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異世界召喚され外見が別人に変身していた日本のオッサン

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「どこ見てんのよ!」

まるで、昔懐かしの日本の女芸人のネタのようなベタな苦情がシャルルから発せられた。

「いや、服が、その現代の服じゃないな~と思って・・・」

いくら身体がデカイとは言え、所詮!小娘的な年齢のシャルルだが、白人女性と言うこともあり、一応!下手にでた。

「そう!私の胸に興味があるのかと思ったわ」

シャルル嬢!結構、こやつ確信犯だな!

「私もこっちの世界に来た時の記憶はあやふやで、
気付いたら、この服装を着ることになっていた。って感じかな」

そう説明しながらシャルルは改めて、
自分が今着ている革製のパンツとジャケットと言っても中世の騎士達が普段着ているような上着を点検するかのように身体を捻りながら色々と見て回っていた。

スーパーモデル顔負けのシャルルが着ると、お世辞じゃないが何でも似合う。

そして、いましがた見せたポーズ!
日本で流行ったナナオポーズみたいに女体を捻った時の形の良いお尻も強調されて、
久し振りに勃起の予感がした。

しかし、思え返せば、俺は日本では冴えない中年オヤジで、
身体は四十肩、五十肩!で
腕が上に真っ直ぐに上がらず、肩凝り、腰痛はしょっちゅうで、
最近では性欲まで減退気味!チンポもあまり勃起しなくなった。

ま、中年の体力減退!精力減退の男としての機能まで低下してきた、
まさに底辺オヤジなのだから、この異常な状況で性欲が高まるのは必然なのか?偶然なのか!

「シャルルさんだっけ!」

「シャルルでいいわ!そっちはムトなんだっけ?」

やっぱり日本人の名前は外国人には呼びにくい根本的な発音の違いなんだろうか?

「名前が呼びにくいか?じゃあ、ムートとかでは呼びやすいかな!」

「ええ、ムートは呼びやすいわ!でも本当はムトウなんでしょう?」

なんだよ、呼べるじゃん!
名字ちゃんと覚えているじゃん
そう思ったけど、呼びやすい名前でイイよ
と返事した。もうどっちでもイイよ!
そんな名前のこと位で、それよりもここはどこで、
俺たちは今後!どうなるんだっての?

それから、俺は一応!
安心?
この中世のような異世界に一人じゃ無く、
同じ地球人で、多分同じ年代の話しの分かる、
しかもオヤジじゃ無くスーパーモデル並のフランス女性と一緒だったから、
緊張していた精神と身体が一気に解除?
されたように、まずは猛烈にお腹が空いて来た。

「お腹が空いてきたけど、食べ物とかはあるのかい」

シャルルはお互いのベッドに一つずつ同じような木製の小型のボックス!
扉のある木箱があり、その中に食事用の食べ物が入っていると教えてくれた。

「トイレはベッド後ろ、脚元にある細長い花瓶みたいな陶器にするみたいだ。」

だから、気持ち!この牢獄がアンモニア臭かったのか?

大便もあれでするのか?有難いことにまだ便意はない。

俺は石畳にしばらく胡坐をかいて座っていたから、
お尻が冷えて来たのか?
微妙に尿意が催されたのか?
簡易トイレとやらを先に調べる為に重い腰を上げてみた。

中年オヤジの腰痛持ちの重い腰を上げるつもりが、意外にスムーズに立つことが出来。

だけど、ちょっとだけ立ち眩みを覚えてよろよろした。

俺が急に立ち上がってよろけたから、
月明かり周辺で立っていたシャルルが思わず、
俺の身体を支える為に手をさしのばして来た。

「ああ、わり~」

そう、言って俺はシャルルに礼を言いながら、その状況にまたまた驚愕した。

俺よりも遥かに身長が高いと思ったシャルルの頭のてっぺんが見えたかと思うと、
立ち眩みの原因が一遍に解ってしまった。

どうやら俺の身体は大きくなっているようだった。

シャルルの身長が約180cmとして、シャルル嬢の頭のてっぺんが見えるってことは、
俺の身長が、どう考えても190cm近くはありそうだ。

そうじゃ無くても、嘗ての日本で生きていた頃の身長の目線とは明らかに違っていたので、
慣れるまで眩暈がしたのだろう!

身長差!実に20cm強。

シャルルの今では華奢に見える肩を借り、
石作りの上に粗末な藁を敷いただけのベッドに腰を下ろし、なんとか一息つく。

「シャルルさん、俺はあなたよりも身長が高いんだね」

「なに言ってるの?
あなたみたいな大男をこの高い牢屋に運ぶのに、
騎士団の大柄な男二人がへいこら言いながら運んだんだから」

俺は、今の状況に頭が追い付かずに、ただただシャルルの話しに相槌を打っていた。

「シャルルさん」

「シャルルでいいけど、なに、また体調でも悪くなったの?」

「いや、あの、鏡みたなモノ、ここに無いかな?」

「残念ながら、ここには無いわ!何か映して見たいの?顔とか?頭の傷口とか?
ムートはここに運ばれて来た時は頭から血も流していたからね」

俺は、そう言えば、
あのガ体(たい)がデカイ甲冑男に思いっきり蹴られた事を思い出し、
即座に頭の傷口を探して観たが、有るにはあったが、
傷口はとっくに塞がっていて、今では瘡(かさ)蓋(ぶた)!
の、ような干からびた皮なのか血の塊があるだけだった。

「傷は治っているみたいだけど、何か顔を映す物ってある?」

シャルルは、凄いね!圧倒的自然治癒力だね。

とか言いながら、水の入っている陶器制の洗面器を俺の前に持って来た。

そして、丁度!
月明かりで水面が反射しやすい角度まで持って行ったので、そこまで着いて行った。

そして、洗面器内の水鏡には、俺が知っている見なれた顔は映って無く、
モロ外人、髪の色も明るいブラウン!
もしかしたらブロンドの髪を生やしたオッサンでは無く、

どう見ても20代中頃のような歳の若者が映っていたので、
またまた愕然として、よろよろとしたので、
またシャルルに肩を貸してもらっていた。
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