37 / 117
本編
37【ポチ視点】やはり主は見通していた。
しおりを挟む
ヤンという人物について調べてこいという命令を受けたときは衝撃を受けた。なぜなら殿下がこのように動くのは初めてだからである。
王子らしくないと言ったら無礼だが、もちろん良い意味でらしくない。腹違いの兄といえど地位のない平民に等しい者など普通は処分が妥当だろうに、こうして側においてくださる上、好きにさせてくれている。
だからこそ人の弱みを握るなんて無縁のような方が、険しい顔で仕事を渡してきたからこんな表情もするのだと、そう素直に思った。
もちろん任務は完璧にこなすつもりだ。
一応名のある冒険者として活動しているので、私くらいの力を持つ同族がいても、尾行は特に止められはしない。
ヤンという人物は学園から馬車で帰宅すると、屋敷に帰っていった。次の日はまた馬車に乗り通うのを繰り返している。
見ている限りでは特に怪しい点はないし、屋敷の窓から出入りはしてないか見張りもしてみるが、全くそんな気配はない。
変装して聞き込みをしても「変なやつではあるが気さくさでイイヤツ」とのことで何故殿下が裏を調べる必要があるのかいまいち分からなかった。
初心に返って、私は出入りの許可を得ているので王家が保有する資料館で戸籍を調べてみることに。
隣国からやってきているとのことだが、留学の形となると籍情報は登録しないといけないので、なければおかしい。
殿下から頂いた資料には「ヤン・レオグ」と本名が書いてある。
「過去16年の留学生の来国情報の資料はあるか?」
「少々お待ちください。」
ここを管理している司書に持って来させ、該当する名前を探してみることに………
「………ない?」
「ヤン・レオグ」なんて名前がどこにもないのだ。幅を広げて改名してる可能性も考慮し、探したのだがこれまた見つからない上に、入学記録さえないのだ。………まさか殿下は何かしらの手段でこれに気がついて!?
やはり王の器だと思った。お見通しなのだ。
「…早くお伝えしなければ。」
冷や汗を感じて急いで地下から出てくる。そして帰路につこうとしたときだった。
「貴方デスカ?この前オレの後をつけてたのハ。」
「っ!?」
「噂通りのすごい方デスネー!なかなか尻尾掴めませんでしたヨ。」
背後から声が聞こえたかと思えば、そこには監視対象のヤンが立っていた。
「アー!そんなに怖い顔しないでくだサイ!別に何かするわけじゃないのデ!」
ニコニコ嘘っぽい笑顔を貼り付けて私を見下している。一歩でも動けば殺されそうだった。
「……どういうつもりだ。」
「んー、ただのご挨拶ですヨ~!それでハー!」
アハハと笑って急に目の前から姿を消した。まさか殿下の身に何かあったのだろうか。尾行に気がついていたのなら私を自由にするのもおかしな話だし、何故余裕でいられるのか。
「クリス様にも連絡をした方が良さそうだ!」
緊急用の魔法具を使ってクリス様に状況をメモった手紙を送る。これで向こうも助けにきてくれるだろう。
王子らしくないと言ったら無礼だが、もちろん良い意味でらしくない。腹違いの兄といえど地位のない平民に等しい者など普通は処分が妥当だろうに、こうして側においてくださる上、好きにさせてくれている。
だからこそ人の弱みを握るなんて無縁のような方が、険しい顔で仕事を渡してきたからこんな表情もするのだと、そう素直に思った。
もちろん任務は完璧にこなすつもりだ。
一応名のある冒険者として活動しているので、私くらいの力を持つ同族がいても、尾行は特に止められはしない。
ヤンという人物は学園から馬車で帰宅すると、屋敷に帰っていった。次の日はまた馬車に乗り通うのを繰り返している。
見ている限りでは特に怪しい点はないし、屋敷の窓から出入りはしてないか見張りもしてみるが、全くそんな気配はない。
変装して聞き込みをしても「変なやつではあるが気さくさでイイヤツ」とのことで何故殿下が裏を調べる必要があるのかいまいち分からなかった。
初心に返って、私は出入りの許可を得ているので王家が保有する資料館で戸籍を調べてみることに。
隣国からやってきているとのことだが、留学の形となると籍情報は登録しないといけないので、なければおかしい。
殿下から頂いた資料には「ヤン・レオグ」と本名が書いてある。
「過去16年の留学生の来国情報の資料はあるか?」
「少々お待ちください。」
ここを管理している司書に持って来させ、該当する名前を探してみることに………
「………ない?」
「ヤン・レオグ」なんて名前がどこにもないのだ。幅を広げて改名してる可能性も考慮し、探したのだがこれまた見つからない上に、入学記録さえないのだ。………まさか殿下は何かしらの手段でこれに気がついて!?
やはり王の器だと思った。お見通しなのだ。
「…早くお伝えしなければ。」
冷や汗を感じて急いで地下から出てくる。そして帰路につこうとしたときだった。
「貴方デスカ?この前オレの後をつけてたのハ。」
「っ!?」
「噂通りのすごい方デスネー!なかなか尻尾掴めませんでしたヨ。」
背後から声が聞こえたかと思えば、そこには監視対象のヤンが立っていた。
「アー!そんなに怖い顔しないでくだサイ!別に何かするわけじゃないのデ!」
ニコニコ嘘っぽい笑顔を貼り付けて私を見下している。一歩でも動けば殺されそうだった。
「……どういうつもりだ。」
「んー、ただのご挨拶ですヨ~!それでハー!」
アハハと笑って急に目の前から姿を消した。まさか殿下の身に何かあったのだろうか。尾行に気がついていたのなら私を自由にするのもおかしな話だし、何故余裕でいられるのか。
「クリス様にも連絡をした方が良さそうだ!」
緊急用の魔法具を使ってクリス様に状況をメモった手紙を送る。これで向こうも助けにきてくれるだろう。
40
あなたにおすすめの小説
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
平凡ワンコ系が憧れの幼なじみにめちゃくちゃにされちゃう話(小説版)
優狗レエス
BL
Ultra∞maniacの続きです。短編連作になっています。
本編とちがってキャラクターそれぞれ一人称の小説です。
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。
牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。
牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。
そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。
ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー
母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。
そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー
「え?僕のお乳が飲みたいの?」
「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」
「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」
そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー
昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!
「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」
*
総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。
いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><)
誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
ビッチです!誤解しないでください!
モカ
BL
男好きのビッチと噂される主人公 西宮晃
「ほら、あいつだろ?あの例のやつ」
「あれな、頼めば誰とでも寝るってやつだろ?あんな平凡なやつによく勃つよな笑」
「大丈夫か?あんな噂気にするな」
「晃ほど清純な男はいないというのに」
「お前に嫉妬してあんな下らない噂を流すなんてな」
噂じゃなくて事実ですけど!!!??
俺がくそビッチという噂(真実)に怒るイケメン達、なぜか噂を流して俺を貶めてると勘違いされてる転校生……
魔性の男で申し訳ない笑
めちゃくちゃスロー更新になりますが、完結させたいと思っているので、気長にお待ちいただけると嬉しいです!
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
普通の男の子がヤンデレや変態に愛されるだけの短編集、はじめました。
山田ハメ太郎
BL
タイトル通りです。
お話ごとに章分けしており、ひとつの章が大体1万文字以下のショート詰め合わせです。
サクッと読めますので、お好きなお話からどうぞ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる