生産チートの流され魔王ののんびり流されライフ

おげんや豆腐

文字の大きさ
121 / 183
七章 欠片

続く夢

しおりを挟む
どうしておかあさんはおしごとに行くんだろう。





あさおきる時も、よるねるときもおかおさんはしごとをする。


おかあさんは一緒に寝てくれない。


お昼に一緒に遊びたくてもおかあさんは疲れてるみたいで寝ている。


おかあさんを困らせたくないからぼくはテレビを見る。

かって貰ったヒーローのDVDをなんかいも見て、それにあきたら絵本を読んで、読み終わったらもう一度DVDを見る、そしえ絵本を読む、その、繰り返し。


お昼になったらおかあさんはおきてぼくにおいしいご飯を作ってくれる。


でもよるになったらおかあさんはおしごとに行って、ぼくは布団に入ってめをとじる。

まいにち、まいにち、まいにち、おかあさんはおしごとに行って、ぼくはひとりで寝る、ひとりで。



真っ暗で、まっくらで、めをあけてもとじてもいっしょ。


なにも聞こえない、なにも見えない……なにも、なにも……。






さびしい……






★★★




「………む」

何か……見てた気がする。


「起きたか~? 」

間延びした声に重たいまぶたを開ければ仕事をしているアルさんが僕を見ていた。



「うみゅ………」

「寝ぼけてるなぁ……お茶飲むか? 」

「いらない……」

目をこすって、大きく伸びをして、欠伸、そしてまたごろんとソファーに横になる。


んんー眠い……。


ここやることない、暇。


「そろそろ起きとかねえと夜寝れなくなるぞ~」

「んー……」

苦笑混じりに言うアルさんにのんびりと返事をして僕はゆっくりと起き上がる。


……やばい、眠い……何か、何か考えないと





そういえば、あの呪いの本、封印された本、祟られた本、それをクロユリさんがあっさり燃やした訳だけど、あれって簡単に燃やしても良かったんだろうかねぇ……。

中身はともかく表紙から見て凄い高そうだったけど……。




「だーちくしょお!! ……ひーふーみー……52枚 ああやだ!! 」

「なに奇声あげてるの、うるさいよ」

「今日までに提出しなきゃいけねえ書類がたくさんあるんだよ! 」

「……がんばぇー」


……発狂しているアルさんを眺めながらクッキーを口に放り込み一言、僕はもう一度伸びをする。





結局、アルさんの拘束から逃れられなかった僕はこうしてさながらサボった学校の宿題を居残りでやっているようにしか見えないアルさんにエールを送りながらソファーの上でだらりと菓子を食べている。



そして何故かじとりと恨ましげにアルさんに睨まれているけど目をそらす。


「俺がこんな苦しんでんのにラグ~……このやろ~」

「しらんがな」

このやろーってなんやねん。


「未来の旦那様が苦しんでんのに薄情なやつだなぁ……」

「薄いもなにもしょうもないことで一々騒ぎ立てるような性格してないんでねぇ」

性格は明るいか暗いかで問われたら間違いなく暗いって答えるし無邪気にはしゃぐ全盛期の年齢はとっくに終わっている。

淡泊だの薄情だのと言われるけど単に興味が沸かなくてテンション上がらないだけだし、別におかしくないもん。



そもそも僕より年上であるはずのアルさんがなんで僕より子供っぽいんだよ。



「あぁそうだよなぁ……、ラグお前もう少しわがまま言ったりはしゃいでくれてもいいんだぞ? 」

ペンを置いて肘をついたアルさんは肘をついて言うが、僕はため息をつく。


「安心なさい、半年くらいに一度無性に遊びたくなるときあるから」

「ほぉほぉ、で、仕事なんだがな」

「何を言うのか大体わかるから、却下」

「…… とっとと終わらせて帰って遊ぶ! 」

「へいへい、のんびり応援してるから頑張れー」

いや遊ぶ、て僕より子供ぽいぞおい……。




「だぁー!! なんでこんな書類が溜まってんだよこんちくしょう!! 」

「相変わらず机が塞がってるな兄貴ぃー! 邪魔するぜぇ!! 」

またアルさんがしょうもない声を上げようとしたとき、開け放しにしていた扉から笑い声が聞こえた。


そして入って来たのは黒い眼帯をつけた褐色肌のおじさん。


灰色の隊服を腕でまくってチレヂレした髪の毛を後ろ手に結んでいる……なんとも見た目かしておじさんと言えるおじさん。


「なーに笑ってんだおいぃ……、ようし、表にでろや」

「がっはっは! 兄貴と手合わせはいつもなら喜んで受けているがわりい、メイの野郎に兄貴には仕事を優先させろ、てきつーく言われててな! 」

口を尖らせたアルさんの最近口癖じみてきた台詞におじさんはにかっと笑みを浮かべると、片手に持っていた書類を乱雑にアルさんの机に置いた。



「……ちっ、あぁもういい! この一枚で今日は仕舞いだ!! 」


もういいておいぃ…今日出さなきゃいけない書類は、ちょいなんで紙束整理してるのアルさん、ちょいちょいちょい!



ん? ところで……兄貴とはなんぞや?



「アルさんアルさん」

「ん? 」

「仕事しろやって、すっごい言いたいんだけども、そこの人はどなた? 」


書類の束の上に小さな重石を乗せているアルさんにおじさんに手を向けて質問をすれば、まばたきを繰り返したアルさんは同じくキョトンとしているおじさんを見た。


「そういや紹介してなかったな、こいつは俺の部下のドルセントだ、以上!! 」

「「以上じゃねえよ」」

「駄目か? 」

「「駄目」」

僕とおじさんの声が重なれば、アルさんはバツが悪そうに顔をしかめた。


「がっはっは! 坊主がが兄貴の嫁さんか? 話通りちびいなおい」

たまらず僕がアルさんを睨みあげれば、アルさんの近くにいたおじさんがからからと笑い声をあげる。



「正確にはまだ結婚はしておりま……おいまてだれがちびだって? 」

「それはこの中で言ったら坊主しかいないだろう? 」

「よーし、表に出て!! 」

「……兄貴の口癖が移ってるぜぇ? それに俺は弱いものいじめはする主義じゃねえ」

「はぁ? アリムさん! 」

「お呼びですかマスタァ!! 」

「うぉっ! 」

手を叩いて優秀な護衛の名前を言った瞬間後ろから幾重にも重なる金属の音と共に部屋を震わせる元気な声。


「どっから出てきたこいつ!る 」

アルさんのが驚いているのを耳に入れながら後ろをふり向けばなんとも嬉しそうな雰囲気をこれでもかとかもし出しているアリムさんが大きく腕を広げ待機していた。



「さぁマスター! この私めになんなりとご命令を!! 」

テンションたけえなアリムさん。


「オッケーアリムさん!! そこのおっさんを殺っておしまいなさい! 」

「畏まりまし……!」

「「まてまてまえ!! 」」


ぴしぃ! とおじさんを指を立てた所で面食らった顔の二人に全力で止められる。

そしてアルさんに指を指したその手をはたきおとされたかと思うとあっという間に抱き上げられ完全不利なにらめっこの開始。


「良い子だからやめろ? な? 」

「ん? 」

「なにも知りませんよみてえな顔するなボケ そこの鎧も剣抜くなコラコラコラコラァ!! お前も喧嘩を買おうとするなドル! 」

「そこの甲冑と手合わせ……」

「面白くねえしやるならここじゃなくて外でやれっ! おれは早く帰りてえんだよ! 」

「本音そこかい」

「おう! だから鎧野郎は引っ込めてくれや」

「……へーい、というわけでアリムさん、またお願い」

「畏まりました! ご用があれば是非クロユリではなくこの私めを 是非に!! 」

ピシリと敬礼をしたアリさん後、アリムさんはそのまま直立不動で影の中に沈んでいったのだった。



冷めた目で彼を見送っていると、耳元に吐息がかかった。



「さぁて、ラグ、今夜は覚えてろよ? 」

目だけを動かし見ればなんとも綺麗なアルさんの満面の笑顔……笑顔!!







これ、積んだかなぁ……?






しおりを挟む
感想 181

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新 Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新 プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

義兄の愛が重すぎて、悪役令息できないのですが…!

ずー子
BL
戦争に負けた貴族の子息であるレイナードは、人質として異国のアドラー家に送り込まれる。彼の使命は内情を探り、敗戦国として奪われたものを取り返すこと。アドラー家が更なる力を付けないように監視を託されたレイナード。まずは好かれようと努力した結果は実を結び、新しい家族から絶大な信頼を得て、特に気難しいと言われている長男ヴィルヘルムからは「右腕」と言われるように。だけど、内心罪悪感が募る日々。正直「もう楽になりたい」と思っているのに。 「安心しろ。結婚なんかしない。僕が一番大切なのはお前だよ」 なんだか義兄の様子がおかしいのですが…? このままじゃ、スパイも悪役令息も出来そうにないよ! ファンタジーラブコメBLです。 平日毎日更新を目標に頑張ってます。応援や感想頂けると励みになります。   ※(2025/4/20)第一章終わりました。少しお休みして、プロットが出来上がりましたらまた再開しますね。お付き合い頂き、本当にありがとうございました! えちち話(セルフ二次創作)も反応ありがとうございます。少しお休みするのもあるので、このまま読めるようにしておきますね。   ※♡、ブクマ、エールありがとうございます!すごく嬉しいです! ※表紙作りました!絵は描いた。ロゴをスコシプラス様に作って頂きました。可愛すぎてにこにこです♡ 【登場人物】 攻→ヴィルヘルム 完璧超人。真面目で自信家。良き跡継ぎ、良き兄、良き息子であろうとし続ける、実直な男だが、興味関心がない相手にはどこまでも無関心で辛辣。当初は異国の使者だと思っていたレイナードを警戒していたが… 受→レイナード 和平交渉の一環で異国のアドラー家に人質として出された。主人公。立ち位置をよく理解しており、計算せずとも人から好かれる。常に兄を立てて陰で支える立場にいる。課せられた使命と現状に悩みつつある上に、義兄の様子もおかしくて、いろんな意味で気苦労の絶えない。

普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている

迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。 読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)  魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。  ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。  それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。  それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。  勘弁してほしい。  僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
逃げた弟の身代わりとなり、 隣国の国王である溺愛アルファに嫁いだオメガ。 しかし実は、我儘で結婚から逃げ出した双子の弟の身代わりなのです… オメガだからと王宮で冷遇されていたので、身代わり結婚にも拒否権が なかたのでした。 本当の花嫁じゃない。 だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだん王様に惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

異世界スローライフ希望なのに、女神の過保護が止まらない

葉泪秋
ファンタジー
HOTランキング1位感謝です!(2/3) 「小説家になろう」日間ランキング最高11位!(ハイファンタジー) ブラック企業で過労死した俺、佐久間遼。 神様に願ったのは、ただ「異世界で、畑でも耕しながらのんびり暮らしたい」ということだけ。 そうして手に入れた、辺境の村での穏やかな日々。現状に満足し、今度こそは平穏なスローライフを……と思っていたのだが、俺の妙なスキルと前世の社畜根性が、そうはさせない。 ふとした善意で枯れた井戸を直したことから、堅物の騎士団長やら、過保護な女神やらに目をつけられることになる。 早く穏やかに暮らしたい。 俺は今日も、規格外に育った野菜を手に、皆の姿を眺めている。 【毎日18:00更新】 ※表紙画像はAIを使用しています

処理中です...