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七章 欠片
続く夢
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どうしておかあさんはおしごとに行くんだろう。
あさおきる時も、よるねるときもおかおさんはしごとをする。
おかあさんは一緒に寝てくれない。
お昼に一緒に遊びたくてもおかあさんは疲れてるみたいで寝ている。
おかあさんを困らせたくないからぼくはテレビを見る。
かって貰ったヒーローのDVDをなんかいも見て、それにあきたら絵本を読んで、読み終わったらもう一度DVDを見る、そしえ絵本を読む、その、繰り返し。
お昼になったらおかあさんはおきてぼくにおいしいご飯を作ってくれる。
でもよるになったらおかあさんはおしごとに行って、ぼくは布団に入ってめをとじる。
まいにち、まいにち、まいにち、おかあさんはおしごとに行って、ぼくはひとりで寝る、ひとりで。
真っ暗で、まっくらで、めをあけてもとじてもいっしょ。
なにも聞こえない、なにも見えない……なにも、なにも……。
さびしい……
★★★
「………む」
何か……見てた気がする。
「起きたか~? 」
間延びした声に重たいまぶたを開ければ仕事をしているアルさんが僕を見ていた。
「うみゅ………」
「寝ぼけてるなぁ……お茶飲むか? 」
「いらない……」
目をこすって、大きく伸びをして、欠伸、そしてまたごろんとソファーに横になる。
んんー眠い……。
ここやることない、暇。
「そろそろ起きとかねえと夜寝れなくなるぞ~」
「んー……」
苦笑混じりに言うアルさんにのんびりと返事をして僕はゆっくりと起き上がる。
……やばい、眠い……何か、何か考えないと
そういえば、あの呪いの本、封印された本、祟られた本、それをクロユリさんがあっさり燃やした訳だけど、あれって簡単に燃やしても良かったんだろうかねぇ……。
中身はともかく表紙から見て凄い高そうだったけど……。
「だーちくしょお!! ……ひーふーみー……52枚 ああやだ!! 」
「なに奇声あげてるの、うるさいよ」
「今日までに提出しなきゃいけねえ書類がたくさんあるんだよ! 」
「……がんばぇー」
……発狂しているアルさんを眺めながらクッキーを口に放り込み一言、僕はもう一度伸びをする。
結局、アルさんの拘束から逃れられなかった僕はこうしてさながらサボった学校の宿題を居残りでやっているようにしか見えないアルさんにエールを送りながらソファーの上でだらりと菓子を食べている。
そして何故かじとりと恨ましげにアルさんに睨まれているけど目をそらす。
「俺がこんな苦しんでんのにラグ~……このやろ~」
「しらんがな」
このやろーってなんやねん。
「未来の旦那様が苦しんでんのに薄情なやつだなぁ……」
「薄いもなにもしょうもないことで一々騒ぎ立てるような性格してないんでねぇ」
性格は明るいか暗いかで問われたら間違いなく暗いって答えるし無邪気にはしゃぐ全盛期の年齢はとっくに終わっている。
淡泊だの薄情だのと言われるけど単に興味が沸かなくてテンション上がらないだけだし、別におかしくないもん。
そもそも僕より年上であるはずのアルさんがなんで僕より子供っぽいんだよ。
「あぁそうだよなぁ……、ラグお前もう少しわがまま言ったりはしゃいでくれてもいいんだぞ? 」
ペンを置いて肘をついたアルさんは肘をついて言うが、僕はため息をつく。
「安心なさい、半年くらいに一度無性に遊びたくなるときあるから」
「ほぉほぉ、で、仕事なんだがな」
「何を言うのか大体わかるから、却下」
「…… とっとと終わらせて帰って遊ぶ! 」
「へいへい、のんびり応援してるから頑張れー」
いや遊ぶ、て僕より子供ぽいぞおい……。
「だぁー!! なんでこんな書類が溜まってんだよこんちくしょう!! 」
「相変わらず机が塞がってるな兄貴ぃー! 邪魔するぜぇ!! 」
またアルさんがしょうもない声を上げようとしたとき、開け放しにしていた扉から笑い声が聞こえた。
そして入って来たのは黒い眼帯をつけた褐色肌のおじさん。
灰色の隊服を腕でまくってチレヂレした髪の毛を後ろ手に結んでいる……なんとも見た目かしておじさんと言えるおじさん。
「なーに笑ってんだおいぃ……、ようし、表にでろや」
「がっはっは! 兄貴と手合わせはいつもなら喜んで受けているがわりい、メイの野郎に兄貴には仕事を優先させろ、てきつーく言われててな! 」
口を尖らせたアルさんの最近口癖じみてきた台詞におじさんはにかっと笑みを浮かべると、片手に持っていた書類を乱雑にアルさんの机に置いた。
「……ちっ、あぁもういい! この一枚で今日は仕舞いだ!! 」
もういいておいぃ…今日出さなきゃいけない書類は、ちょいなんで紙束整理してるのアルさん、ちょいちょいちょい!
ん? ところで……兄貴とはなんぞや?
「アルさんアルさん」
「ん? 」
「仕事しろやって、すっごい言いたいんだけども、そこの人はどなた? 」
書類の束の上に小さな重石を乗せているアルさんにおじさんに手を向けて質問をすれば、まばたきを繰り返したアルさんは同じくキョトンとしているおじさんを見た。
「そういや紹介してなかったな、こいつは俺の部下のドルセントだ、以上!! 」
「「以上じゃねえよ」」
「駄目か? 」
「「駄目」」
僕とおじさんの声が重なれば、アルさんはバツが悪そうに顔をしかめた。
「がっはっは! 坊主がが兄貴の嫁さんか? 話通りちびいなおい」
たまらず僕がアルさんを睨みあげれば、アルさんの近くにいたおじさんがからからと笑い声をあげる。
「正確にはまだ結婚はしておりま……おいまてだれがちびだって? 」
「それはこの中で言ったら坊主しかいないだろう? 」
「よーし、表に出て!! 」
「……兄貴の口癖が移ってるぜぇ? それに俺は弱いものいじめはする主義じゃねえ」
「はぁ? アリムさん! 」
「お呼びですかマスタァ!! 」
「うぉっ! 」
手を叩いて優秀な護衛の名前を言った瞬間後ろから幾重にも重なる金属の音と共に部屋を震わせる元気な声。
「どっから出てきたこいつ!る 」
アルさんのが驚いているのを耳に入れながら後ろをふり向けばなんとも嬉しそうな雰囲気をこれでもかとかもし出しているアリムさんが大きく腕を広げ待機していた。
「さぁマスター! この私めになんなりとご命令を!! 」
テンションたけえなアリムさん。
「オッケーアリムさん!! そこのおっさんを殺っておしまいなさい! 」
「畏まりまし……!」
「「まてまてまえ!! 」」
ぴしぃ! とおじさんを指を立てた所で面食らった顔の二人に全力で止められる。
そしてアルさんに指を指したその手をはたきおとされたかと思うとあっという間に抱き上げられ完全不利なにらめっこの開始。
「良い子だからやめろ? な? 」
「ん? 」
「なにも知りませんよみてえな顔するなボケ そこの鎧も剣抜くなコラコラコラコラァ!! お前も喧嘩を買おうとするなドル! 」
「そこの甲冑と手合わせ……」
「面白くねえしやるならここじゃなくて外でやれっ! おれは早く帰りてえんだよ! 」
「本音そこかい」
「おう! だから鎧野郎は引っ込めてくれや」
「……へーい、というわけでアリムさん、またお願い」
「畏まりました! ご用があれば是非クロユリではなくこの私めを 是非に!! 」
ピシリと敬礼をしたアリさん後、アリムさんはそのまま直立不動で影の中に沈んでいったのだった。
冷めた目で彼を見送っていると、耳元に吐息がかかった。
「さぁて、ラグ、今夜は覚えてろよ? 」
目だけを動かし見ればなんとも綺麗なアルさんの満面の笑顔……笑顔!!
これ、積んだかなぁ……?
あさおきる時も、よるねるときもおかおさんはしごとをする。
おかあさんは一緒に寝てくれない。
お昼に一緒に遊びたくてもおかあさんは疲れてるみたいで寝ている。
おかあさんを困らせたくないからぼくはテレビを見る。
かって貰ったヒーローのDVDをなんかいも見て、それにあきたら絵本を読んで、読み終わったらもう一度DVDを見る、そしえ絵本を読む、その、繰り返し。
お昼になったらおかあさんはおきてぼくにおいしいご飯を作ってくれる。
でもよるになったらおかあさんはおしごとに行って、ぼくは布団に入ってめをとじる。
まいにち、まいにち、まいにち、おかあさんはおしごとに行って、ぼくはひとりで寝る、ひとりで。
真っ暗で、まっくらで、めをあけてもとじてもいっしょ。
なにも聞こえない、なにも見えない……なにも、なにも……。
さびしい……
★★★
「………む」
何か……見てた気がする。
「起きたか~? 」
間延びした声に重たいまぶたを開ければ仕事をしているアルさんが僕を見ていた。
「うみゅ………」
「寝ぼけてるなぁ……お茶飲むか? 」
「いらない……」
目をこすって、大きく伸びをして、欠伸、そしてまたごろんとソファーに横になる。
んんー眠い……。
ここやることない、暇。
「そろそろ起きとかねえと夜寝れなくなるぞ~」
「んー……」
苦笑混じりに言うアルさんにのんびりと返事をして僕はゆっくりと起き上がる。
……やばい、眠い……何か、何か考えないと
そういえば、あの呪いの本、封印された本、祟られた本、それをクロユリさんがあっさり燃やした訳だけど、あれって簡単に燃やしても良かったんだろうかねぇ……。
中身はともかく表紙から見て凄い高そうだったけど……。
「だーちくしょお!! ……ひーふーみー……52枚 ああやだ!! 」
「なに奇声あげてるの、うるさいよ」
「今日までに提出しなきゃいけねえ書類がたくさんあるんだよ! 」
「……がんばぇー」
……発狂しているアルさんを眺めながらクッキーを口に放り込み一言、僕はもう一度伸びをする。
結局、アルさんの拘束から逃れられなかった僕はこうしてさながらサボった学校の宿題を居残りでやっているようにしか見えないアルさんにエールを送りながらソファーの上でだらりと菓子を食べている。
そして何故かじとりと恨ましげにアルさんに睨まれているけど目をそらす。
「俺がこんな苦しんでんのにラグ~……このやろ~」
「しらんがな」
このやろーってなんやねん。
「未来の旦那様が苦しんでんのに薄情なやつだなぁ……」
「薄いもなにもしょうもないことで一々騒ぎ立てるような性格してないんでねぇ」
性格は明るいか暗いかで問われたら間違いなく暗いって答えるし無邪気にはしゃぐ全盛期の年齢はとっくに終わっている。
淡泊だの薄情だのと言われるけど単に興味が沸かなくてテンション上がらないだけだし、別におかしくないもん。
そもそも僕より年上であるはずのアルさんがなんで僕より子供っぽいんだよ。
「あぁそうだよなぁ……、ラグお前もう少しわがまま言ったりはしゃいでくれてもいいんだぞ? 」
ペンを置いて肘をついたアルさんは肘をついて言うが、僕はため息をつく。
「安心なさい、半年くらいに一度無性に遊びたくなるときあるから」
「ほぉほぉ、で、仕事なんだがな」
「何を言うのか大体わかるから、却下」
「…… とっとと終わらせて帰って遊ぶ! 」
「へいへい、のんびり応援してるから頑張れー」
いや遊ぶ、て僕より子供ぽいぞおい……。
「だぁー!! なんでこんな書類が溜まってんだよこんちくしょう!! 」
「相変わらず机が塞がってるな兄貴ぃー! 邪魔するぜぇ!! 」
またアルさんがしょうもない声を上げようとしたとき、開け放しにしていた扉から笑い声が聞こえた。
そして入って来たのは黒い眼帯をつけた褐色肌のおじさん。
灰色の隊服を腕でまくってチレヂレした髪の毛を後ろ手に結んでいる……なんとも見た目かしておじさんと言えるおじさん。
「なーに笑ってんだおいぃ……、ようし、表にでろや」
「がっはっは! 兄貴と手合わせはいつもなら喜んで受けているがわりい、メイの野郎に兄貴には仕事を優先させろ、てきつーく言われててな! 」
口を尖らせたアルさんの最近口癖じみてきた台詞におじさんはにかっと笑みを浮かべると、片手に持っていた書類を乱雑にアルさんの机に置いた。
「……ちっ、あぁもういい! この一枚で今日は仕舞いだ!! 」
もういいておいぃ…今日出さなきゃいけない書類は、ちょいなんで紙束整理してるのアルさん、ちょいちょいちょい!
ん? ところで……兄貴とはなんぞや?
「アルさんアルさん」
「ん? 」
「仕事しろやって、すっごい言いたいんだけども、そこの人はどなた? 」
書類の束の上に小さな重石を乗せているアルさんにおじさんに手を向けて質問をすれば、まばたきを繰り返したアルさんは同じくキョトンとしているおじさんを見た。
「そういや紹介してなかったな、こいつは俺の部下のドルセントだ、以上!! 」
「「以上じゃねえよ」」
「駄目か? 」
「「駄目」」
僕とおじさんの声が重なれば、アルさんはバツが悪そうに顔をしかめた。
「がっはっは! 坊主がが兄貴の嫁さんか? 話通りちびいなおい」
たまらず僕がアルさんを睨みあげれば、アルさんの近くにいたおじさんがからからと笑い声をあげる。
「正確にはまだ結婚はしておりま……おいまてだれがちびだって? 」
「それはこの中で言ったら坊主しかいないだろう? 」
「よーし、表に出て!! 」
「……兄貴の口癖が移ってるぜぇ? それに俺は弱いものいじめはする主義じゃねえ」
「はぁ? アリムさん! 」
「お呼びですかマスタァ!! 」
「うぉっ! 」
手を叩いて優秀な護衛の名前を言った瞬間後ろから幾重にも重なる金属の音と共に部屋を震わせる元気な声。
「どっから出てきたこいつ!る 」
アルさんのが驚いているのを耳に入れながら後ろをふり向けばなんとも嬉しそうな雰囲気をこれでもかとかもし出しているアリムさんが大きく腕を広げ待機していた。
「さぁマスター! この私めになんなりとご命令を!! 」
テンションたけえなアリムさん。
「オッケーアリムさん!! そこのおっさんを殺っておしまいなさい! 」
「畏まりまし……!」
「「まてまてまえ!! 」」
ぴしぃ! とおじさんを指を立てた所で面食らった顔の二人に全力で止められる。
そしてアルさんに指を指したその手をはたきおとされたかと思うとあっという間に抱き上げられ完全不利なにらめっこの開始。
「良い子だからやめろ? な? 」
「ん? 」
「なにも知りませんよみてえな顔するなボケ そこの鎧も剣抜くなコラコラコラコラァ!! お前も喧嘩を買おうとするなドル! 」
「そこの甲冑と手合わせ……」
「面白くねえしやるならここじゃなくて外でやれっ! おれは早く帰りてえんだよ! 」
「本音そこかい」
「おう! だから鎧野郎は引っ込めてくれや」
「……へーい、というわけでアリムさん、またお願い」
「畏まりました! ご用があれば是非クロユリではなくこの私めを 是非に!! 」
ピシリと敬礼をしたアリさん後、アリムさんはそのまま直立不動で影の中に沈んでいったのだった。
冷めた目で彼を見送っていると、耳元に吐息がかかった。
「さぁて、ラグ、今夜は覚えてろよ? 」
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