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クライマックス、フィナーレとはこういうものかしらと、冷静な頭で私は考える。
「なにを……言っているんだ……貴女は」
「言の葉の通りです、大将軍閣下」
「なぜ今その呼び方をする……!! 」
王らしく振る舞い、王らしく豪華な椅子に座って、目の前で傅きながらも怒りの表情を浮かべている漢、もとい私の”旦那”を冷たく見下ろす。
「改めて、リカルド·マデリアル大将軍閣下、貴方の献身、活躍、功績をもって世界に平和が訪れるでしょう、なので女王たる私が、報奨を与えます」
「ちがう、それが聞きたいんじゃない……!! 」
固唾を呑んで見守る臣下たち、他国からの使者たちの中、彼の声が空間に響く。
それをあえて無視して私は口を開く。
「ひとつ、世界各国より集まったあらゆる資産の復興に必要な分を差し引いたものすべてを与えます、ふたつ、この国の王権を譲ります、世界を救った見返りとしては充分ではないでしょうが、その点は謝罪致します」
「そうじゃないだろう……!! 」
彼が立ち上がった、見上げるほどの大きさの、逞しい彼が怒りを顕にして私を見ている。
「みっつ 私との婚姻関係を終了、つまりは離縁です」
「……っ!! 」
歯と歯があわさり軋む音がここまで聞こえてきた。
「聖堂にて儀式を終えた後、戴冠式を執り行います、これは決定事項です」
「ルリア!! 」
「以上です、下がりなさい」
あまりに強く握りしめたからか、真っ白な手袋越しに血が滲んでいる拳、その気になれば武力でどうにかできるのに堪えている彼を背に、その場を後にする私はきっとひどい女として見られるのかも……傷つくなぁ。
でも仕方ないとおもうの、そういうかんじに決まっちゃったから。
神様がそうしなさいって言ったのだから、いいえこれは言い訳ね。
私はただ、素敵な旦那様に幸せになってほしいだけ、そして私は私でやるべきことをやる、それだけ。
世界を救った奇跡、その代価をこの命をもって支払うだけ、だものね。
「なにを……言っているんだ……貴女は」
「言の葉の通りです、大将軍閣下」
「なぜ今その呼び方をする……!! 」
王らしく振る舞い、王らしく豪華な椅子に座って、目の前で傅きながらも怒りの表情を浮かべている漢、もとい私の”旦那”を冷たく見下ろす。
「改めて、リカルド·マデリアル大将軍閣下、貴方の献身、活躍、功績をもって世界に平和が訪れるでしょう、なので女王たる私が、報奨を与えます」
「ちがう、それが聞きたいんじゃない……!! 」
固唾を呑んで見守る臣下たち、他国からの使者たちの中、彼の声が空間に響く。
それをあえて無視して私は口を開く。
「ひとつ、世界各国より集まったあらゆる資産の復興に必要な分を差し引いたものすべてを与えます、ふたつ、この国の王権を譲ります、世界を救った見返りとしては充分ではないでしょうが、その点は謝罪致します」
「そうじゃないだろう……!! 」
彼が立ち上がった、見上げるほどの大きさの、逞しい彼が怒りを顕にして私を見ている。
「みっつ 私との婚姻関係を終了、つまりは離縁です」
「……っ!! 」
歯と歯があわさり軋む音がここまで聞こえてきた。
「聖堂にて儀式を終えた後、戴冠式を執り行います、これは決定事項です」
「ルリア!! 」
「以上です、下がりなさい」
あまりに強く握りしめたからか、真っ白な手袋越しに血が滲んでいる拳、その気になれば武力でどうにかできるのに堪えている彼を背に、その場を後にする私はきっとひどい女として見られるのかも……傷つくなぁ。
でも仕方ないとおもうの、そういうかんじに決まっちゃったから。
神様がそうしなさいって言ったのだから、いいえこれは言い訳ね。
私はただ、素敵な旦那様に幸せになってほしいだけ、そして私は私でやるべきことをやる、それだけ。
世界を救った奇跡、その代価をこの命をもって支払うだけ、だものね。
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