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終幕へ
37:ブレない兄弟の夜話
しおりを挟む「僕らの国を作ることに変更はない。その上で夜母の干渉を受けないようにもする」
「理想的ではあるけどお前たちに特別目をかけているようだしそう簡単には手放さないだろう。
契約している事も踏まえアレと正面から敵対するのは不利だぞ」
火を囲み真面目な顔で相談しあう兄弟。
りんごは長兄のモフモフしたお腹の下でじっとそれを聞いているだけ。お尻が気持ち
悪いけれどそれを拭く手段もない。
それに彼らに意見が出来るほどこの世界に詳しくはないし強くもない。
全てを語られた訳ではないが察したりんごは黙るだけ。
「夜母の目的が戦いに依る混沌なら望むとおりにしてやればいい」
「あいつの言う通りに私等で魔物の大物を狩っていくってこと?」
「表向きはね。僕が主に戦うからお前はりんごを守ってほしい。
戦いを重ねていけば力の純度が上がる。力を蓄えていき最後はあいつの首を
掻っ切ってやるんだ。どうだろう?この作戦」
夜母と呼ばれるあの大きな魔物が残忍で怖い性格をしており
この世界を牛耳るほどに強い”母親”であることは分かった。
天界から堕ちた双子を拾い力を与えたのも彼女。
あの巨大な女蛇が居なければりんごが転生する事も出来なかった。
ある意味、絶望から救った希望の主とも言えるにも関わらず彼らからさほど
敬意も忠誠心も愛情も抱かれない母親。
ほぼ部外者のりんごでも何となくその理由はわかるような気もする。
「信頼させておいて裏切るのが正当な作戦と言えるのか?……、とはいえ。
夜母が見逃す気がない以上衝突は避けられない。時間はかかるとしても
その辺が落とし所かもしれないな」
キトラは別ルートのようで干渉は受けない、むしろ敵対者。
「で、でもさ。大人しく夜母に従ってる間りんごは大丈夫?奪われない?」
「隠すべきだろうな。夜母が自ら出てきたのはお前たちが可愛がっている木偶人形の
破壊が目的だったかもしれない。気に入った雄への執着心が非常に強い魔物だ。
木偶とはいえ雌であるりんごに激しく嫉妬していてもおかしくはない」
「母親ヅラの鬱陶しさは何処も一緒だ」
「エノク。程度は異なっても母親とは息子を手の内に置いておきたい生き物なんだ。
不満だろうがサターヌの元で魔女としての知識と力を蓄えるまでは保護しよう」
「僕もそれでいいと思う。りんごを招くにはまだ完璧じゃないから。
ここまでの話を聞いてどう思うりんご?」
うんうん。と聞いていて唐突にふられたものだから言葉に詰まる。
「えっ……あの。……皆と一緒に居られるならそれが1番良いです。
だけど難しいなら夜母さんの所にも行きます」
「行ったら最後。夜母の寝床には数多の魔物がひしめいて常に飢えているからね。
その中に君を放り投げて寄ってたかって凌辱される様を鑑賞されるだけだ」
「俺がそうはさせない」
「今日はこのまま休んで明日に備えよう。まず拠点に戻らないと」
難しいお話は終わり各々が眠る準備をする中。2人が席を外したのを見計らい
人間態になったキトラがりんごの下半身を綺麗に拭き取った。
けど下着は湿っているしせっかくサターヌが作ってくれた貴重な防具はヨレヨレ。
もとよりその程度の防御力なのだろうけど。
「酷いです。ずっと押し付けられて。…イカせても貰えずに」
「川へ行く?」
「行きたいけど魔物が沢山居るから。明日朝にします」
「りんご!寝床の準備できたよ!」
「サターヌ私の体自由にして欲しいんだけど。まだだめ?」
「え?もう解除してるから自由なはずなんだけど」
サターヌに言われて体を動かそうとするけれど動かない。
ただ微かに手が震えているのを確認できた。これは術じゃない。
「キトラさんの下に居たから体が麻痺したのかも」
「まさかキトラ兄が喰らった毒を吸ったかな?調子悪くない?」
「うん」
「朝になったらまたちゃんと見るよ。とにかくもうお休みりんご。
キトラ兄の下になんているから獣臭くてしょうがない」
「臭いとは失礼な」
「臭いもんは臭いんだ。ただでさえジジくさいのに」
「あのー。ゆっくり眠りたいですお兄様たち?」
キトラに運ばれて寝かされたふかふかの質の良い寝床。他3人は見張りを交代
しながら眠るそうなので質素なもの。
眠気は感じてないつもりだったのに寝かされると即座に眠る。
「どうなるかと思ったけどりんごがこの世界で生きる気になってくれてよかった」
「お前にとってもね。すぐ影響されるから」
「残されるのは絶対に嫌なんだ」
静かに火を囲む3兄弟。
「魔王討伐という目的は失敗したし思っていた形とも違うけど、
目標は変わらずに済んでよかった。
ただ僕らだけでは全てを維持しながらりんごと過ごすのが難しくなった。
その為にも新しい仲間が必要だと思う。その点でもキエラゴの素材は惜しかったな」
「木偶人形の不死軍団でも作る気だった?」
「いや、御使いの連中に声をかける」
「元仲間を誘惑するのか?兄さんに怒られるよ?」
「強引に堕落させる訳じゃない。条件が合うような奴が居ないか慎重に探す。
魔物は大体が夜母の血肉を分けられた者たちだから留守を預けるには不安がある」
「裏切り者においそれと手を貸すような甘い連中とは思えないが。
その時はまた考えよう。お前の好きにやってみるといい」
「わあお。何時も意見を譲り合わないで喧嘩になってたのに。成長したんだねぇ」
「何だよ偉そうに」
「そうだ。りんごに1番近い兄という自覚を持て」
「うう…この2人がタッグ組むと良いこと無いなぁ……ほんと小うるさい」
「何?」
「何だって」
「なんでも無いよ」
珍しく話しが綺麗にまとまった所で眠る者と見張りに行くものと別れ。
りんごが静かに眠っているのを確認する。
夜母から心無いことを言われたのに怒ったりはしなかった彼女。
「可愛い僕の聖女様。君のためなら何でも…ん?りんごの愛液が漏れてる…」
「……ぁん…」
「そっか。わかったよ。後でまた来るからその時綺麗にしよう」
見張り番であるエノクはそっとおでこにキスをしてその場から離れる。
翌朝。
「りんごが寝床に居ないようだけど大丈夫?何かあった?」
「朝早くにエノクが世話するって連れてった」
「でももう術はかかってないだろう?……ああ、そういう」
「ほんと油断した。流石夜母のお気に入りだよエノクのやつっ」
「川には近づかないほうが良さそうだね」
「冷静だね?腹が立たないの?」
「大人な対応をしないと」
「キトラ兄何やった?」
「ほら。さっさと片付けてしまおう」
夜母の追手が来ないうちに。ただでさえ物騒な土地だから早めの片付け。
サターヌたちは川が気にはなりつつも無視をして片付けを終える。
「りんごの中もうトロトロだねぇ…」
「開いて見るだけ?気持ちいい所なでなでして……ちんちん欲しい」
「何でもあげるすぐにあげる…」
その川辺では絶叫と共に巨大な蛇の魔物に絡みつかれた女が見えたとか。
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