ゆりっと改変!ニッポン昔ばなし

二コ・タケナカ

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モモ 3

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タララ、ラッタッタン♪ タララ、ラッタッタン♪ タタタタタタタタ♪ ズッチャン♪ ズッチャン♪

モモがご機嫌な様子で鼻歌を歌いながらデザートを作り始めました。
ディが聞きます。
「なに作るんだ?」
桃の缶詰を可愛く掲げ、モモが応えました。
「桃のタルトだよ♪」
缶詰と一緒に買ってきたクッキーとヨーグルトも取り出します。
「オーブンで焼くのは大変だしぃ、手抜きの簡単タルトだけどねー」

きじこがモモをじーっと見つめています。
「一緒に作ってくれる?」
「うん。」
嬉しそうに頷きました。
「じゃあ、このクッキーを袋に入れて細かく砕いて」
シュタっちが察して、袋と、すりこぎ棒、下に敷くタオルを素早く取り出しモモをサポートします。
「ディ、きじこを手伝ってあげて」
「しょうがねぇなぁ」
ディときじこはテーブルの方に場所を変え、砕き始めました。

ゆきぽが自分にも何かないのか?と尻尾を振って待っています。
「次は何するんだっけ?」
モモがすっとぼけて言いました。
「ゆきぽー、簡単タルトの作り方で検索して」
待ってましたとばかりに、ゆきぽはタブレットで検索して教えます。
「バターを溶かして、砕いたクッキーに混ぜるようですよ」
「ありがとー」
シュタっちがまたも素早く動き、バターとボウルを用意しました。モモはレンジでチンするだけで済みました。
「クッキーを砕くのは時間がかかりそうだからぁ、先に出来る事やろっか」

ゆきぽが次の工程を教えます
「次はゼラチンを溶かす、とあります」
モモはニッコリ笑ってマシュマロを取り出しました。
「マシュマロはゼラチンの代わりになるしー」
マシュマロを1つ摘まみます。
「ハイ、あーん」
ゆきぽは大きな口を開けてマシュマロを頬張りました。尻尾がブンブンと揺れます。それに気付いた、きじこが飛んできました。無言で口を開けます。きじこの口にもマシュマロを1つ。
「ムフー」
満足そうに鼻を鳴らし、大きなマシュマロをもちゃもちゃと食べています。
「きじこー、まだクッキー砕くの途中だぞ」
ディもやってきました。自分にもあーんして欲しいのです。そんな事はお見通しのモモ。
「ハイ、あーん」
ディが顔を赤くしながらマシュマロを食べます。
「シュタっちも、あーん」
マシュマロを食べさせてもらったオニは全身が真っ赤になってしまいました。
みんなの様子に満足したモモもマシュマロを頬張りました。

「そうだ桃缶、開けなきゃ、、、モモだけに、プッ」
モモが一人で笑っています。
蓋を開けている様子を、きじこが覗き込みじーっと見つめます。
「こっちは余分に無いから、後のお楽しみだよ」
「ほら、行くぞきじこ」
きじこはディに抱きかかえられ作業に戻っていきました。
「シュタっち、桃を薄くスライスしてくれる?グランマ達も食べやすいように、一口サイズにしてあげて」
「分かりました」
またゆきぽがうずうずとして尻尾を振っています。
「ゆきぽはホイップクリーム泡立てて」
「任せてください」

缶詰に残ったシロップも無駄にしません。砂糖の代わりに使います。シロップとマシュマロを一緒にレンジへかけてから混ぜ合わせ、そこにヨーグルトをだまにならない様に少しづつ加えます。更に泡立てたホイップクリームを混ぜ合わせればヨーグルトソースの出来上がりです。甘さ控えめなのでおばあさん達にも食べやすいでしょう。

「こんなもんでどうだ?」
ディが砕いたクッキーを見せます。
「いい感じー、きじこもありがとねー」
頭を撫でてあげました。
「ムフー」
砕いたクッキーに溶かしバターを加え混ぜ合わせたら、平皿にそれを敷き詰めます。焼かないタルト生地の出来上がりです。そこへヨーグルトソースをたっぷりと乗せ、その上にスライスしたモモを敷き詰めれば、、、
「完成ですね」
「できた」
「さっそく食べようぜ」
「私はお茶を淹れますね」
モモが笑って応えました。
「ざんねーん!まだ冷蔵庫に入れて冷やし固めないといけないしーぃ」
皆、がっかりしながらも笑い合いました。

モモはこんなたわいない事で笑い合える日がずっと続くといいなと、心の中で思いました。
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