目が覚めたら知らない部屋で背後にいたのは推しでした。

激甘パスタ

「ほら、あーん」

フォークに絡まったパスタが口に入ってくる。

甘めなのかと考えながら口含むと味がし無かった。

「美味しいか？」

静かに聞かれた質問に無味無臭のパスタを飲み込む。

「味がしない…」

「えまじか」

カチャカチャとなる音にちあきも食べたのだと理解する。

「…普通に甘い…」

「え…まさか…」

「まさか…」

フォークを置いた音がした。

「多分、もう、味が分からなくなっちゃった。」

「…」

ちあきは黙り込んでしまった。

もう、何も分からない。

「ねぇ、ちあき」

「ねぇちあき」

「あっ…嗚呼、どうした？」

「床に何か物転がってない？」

「いや、何も無い」

無いのか。

もう、私がここから出る方法は無いということなのか。

「ちあき…私、死ぬのかな…」

次の瞬間また体がぐらついた。