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Y組職業体験編
プロローグ①
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もし、この世から『才能』というものが否定されたとしたら、『人間』は一体どうなるのだろうか。
例えば、人間の心をあらゆる情報源から読み取れる鋭い洞察力を持った『人間』がいたとしよう。
その『人間』はおそらくこう思うだろう。自分には他人にはない才能が宿っているんだと。それが神か、それとも自然的な道理から備わったものかは認知の外ではあるが。
しかし、その才能を持たない『人間』はおそらくこう言うだろう。『そんなものが何の役に立つのだ』と。
それは嫉妬からくるものなのか。確かに大半はこれなのかもしれない。しかし中には、そもそもそんな才能が社会の何の役に立つのか、という社会的な視点から鼻で笑う者もいる。
それが、その才能が社会の何の役に立つのか。
これが今の世の中のセオリーだ。これは魔法と科学が混同した今の世界だからこそ成り立つ公式である。
特に今の時代、その観点が一般的に染み付きすぎているため、ありふれた才能が潰されることも多分にある。
人間には誰しも、他の『人間』にはない『才能』を必ず持ち合わせている。それが勉学的にか、社会的にか、人間的にかといった組分けは考えないものとして、だ。
しかし先程言ったように、世の流れとしては社会的な観点で才能を見定める傾向にある。
それはつまり───社会的ではない才能は不要だという思想に他ならない。そしてその思想に飲まれた『人間』は、該当する『才能ある者』を頭の中で身勝手にも選別し、罵倒して排除しようとするのである。
ここで主題について考えてみよう。
そう、その才能を否定された『人間』は一体どうな
ブチっ。
画面の電源を少年は無意識に切っていた。手にはコンセントが握られていて、どうやらそれを引っこ抜いたようだ。
ブゥン───と耳に残る音を残し、画面が瞬間的に暗くなった。
その刹那───もともと闇に近い部屋により一層の闇が広がる。黒の絵の具を二重にも三重にも重ねて塗るように、空間は闇で埋め尽くされていく。しかしそれも瞬間的で、少年が認識した時には新たな黒塗りのキャンバスが完成していた。
「───下らないな、僕は」
少年は闇の中で吐き捨てるように言った。
「───こんな小論文を読んでる時点で、僕自身が『才能を否定された人間』だと認めてしまうんだから、まったく、自分が怖いよ」
闇の住民である少年には分かっていた。
もう何度も読み返しては自己嫌悪に陥った論文だ。彼の頭には次に続く言葉が余裕に浮かびあげられた。
「───『もし、この世から《才能》というものが否定されたとしたら、《人間》は一体どうなるのだろうか』か。そんなの簡単だ。答えは───」
それは自嘲して言っているのか、少年が出した答えとは、実に現実的なものだった。
「───無気力な人間になってしまうんだよ」
少年はいつも闇の中にいた。
それが例え、朝の7時だろうが昼過ぎの3時だろうが関係ない。
カーテンが光という光を遮るこの空間において、少年はいつまでも、好きなだけ闇に逃れることができた。
少年は紛れもない『無気力な人間』であった。
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