない。二人とも何か質問はあるか?」
まあ事前に聞いていた通りなので特に質問はない。
「質問はありません」
「そうか、エイミーはステパン殿からの推薦は来ていたが、自信はあるのだろうな。以前の感じでは剣帝は無理だと思っていたのだが」
「はい、ステパン様とも特に問題なく打ち合えました。それにティアマト様ともそこそこ勝負できるようになったんで、大丈夫だとおもいます。あと必殺技もたまにできるようになったんで」
「必殺技? まさか光の剣?」
「はい、シルビア様に見せていただいたあれです。たまに成功できるようになりました」
光の剣? そんな必殺技見たことないような。
「まだ訓練でほんとにごくたまにで、実戦ではできたことなかったけど最近急にコツをつかんだんで、明日は多分大丈夫です」
「あなたにあれができるほどの魔力は無かったはずですが。あれは私や剣神のように魔導士にもなれるほどの魔力量が無いと」
あー、なるほど。女神の祝福でエイミーはそう魔力量が増えたのだった。だから大きな魔力を使う技ができるようになったのか。
「大丈夫です。女神さまから加護を頂いたので」
「そう、あなたもそういう立場になったのですか」
「ところでエイミー。剣帝になると貴族としての礼儀も求められます。あなたは元々貴族令嬢だったはずですが、言葉使いや作法は大丈夫ですよね?」
「え。 はい。できますわ、もちろんでございます。ただ、ドレスを着ると猫をかぶる訓練をしていましたので、この格好ではとっさにできかねますが、大丈夫ですわ」
「それでは、後はジルベール君」
「はい」
「君、前世の記憶はどの程度あるのかな?」
「え」
「前世の過去の振り回されていないかい?」
「あ、はい。大丈夫です」
「驚くことは無い。私も前世の記憶持ちだ。明日剣帝の試験を受ける子もだ。私は前世の記憶をほぼおぼえているが、あの子は印象的な一部だけをおぼえていてね。前世持ちの私がいなければおそらくだが自殺していた。君は落ち着いているし、大丈夫そうではあるが悩みがあるなら話すと良い。同じ立場の者が話を聞くだけで落ち着くものだ」
「あ、前世の記憶持ちは僕だけでは無いので。その大丈夫です」
「そうか、そういえばこの国にはメリーナ様が転生させた者が多いのだったか。他の国ではラキシス様の加護持ちの転生者が多いのだ。前世をきちんとおぼえている物はかなり少ないが、君はメリーナ様の眷属か?」
「確かにメリーナ様の力で転生しましたが、眷属?」
「加護を受けているのだろう」
「はい」
「私の前世は100年程前でな。その時の剣神だったのだ。その時にティアマトに剣を教えたのだ」
「ああ、なるほど。だから面会の申し込みがあったわけですね」
「まあな。他にも理由はあるのだが、君とは国に帰る前までにもう一度会わねばならんので面会の申し込みをしておく。その時に話があれば聞こう」
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