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三中夜、寝る間を惜しみ、馬を乗り捨て駆け抜けた。敵が湧き出ては切り結びを繰り返し、先を急いでいたので捕虜は持たず全て即死させる。死体の放置は疫病の蔓延に繋がる為、処置をお願いすべく都度その地の領主に伝令を送りながら先を急いだ。
領地を目前にして漸く刺客が放たれなくなり呼吸を戻し、一息つく。
「お嬢様、政敵多すぎやしませんか」
「雑多な敵ですまなかったな。もう少し手練れを用意する様、忠告してやるべきだったか」
無闇に苦しまない様、一撃必殺だった為、それも無用か。
「お嬢様、此度わざと連れて行かれましたね」
バロットが意地の悪い笑顔で呟く。
「わざとだと思うか?」
「お嬢様でしたら伯爵子息程度、行動不能にも出来ますし、あんなわざとらしい呼び出し、わざと掛かったとしか思えませんね」
「そうだな」
わざとではないが、アルドリアンと接する時はあの子の意思が浮上し、いつのまにか私の意識と入れ替わるんだ。とも言えないしな。
紛らわす様にバロットから視線を外し緑の風景に目を遣る。
「鍛錬が出来たと思えば良いだろう?」
不測の事態ではあったが、遠征、鍛錬とくれば新兵の訓練としては上出来だろう。
「俺は政治的駆け引きはわかりませんが、お嬢様が処女を差し出さねばならない程ですか。アンヌがあの状態になったのも、お嬢様を癒す為でしょう。俺に教えて下さい。どうしたら、スカーレットの赤薔薇姫を拘束して事に及べるのか」
バロットは切れているな。
口数の少ない奴が饒舌に話す。しかも私の毛嫌いしている名称を出すなんて嫌味な奴だ。
「その呼び名は嫌いだ。軽口は今は必要ない。最速で屋敷に帰るぞ」
手綱を引き掛け走る。
バロットも難なく私に追い付き並走する。
領地を目前にして漸く刺客が放たれなくなり呼吸を戻し、一息つく。
「お嬢様、政敵多すぎやしませんか」
「雑多な敵ですまなかったな。もう少し手練れを用意する様、忠告してやるべきだったか」
無闇に苦しまない様、一撃必殺だった為、それも無用か。
「お嬢様、此度わざと連れて行かれましたね」
バロットが意地の悪い笑顔で呟く。
「わざとだと思うか?」
「お嬢様でしたら伯爵子息程度、行動不能にも出来ますし、あんなわざとらしい呼び出し、わざと掛かったとしか思えませんね」
「そうだな」
わざとではないが、アルドリアンと接する時はあの子の意思が浮上し、いつのまにか私の意識と入れ替わるんだ。とも言えないしな。
紛らわす様にバロットから視線を外し緑の風景に目を遣る。
「鍛錬が出来たと思えば良いだろう?」
不測の事態ではあったが、遠征、鍛錬とくれば新兵の訓練としては上出来だろう。
「俺は政治的駆け引きはわかりませんが、お嬢様が処女を差し出さねばならない程ですか。アンヌがあの状態になったのも、お嬢様を癒す為でしょう。俺に教えて下さい。どうしたら、スカーレットの赤薔薇姫を拘束して事に及べるのか」
バロットは切れているな。
口数の少ない奴が饒舌に話す。しかも私の毛嫌いしている名称を出すなんて嫌味な奴だ。
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