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「それにしてもアニメやゲームだとか、岐阜にも聖地が沢山あるものなのね。知らなかったわ」
「私もこんな身近にあるなんて知りませんでした」
ふーみんとかいちょが少し的外れな事を言っているのを私は聞き逃さなかった。
「いやいや、お二人さん。近場にあるなんて言ってるけど、それ、間違いだから。普通は無いんだよ身近になんて。岐阜県の聖地発生率が異常に高いせいなんだからね?」
「そうなの?」
「そうなんだよっ!これは凄い事なんだから!」
アタシはスマホから『聖地・ランキング』で検索をかけた。
「ほら!岐阜は聖地数が多いんだ」
「こんなのランキングになってるなんて、集計したり大変じゃない。暇な人もいるものね」
ふーみんの視線がスマホの画面をなぞっていく。
「岐阜が多いって言ってもトップじゃないじゃない」
「流石に1位の東京にはかなわないよ。ダントツだからね。上位も首都圏が占めているし、後は観光地である京都や北海道、沖縄なんかも多いけど、そんな中で岐阜県がトップ10に食い込んでいるのは凄いでしょ?」
「まあ、そうかもね。でも、なんで岐阜なのよ」
「うーーーーん」
アタシは腕を組み、唸ってから応えた。
「わかんない。」
「プッ!」唸った割には何も出てこなかった事でかいちょに笑われてしまった。ふーみんも呆れて言う。
「こういうの好きなアンタにも分からないのね」
「だって本当にしょうがないんだよ。はっきりとコレっていう理由が無いんだから。逆に東京に聖地が多い理由はカンタン。首都だからだよ。日本人なら東京の有名スポットはイメージできるからアニメにも取り入れやすいんだ。東京タワーやスカイツリー、渋谷の1○9やスクランブル交差点なんかを登場させればそのアニメは東京の話なんだなって直ぐに分かる。そういう使われ方をするからダントツに作品数が多くなる。それに東京はアニメの制作会社が集中しているしね。取材するにも首都圏なら回りやすいというメリットもあるよ。同じようにイメージしやすいという理由から京都などの観光地が聖地に選ばれやすいのもうなずける」
「岐阜も観光地としては有名だと思いますが?」
「合掌造りが世界遺産になっている白川郷だとか、歴史的な街並みが残っている飛騨高山ならね。けど、岐阜の聖地って県全体にまんべんなく点在してるんだよ。何の変哲もない田舎町が選ばれているんだ。ちょっと思い浮かぶだけでも、高山市なら『氷○』白川村なら『ひぐ○しのなく頃に』岐阜市には『僕らはみんな河○荘』や『僕は友達が○ない』美濃加茂の『のう○ん』多治見の『や○ならマグカップも』大垣の『聲○形』さっき言った各務ヶ原の「ひ○ねとまそたん」本巣の「安○としまむら」えーっと他には・・・・・・」
「そんなにあるの?」
「ご当地アニメと言っていいものだけでもこれくらい、岐阜がちょっと登場するものも含めればもっとあるよ」
「それだけの数が揃っている理由は分からないのですか?」
「そうだねぇ、理由の一つに行政の後押しがあったからなんじゃないかとも言われてるよ」
「行政がアニメに関わっているんですか?」
「うん。今は最初からご当地ものとして企画されたアニメが増えて来てるんだよ。『や○ならマグカップも』は多治見市の地域活性化プロジェクトによって誕生した作品だし、ご当地ごり押しで話題になった『ゾンビラ○ドサガ』は佐賀県からの依頼で誕生したアニメだよ。だけど、そんな聖地ブームに当て込んだ政策が起こる遥か以前、1995年に飛騨で『飛騨まんが王国』という漫画のみの図書館ができたんだ。行政が主導する地域おこしの為だったんだけど、それが岐阜に聖地が誕生するきっかけの一つになったとも言われている」
「漫画だけなんてアンタの好きそうなところね」
「王国じゃなく天国だよ。そこは温泉宿も併設されているから漫画読んで温泉入って1日ゆっくりと・・・・・・いや、たった1日じゃお目当の漫画すら読み切れないだろうから最低3日は欲しいな、」
「温泉かぁ、いいわね。たまには漫画読んでゴロゴロするのも悪くないかも。それなら私も行ってみたいわ」
「うん。で、その図書館設立を後押ししたのが当時の岐阜県知事らしいんだよ」
「あぁ、当時の知事といえば箱もの建設などを推し進めた、かなりの剛腕だったそうですからね。賛否両論あるようですけど、」
「岐阜は信長のイメージが強いせいかカリスマに弱いよね。上に立ってくれる人がいれば皆それに従う感じ、」
「でも行政が後押ししたからって漫画の図書館でしょ?どうして聖地が多い理由に繋がるのよ。漫画が沢山置いてあるのなら、今のネットカフェとそんなに変わらないじゃない。珍しくも無い」
「いやいや、95年だよ?ネットもようやく普及しようとしていた頃の話だからね?ウイン○ウズ95の時代だよ。その頃のオタクは狭い世界に閉じこもっていたんだよ。未だ暗黒の時代に息をひそめて耐えていたんだ。それを変えたのはネットの普及だよ。個人の意見が手軽に発信できるようになった事で、一般社会にもオタク文化の浸透を促したんだ。今はいい時代になったよ。オタクも市民権を得て推しを堂々と推せる様になってはきたんだから」
「へー・・・・・・っていうか、まだ生まれてもいないのになんでアンタは見てきたように話せるのよ」
「オタクだからさ。」
「答えになってない。」
「月光ちゃん妙に古い事に詳しいから」いつもこんな話を聞かされているはなっちは苦笑いしている。
「それにしてもアニメやゲームだとか、岐阜にも聖地が沢山あるものなのね。知らなかったわ」
「私もこんな身近にあるなんて知りませんでした」
ふーみんとかいちょが少し的外れな事を言っているのを私は聞き逃さなかった。
「いやいや、お二人さん。近場にあるなんて言ってるけど、それ、間違いだから。普通は無いんだよ身近になんて。岐阜県の聖地発生率が異常に高いせいなんだからね?」
「そうなの?」
「そうなんだよっ!これは凄い事なんだから!」
アタシはスマホから『聖地・ランキング』で検索をかけた。
「ほら!岐阜は聖地数が多いんだ」
「こんなのランキングになってるなんて、集計したり大変じゃない。暇な人もいるものね」
ふーみんの視線がスマホの画面をなぞっていく。
「岐阜が多いって言ってもトップじゃないじゃない」
「流石に1位の東京にはかなわないよ。ダントツだからね。上位も首都圏が占めているし、後は観光地である京都や北海道、沖縄なんかも多いけど、そんな中で岐阜県がトップ10に食い込んでいるのは凄いでしょ?」
「まあ、そうかもね。でも、なんで岐阜なのよ」
「うーーーーん」
アタシは腕を組み、唸ってから応えた。
「わかんない。」
「プッ!」唸った割には何も出てこなかった事でかいちょに笑われてしまった。ふーみんも呆れて言う。
「こういうの好きなアンタにも分からないのね」
「だって本当にしょうがないんだよ。はっきりとコレっていう理由が無いんだから。逆に東京に聖地が多い理由はカンタン。首都だからだよ。日本人なら東京の有名スポットはイメージできるからアニメにも取り入れやすいんだ。東京タワーやスカイツリー、渋谷の1○9やスクランブル交差点なんかを登場させればそのアニメは東京の話なんだなって直ぐに分かる。そういう使われ方をするからダントツに作品数が多くなる。それに東京はアニメの制作会社が集中しているしね。取材するにも首都圏なら回りやすいというメリットもあるよ。同じようにイメージしやすいという理由から京都などの観光地が聖地に選ばれやすいのもうなずける」
「岐阜も観光地としては有名だと思いますが?」
「合掌造りが世界遺産になっている白川郷だとか、歴史的な街並みが残っている飛騨高山ならね。けど、岐阜の聖地って県全体にまんべんなく点在してるんだよ。何の変哲もない田舎町が選ばれているんだ。ちょっと思い浮かぶだけでも、高山市なら『氷○』白川村なら『ひぐ○しのなく頃に』岐阜市には『僕らはみんな河○荘』や『僕は友達が○ない』美濃加茂の『のう○ん』多治見の『や○ならマグカップも』大垣の『聲○形』さっき言った各務ヶ原の「ひ○ねとまそたん」本巣の「安○としまむら」えーっと他には・・・・・・」
「そんなにあるの?」
「ご当地アニメと言っていいものだけでもこれくらい、岐阜がちょっと登場するものも含めればもっとあるよ」
「それだけの数が揃っている理由は分からないのですか?」
「そうだねぇ、理由の一つに行政の後押しがあったからなんじゃないかとも言われてるよ」
「行政がアニメに関わっているんですか?」
「うん。今は最初からご当地ものとして企画されたアニメが増えて来てるんだよ。『や○ならマグカップも』は多治見市の地域活性化プロジェクトによって誕生した作品だし、ご当地ごり押しで話題になった『ゾンビラ○ドサガ』は佐賀県からの依頼で誕生したアニメだよ。だけど、そんな聖地ブームに当て込んだ政策が起こる遥か以前、1995年に飛騨で『飛騨まんが王国』という漫画のみの図書館ができたんだ。行政が主導する地域おこしの為だったんだけど、それが岐阜に聖地が誕生するきっかけの一つになったとも言われている」
「漫画だけなんてアンタの好きそうなところね」
「王国じゃなく天国だよ。そこは温泉宿も併設されているから漫画読んで温泉入って1日ゆっくりと・・・・・・いや、たった1日じゃお目当の漫画すら読み切れないだろうから最低3日は欲しいな、」
「温泉かぁ、いいわね。たまには漫画読んでゴロゴロするのも悪くないかも。それなら私も行ってみたいわ」
「うん。で、その図書館設立を後押ししたのが当時の岐阜県知事らしいんだよ」
「あぁ、当時の知事といえば箱もの建設などを推し進めた、かなりの剛腕だったそうですからね。賛否両論あるようですけど、」
「岐阜は信長のイメージが強いせいかカリスマに弱いよね。上に立ってくれる人がいれば皆それに従う感じ、」
「でも行政が後押ししたからって漫画の図書館でしょ?どうして聖地が多い理由に繋がるのよ。漫画が沢山置いてあるのなら、今のネットカフェとそんなに変わらないじゃない。珍しくも無い」
「いやいや、95年だよ?ネットもようやく普及しようとしていた頃の話だからね?ウイン○ウズ95の時代だよ。その頃のオタクは狭い世界に閉じこもっていたんだよ。未だ暗黒の時代に息をひそめて耐えていたんだ。それを変えたのはネットの普及だよ。個人の意見が手軽に発信できるようになった事で、一般社会にもオタク文化の浸透を促したんだ。今はいい時代になったよ。オタクも市民権を得て推しを堂々と推せる様になってはきたんだから」
「へー・・・・・・っていうか、まだ生まれてもいないのになんでアンタは見てきたように話せるのよ」
「オタクだからさ。」
「答えになってない。」
「月光ちゃん妙に古い事に詳しいから」いつもこんな話を聞かされているはなっちは苦笑いしている。
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