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4話 タイムスリップ
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「良いですか!未来に影響があるようなことはぜっっったいにしないでくださいね。飲まれたら無事に帰ってこれませんから!」
フラグかなと思いつつ、長い忠告を聞き流して最後に持たせてくれた謎の赤い宝石をまじまじと見る。
「それは帰還する時に使います。壊したら帰ってこれますので安心してください。立派な馬は私が預かりますのでご心配なさらず。それでは良い旅を~」
「おっと、」
地面に怪しい魔法陣が展開されたかと思うと、それに吸い取られるかのように落ちていく。本当にこれで…………
ビュオオという強い風と共に戻ってきたのは記憶に霞んでいた街並み。信じ難いがやって来たのだ。
「ぁ、、、ぁ、っ?」
声が出ない………?
これがタイムスリップした代償だと言うのか…なるほど。とりあえず四肢満足なら問題ないし、口があっては何を滑らしてしまうか分かったものじゃないからむしろ丁度いいくらいだろう。
うーん、10年前に戻りたいと行ったのだけど少々戻りすぎてないだろうか。
僕がうんと小さい頃に都会にやってきた際に見かけた店が並んでいる。少なくとも騎士になった頃の街並みではない。
すぐさま幼いロノの元へ駆けつけたい衝動を押し殺して身なりを整えなくては。僕の燃えるような赤い髪はなかなかいないので浮いてしまっては困る。
便利な魔道具で瞳の色と髪の色を変えれば、かなり印象が変わる。水面で確認しているからあまり正確には読み取れないのだけど。
『あとは、服装か。』
話せなくなった代わりに心の中で癖である独り言を呟く。最初は違和感を拭えなかったけど慣れれば問題ない。
「いらっしゃ………い、ませ。」
適当に比較的安そうな店に入れば、女性店員は顔を真っ赤に染め上げ、言葉はカタコトになっていた。うん、こういうのも慣れたものだ。
フード付きの旅に向いてそうな軽装を選び会計をするよう目と手で訴える。意味をすぐ汲み取ってくれた彼女は、袋に衣服を詰めると何故か僕に名刺を差し出した。
無下にするのも良くないので受け取ると逃げるように店を出る。
まるで呪いにかかったかのようにロノ以外の好意が怖くなってしまったのはいつだったか。英雄になることがどれほど苦痛だったか。しかしここは誰も僕のことを知らない。それだけで生きやすい世界になった。
『ロノに会いたい………。』
人気のない裏路地で先ほど買った服に着替えると、ほとんど飾りである鎧はすべて道に捨てた。きっとこれを売ればそこそこの値段が張るだろうから見つけれたやつはラッキーにあたるかもしれない。
元魔王の言葉を思い出す。「未来を変える大きなことはできない。」と何度も繰り返していた。しても強制的な何かで自分にダメージを喰らうらしい。
『直接会わなければ未来を変えたことにならないだろうか。判定がよく分からないんだよな。』
とりあえず僕は愛用の大剣を背中に乗せ、僕たちが住んでいた村へと出発する。馬の居ない今、村への道が恐ろしいくらい遠く感じた。
フラグかなと思いつつ、長い忠告を聞き流して最後に持たせてくれた謎の赤い宝石をまじまじと見る。
「それは帰還する時に使います。壊したら帰ってこれますので安心してください。立派な馬は私が預かりますのでご心配なさらず。それでは良い旅を~」
「おっと、」
地面に怪しい魔法陣が展開されたかと思うと、それに吸い取られるかのように落ちていく。本当にこれで…………
ビュオオという強い風と共に戻ってきたのは記憶に霞んでいた街並み。信じ難いがやって来たのだ。
「ぁ、、、ぁ、っ?」
声が出ない………?
これがタイムスリップした代償だと言うのか…なるほど。とりあえず四肢満足なら問題ないし、口があっては何を滑らしてしまうか分かったものじゃないからむしろ丁度いいくらいだろう。
うーん、10年前に戻りたいと行ったのだけど少々戻りすぎてないだろうか。
僕がうんと小さい頃に都会にやってきた際に見かけた店が並んでいる。少なくとも騎士になった頃の街並みではない。
すぐさま幼いロノの元へ駆けつけたい衝動を押し殺して身なりを整えなくては。僕の燃えるような赤い髪はなかなかいないので浮いてしまっては困る。
便利な魔道具で瞳の色と髪の色を変えれば、かなり印象が変わる。水面で確認しているからあまり正確には読み取れないのだけど。
『あとは、服装か。』
話せなくなった代わりに心の中で癖である独り言を呟く。最初は違和感を拭えなかったけど慣れれば問題ない。
「いらっしゃ………い、ませ。」
適当に比較的安そうな店に入れば、女性店員は顔を真っ赤に染め上げ、言葉はカタコトになっていた。うん、こういうのも慣れたものだ。
フード付きの旅に向いてそうな軽装を選び会計をするよう目と手で訴える。意味をすぐ汲み取ってくれた彼女は、袋に衣服を詰めると何故か僕に名刺を差し出した。
無下にするのも良くないので受け取ると逃げるように店を出る。
まるで呪いにかかったかのようにロノ以外の好意が怖くなってしまったのはいつだったか。英雄になることがどれほど苦痛だったか。しかしここは誰も僕のことを知らない。それだけで生きやすい世界になった。
『ロノに会いたい………。』
人気のない裏路地で先ほど買った服に着替えると、ほとんど飾りである鎧はすべて道に捨てた。きっとこれを売ればそこそこの値段が張るだろうから見つけれたやつはラッキーにあたるかもしれない。
元魔王の言葉を思い出す。「未来を変える大きなことはできない。」と何度も繰り返していた。しても強制的な何かで自分にダメージを喰らうらしい。
『直接会わなければ未来を変えたことにならないだろうか。判定がよく分からないんだよな。』
とりあえず僕は愛用の大剣を背中に乗せ、僕たちが住んでいた村へと出発する。馬の居ない今、村への道が恐ろしいくらい遠く感じた。
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